債務整理に関する規程の延長を可決 日弁連・臨時総会
3月5日に開催された日本弁護士連合会の臨時総会で、「債務整理事件処理の規律を定める規程」の期限を5年間延長することが、賛成多数で可決された。
債務整理事件処理の規律を定める規程は、過払い金返還請求事件に対する弁護士報酬の基準や、債務整理事件の勧誘や受任、事務処理に関する弁護士の遵守事項などを定めたもの。債務整理事件の不適切な事件処理や、暴利行為と認定できる報酬による懲戒事例が散見され、弁護士会にも苦情が持ち込まれたことから、2011年に制定された。
規程は、いわゆる時限立法として制定され、2011年4月の施行から5年で効力が失われることになっていたが、2015年の臨時総会で、期限が5年間延長され、2021年3月末に失効することになっていた。
日弁連執行部はこの日の総会で、債務整理事件の現状について、「規程の延長後、過払い金返還請求事件は減少傾向にあるが、減少ペースは鈍化しており、依然として一定数の苦情相談が寄せられている」「新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、債務整理事件の増加が予想される」などと指摘。「規程を廃止すると弁護士職務基本規程などの一般的規程で規律することになるが、不適切事案の防止を全うすることは困難」と説明。
「一般的規程による対応が困難」と判断した背景には、「債務整理事件に関する違反事項などを、弁護士職務基本規程よりも具体的に定めており、不適切事案に対して高い防止効果が期待できる」(日弁連の担当者)との思いもあり、この日、さらに5年間の延長を提案した。
総会に出席した弁護士からは、「債務整理事件を大量に受任し、画一的に処理していると思われる事務所はなお存在している。規程の期限を延長しなければ、こうした事務所が債務者の利益を損なうような業務を展開するのは火を見るより明らか」などの意見が出た。
また反対意見として、債務整理事件の受任時のルールとして「債務者と自ら面談する」としていることについて、「遠方の弁護士に事件の委任を希望しても、面談のためだけに交通費を負担して事務所に行かない限り、委任することが妨げられるのであれば、債務者の弁護士選択の利益を不当に侵害する」という指摘もあった。