ロースクール見直し「必要だと思う」7割
【本記事は2021年1月7日に公開したものです】弁護士ドットコムタイムズでは、法曹人口のあり方や、法曹養成についての現状認識や課題について、会員弁護士にアンケートを実施し、490人の弁護士から回答を得た(実施日:2020年12月17日〜12月23日)。アンケートの結果を3回に分けて紹介する。 2回目は、法曹の選抜試験のあり方、ロースクールの位置付けの見直しの必要性などついて聞いた結果を紹介する。全体の約7割が、現在、「法曹養成機能の中核」とされているロースクールの位置付けの見直しの必要性を感じている結果となった。
試験の適切性「現行の司法試験」と「旧司法試験」が拮抗 世代間で差
法曹の選抜試験として、現行の司法試験と旧司法試験を比較してどちらがより適切と思うか聞いたところ、全体では「現行の司法試験」(31.6%)と「旧司法試験」(30.2%)が拮抗した。「両方とも適切」は18.6%、「両方とも不適切」は4.5%だった。
弁護士登録10年以上(回答総数174人)の回答者のみを分析すると、「旧司法試験」(48.3%)が「現行の司法試験」(15.5%)を大きく上回った。一方、弁護士登録10年目未満(回答総数314人)の回答のみをみると、「現行の司法試験」(40.8%)が「旧司法試験」(19.7%)を大きく上回った。若手の弁護士ほど「現行の司法試験」が適切だと考えている傾向がうかがえる。
予備試験の合格者の人数「現状程度で適切」4割
予備試験の合格者の人数について聞いたところ、回答者全体では「現状程度の数で適切」が37.8%だった。「増やすべき」は27.1%、「減らすべき」は20.4%で増やすべきが上回る結果となった。
弁護士登録10年以上と10年未満の回答者を分けて比較すると、予備試験の合格者を「増やすべき」と感じている割合は、弁護士登録10年以上の群が10年未満の群と比較して、約9ポイント上回った。「減らすべき」とした回答の差は2ポイントで大きく変わらなかった。
司法修習期間「現在より長くすべき」6割
司法修習期間について、現在の1年間が適切かを聞いたところ、全体では「2年など、現在より長くすべき」(58.8%)が「現状の長さで適切」(34.9%)を上回った。
弁護士登録10年以上と10年未満の回答者を分けて比較すると、「2年など、現在より長くすべき」とした割合は、弁護士登録10年以上の群が約11ポイント上回った。「現状より短くして問題ない」との回答に大きな差はなかった。
法科大学院、司法修習の要件事実教育「必要」86%
法科大学院、司法修習で要件事実教育の必要性について聞いたところ、「必要」は86.1%に上り、多くの弁護士が要件事実教育の必要性を認識していることがわかった。
現状、法律上「法曹の養成のための中核的な教育機関」とされているロースクールの位置付けの見直しが必要だと思うか聞いたところ、「思う」(71.8%)、「思わない」(15.1%)を大きく上回った。
(画像/PIXTA)
1回目:司法試験合格者数「1000人未満」6割
3回目:「旧司法試験に戻すべき」の意見も 弁護士アンケート