- 給料・残業代請求
休憩分の労働時間について賃金の支払いを受けた
相談前の状況
ご相談者様は配送会社で事務職として働いていましたが、毎日「休憩1時間」がある前提で勤務時間が計算され、その分が差し引かれて給与が支払われていました。しかし実際には、休憩時間中も会社に届く郵送物や不定期の来客・電話などの対応があり、「完全に手を離して休む」という状態にはなれませんでした。
一時席を外したり、軽く食事をとったりすることもありましたが、いつ業務が入るかわからず、常に気を張っている状態だったようです。積み重なった時間を踏まえると未払賃金の金額も大きくなっていました。
解決への流れ
ご相談に対して、「休憩」として控除するためには、労働者が業務から完全に解放されている必要があること、そして休憩時間中に郵送物対応など実質的な業務が発生していれば、それは休憩とは評価されない可能性があることを説明しました。
その他の諸々の事情も踏まえて、労働審判を申し立てることとなりました。
申立てに当たっては、労働実態について詳細に整理し、労働審判での裁判官からの質問も、隣で助言しながら進めました。
結果、休憩時間分の未払賃金はほぼ支払われることとなりました。
金 思明 弁護士からのコメント
本件のポイントは、「形式上は休憩1時間があることになっているが、実態として労働から解放されていない」という点でした。
労働基準法上の休憩は、労働者が労務提供義務から解放され、自由に利用できることが必要であり、休憩中に業務対応が予定されている、又は現実に対応が発生するような運用がされている場合、休憩とは認められない可能性があります。
とくに事務職の場合、配送現場と異なり「作業が止まっている時間=休憩」という単純な切り分けが難しく、郵送物対応・電話・来客等により断続的に拘束されているケースが少なくありません。
会社側は「休憩は与えていた」「本人が勝手に対応したに過ぎない」などと主張することがありますが、不定期に郵送物等が届く以上、担当者が待機せざるを得ない実態があれば、実質的な拘束性を丁寧に主張立証することが重要です。
本件では、休憩中にも業務対応が生じ得た業務構造(郵送物・不定期対応)に着目し、休憩控除の適法性を争点化したことで、労働審判の中で合理的な解決(休憩分賃金の支払い)につなげることができました。
休憩控除が常態化している職場は少なくありませんが、「休憩の名目があること」と「休憩の実態があること」は別問題です。実態に即した精査が、適正な解決の第一歩になります。
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