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ながら運転による高次脳機能障害につき、過失ゼロ・4000万円超の賠償を実現した事例
相談前の状況
ご依頼者様は、日課の散歩中、乗用車に衝突される交通事故の被害に遭われました。
加害者は、運転中であるにもかかわらず携帯電話の画面を注視しており、いわゆる「ながら運転」による前方不注視が事故原因となった事案でした。
衝突により、ご依頼者様は頭部を地面に強く打ち付け、脳挫傷を負いました。
その後、身体の麻痺、記憶力の低下、感情のコントロールが難しくなるなどの症状が現れ、高次脳機能障害と診断されました。
しかし、加害者側は、事故態様を争い、「ご依頼者様にも過失がある」として過失相殺を主張しました。
また、事故直後の意識障害が軽度であったことや、一定の社会生活を送れていることなどを理由に、高次脳機能障害の存在自体も争ってきました。
つまり、本件では、交通事故の責任が誰にどの程度あるのかという過失割合の問題に加え、高次脳機能障害の存在・程度という医学的にも法的にも難しい争点がありました。
加害者側との主張対立が大きく、交渉による解決は困難であったため、裁判で適正な賠償を求めることになりました。
解決への流れ
裁判では、大きく分けて、①過失割合、②高次脳機能障害の存在・程度が争点となりました。
まず、過失割合について、加害者側は、ご依頼者様の歩行位置などを理由に過失相殺を主張しました。
これに対し、実況見分調書、事故現場の状況などを精査し、加害者が運転中に携帯電話を注視していたこと、事故原因は加害者の著しい前方不注視にあることを具体的に主張しました。
その結果、ご依頼者様に過失はないとの判断を得ることができ、過失相殺による賠償額の減額を回避することができました。
次に、高次脳機能障害については、MRI画像、診療記録、専門医の医学意見書、ご家族や職場関係者の陳述書などを用いて、医学的・生活実態の両面から立証を行いました。
高次脳機能障害は、外見からは分かりにくく、診察室の短時間のやり取りだけでは症状が十分に把握されにくい障害です。
そのため、事故後に性格や行動がどのように変化したのか、記憶力や感情面にどのような支障が出ているのかについて、ご家族や職場関係者の協力を得ながら具体的に整理しました。
また、脳神経外科の専門医に医学意見書の作成を依頼し、MRI画像上の脳挫傷の所見と、ご依頼者様に生じている症状との医学的整合性を明らかにしました。
加害者側は、症状が心理的な原因によるものであるなどと反論しましたが、医療記録や画像所見、事故前後の生活状況を丁寧に整理し、脳挫傷に起因する後遺障害であることを主張しました。
その結果、裁判所は、高次脳機能障害の存在を前提に、後遺障害による逸失利益や後遺症慰謝料を認めました。
最終的には、控訴審において和解が成立し、遅延損害金を含めて4000万円を超える賠償金を獲得することができました。
國田 修平 弁護士からのコメント
本件は、「ながら運転」による事故で頭部を負傷し、高次脳機能障害が問題となった事例です。
高次脳機能障害は、外見からは分かりにくく、ご本人やご家族であっても、事故直後からその症状を正確に把握することが難しい場合があります。
「怒りっぽくなった」「物忘れが増えた」「仕事上のミスが増えた」「感情の起伏が激しくなった」といった変化があっても、それが交通事故による後遺障害であるとすぐには気づけないことも少なくありません。
また、加害者側からは、「意識障害が軽い」「社会生活を送れている」「症状に一貫性がない」などとして、高次脳機能障害の存在を争われることがあります。
このような事案では、診断書だけでなく、MRIなどの画像資料、診療記録、専門医の意見、ご家族や職場関係者の証言などを総合的に整理し、事故前後の変化を具体的に示すことが重要です。
本件でも、医学的証拠と生活実態に関する証拠を積み重ねることで、加害者側の反論を退け、高次脳機能障害の存在を前提とした賠償を実現することができました。
交通事故後に、記憶力の低下、性格の変化、感情のコントロールの困難、仕事や日常生活での支障が生じている場合、高次脳機能障害が問題となる可能性があります。
頭部外傷を伴う事故では、早い段階から医療記録や日常生活上の変化を整理しておくことが重要です。
ご本人やご家族だけで判断せず、後遺障害や重大事故に詳しい弁護士へ早めに相談することをおすすめします。
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