「旧司法試験に戻すべき」の意見も 弁護士アンケート

「旧司法試験に戻すべき」の意見も 弁護士アンケート

【本記事は2021年1月8日に公開したものです】弁護士ドットコムタイムズでは、法曹人口のあり方や、法曹養成についての現状認識や課題について、会員弁護士にアンケートを実施し、490人の弁護士から回答を得た(実施日:2020年12月17日〜12月23日)。アンケートの結果を3回に分けて紹介する。 3回目は、法曹人口、裁判官・検察官の採用数や法曹養成のあり方などに関して103人から寄せられた自由回答について主なものを紹介する。法曹人口については、弁護士の勤務条件の悪化などを受け「法曹人口を減らすべき」とする意見が相次いだ。現状、法曹資格を要しない簡易裁判所判事や副検事を法曹資格者から採用することを提案する意見も寄せられた。

法曹人口に関する意見 「大阪市弁護士採用の勤務条件に驚き」の声も

【法曹人口を減らすべき】


・受験者数や合格率を考えると合格者は1000人以下に減らすべきだと思う。法曹人口の増加に伴い、弁護士の勤務条件が明らかに悪化していると実感してる。大阪市が任期付公務員を募集しているが、募集要項を見ると手取月収が24万円(手当で多少増額になると思う)で驚き、さらに応募する弁護士がいたことにも驚いた。
・AI(人工知能)の利用と人口減少社会において,増員すべき理由はない。
・渉外事務所の人員需要だけで弁護士全体の数を増やすことに疑問を感じる。


【法曹人口を増やすべき】


・企業や自治体の要請に応えるだけの弁護士がいないこと、また僻地に弁護士が就職したがらない状況にあることをことを考えれば、もっと多くの弁護士がいてもよい。
・司法試験合格者を(単年でなくとも)増加させ、(弁護士任官を含む)裁判官を増やして、最終的に簡易裁判所判事についても司法試験合格者のみとすべき。


【法曹人口に関するその他の意見】


・一定の競争と地方の弁護士確保のため、合格者は一定必要である。
・都内で事務所経営だが、弁護士が不足しているのが現状。合格者は何処へ行ってしまったのか。大規模事務所は、独占、寡占の規制を受けるべき。

裁判官・検察官の人数に関する意見 「簡裁判事・副検事を法曹有資格者から採用を」など

【裁判官や検察官の人数を増やすべき】


・ひとつの刑事部に裁判官が3人しかいないと、裁判員裁判等で裁判所の期日が埋まってしまうため、刑事裁判の期日が先になってしまうことがあり、被告人に負担がある。
・裁判官・検察官が少ないことで、一人一人の処理量が増えており、ひいては期日が入りにくいという状況になっている。また、知り合いの裁判官・検察官によると、激務であるとも聞く。法曹は国家のインフラなのであるから、そこに割く支出を惜しんではいけない。
・副検事制度廃止を目指して、正検事を増やすべき。

【裁判官や検察官の人数を増やすべきでない】


・裁判官にしろ、検察官にしろ、無駄な仕事が多い(黙秘しているのに取調べを続ける検察官や、やたらと細かい事実関係の主張を求める裁判官など)。数を増やしてもかえって余計なことをするだけだと思うので、現状で十分。

【法曹三者における人材の流動性・法曹一元化】


・計画経済のごとく増員であれ減員であれ中央集権的に法曹人口をコントロールしようとすることは不適切である。キャリア司法官僚制度を廃止して法曹一元に切り替え、人材の流動性を高めるべきである。司法修習は裁判官・検察官のリクルートのためのものなので、連動して廃止可能だろう。そういう意味で、法曹養成の話は現行の司法システムと連動させて考えていくべき。

ロースクール・司法修習に関する意見「修習生に予算措置を」

【ロースクール・司法修習期間の経済的負担に対する懸念】


・修習給付金が月額13万5000円というような状況では、優秀な人が数多く集まるとは到底思えない。法曹の質を上げるためには、ロースクール制度を見直すよりも受験生の数を増やす方が手っ取り早く、受験生の数を増やすためには、修習生と法曹の待遇を良くするのが手っ取り早いように思う。
・貸与金期限延期してほしい。


【ロースクール・司法修習の位置付けの見直し】


・司法試験受験の要件については,法科大学院卒業の要件はなくすべきと考える。実務経験の2年と法科大学院の2年では学べるものが違うと思う。人生には限りがあり、若いうちから実務で経験を積むことを希望し、かつ司法試験にも合格できる能力がある人にまで,2年間の法科大学院を原則必須とするのはいかがなものかと思う。一方で,法科大学院の存在を廃止する必要はなく,法科大学院で学ぶ内容に魅力を感じ,学びたい人は法科大学院に行くようにすればいいと思う。
・司法試験を誰でも受験できるようにし,司法修習を強化すべき。
・法科大学院は維持しつつも、受験資格と切り離し、かつ、法曹志願者のみならず、現役法曹のリカレント教育に活用するべきである。
・予備試験によりロースクール教育が形骸化しつつあるように懸念され、制度の分析や見直しが必要であると感じる。


【試験制度を見直すべきとする意見】


・旧司法試験のように、門戸は広くして、その代わり合格後に時間をかけて養成すべきと思う。今は銃の撃ち方と行進の仕方だけ覚えた新兵を実戦投入して,初陣で戦死させているような状況だと思う。
・当面は予備試験の合格者を増やし、受験の機会を確保した上で、司法試験の合格者自体は減少させ、法曹人口、特に弁護士の人口を適切な数にコントロールする必要がある。

【法曹の質の低下に対する懸念】


・近時の若手法曹は、問題発見能力が弱いように感じる。相手方の話を鵜呑みにし、そこに何か問題がないかという視点が乏しい。現在の司法試験の問題を見ると、問題文に問題点(論点)がくまなく書いており、その論点をつなぎ合わせて論証すれば足りる。試験問題形式と、能力不足には何らかの相関関係があるのではないか。
・修習生の法律知識が顕著に低下しており、弁護過誤が心配だ。
・本人の言ったことをそのまま主張する代理人、訴訟指揮ができない裁判官を作らないために法曹養成は抜本的に変えるべき。

【要件事実教育について】


・裁判の相手方弁護士が、要件事実教育が今ほど盛んではなかったであろう時代の年配の弁護士である場合,訴訟書面において要件事実が意識されていないことが少なくなく,反論する方としても,訴訟を指揮する裁判所としても,苦労するので,要件事実教育は,絶対に必要である。

その他の意見「企業内弁護士の会費など考えるべき」

・企業内弁護士について、きちんと弁護士倫理や会費の問題などを考えるべき。
・法曹を増やすことを問題視するよりも,地域的偏在が問題。オンラインやITを活用して,問題を解決していけるように法曹界が取り組むべき。刑事の証拠開示のPDF化,書面のデータ化など紙にこだわらない制度を目指すべきだろう。

(画像/PIXTA)

1回目:司法試験合格者数「1000人未満」6割
2回目:ロースクール見直し「必要だと思う」7割

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