
青山 隆徳 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
元々は歴史・政治学に興味があり、大学進学時には学者や研究者、もしくは外交官になりたいなどと考えていたのですが、法学部で民法・刑法等の講義に触れ、政治学等に比して法学が極めて体系立った学問であり、その面白さに強く興味を引かれたことから、法学に携わる仕事をしたいと考えるに至りました。
また、当時は教養課程でも弁護士が開催するゼミなどがあり、その中で法学に携わるのであれば、研究者ではなく現場で生の事件に関与する方がやりがいがあると考え、司法試験を受験することにしました。
法曹三者の中では、取り組める分野、自由度が高いことから、弁護士を希望しました。
弁護士として大切にしている理念
私達が取り扱う法律の中には、それぞれに「守るべき価値(法益)」が存在します。個別の事件を扱う中では、もちろん最大限依頼者の方に有利な法律構成などを検討するのですが、法の支配や社会正義を実現するという弁護士の立場から、その法律が守るべき価値と反するような処理はしないように心がけています。
印象に残っている案件(事件)
以前所属していた事務所は地方自治体や金融機関を顧問としており、私も行政訴訟、金融関係の訴訟などに従事していました。そのなかで、印象に残る2つの事件があります。
いずれも最高裁まで進んだ事件ですが、1つ目は自治体の公金の不正使用があり、知事の責任が追及された事件です。
このような事件では、自治体(首長)弁護士は「首長に不正の責任がない」と主張するので、はじめからある意味悪役です。しかし、起きてしまった事実が不正である場合に、将来にわたりそれを是正するべきは当然としても、その法的責任を誰に帰せしめるかは、地方自治体の業務の実態、地方自治における制度の趣旨全般から考えるべきことです。
そのような観点から、法が予定している責任分配を、過去の最高裁判例、下級審の裁判例などから論じていきました。最終的に当方の主張が認められ勝訴を得たことは、法律が守るべき価値(本件では自治体の長に過大な負担を負わせることで生じる弊害の回避)の実現にささやかながら貢献できたのではと実感しています。
もう1つは、消滅時効の中断の有無という法律解釈の問題に関し、それまで認められていなかった新たな中断事由を認めるよう主張し、最高裁にて認められた事案です。
この事件では、権利者として行うべきことは適切に実施しているのに、権利が消滅するのはおかしいとして、過去の最高裁判例、調査官解説、論文等を丁寧に整理して「依頼者の行為を新たに時効中断事由として認めるべきである」との主張を展開しました。
その結果、最高裁で当方の意見が認められ逆転勝訴(破棄自判)となりました。
小さな1分野ではありますが、最高裁に当方の法解釈が認められたことは、まさに法律家の冥利に尽きる経験となりました。
今後のビジョン
前事務所で取り組んできた経験を活かしつつ、また県内で他の弁護士が本格的に取り組んでいない分野として、①商取引の実体に即した契約締結の支援、②知的財産権の取得と活用、③医療機関の日常的な運営の支援、④企業の国際進出の支援といった企業法務の業務を積極的に提供したいと考えております。
このような業務は、都市部においては当然に提供されていますが、小さな県では弁護士側が「需要がない」と考え、依頼者の皆様も「地元では対応できないのではないか」と考えるなど、ミスマッチがあるのではと見ています。
このような現状を踏まえ、当事務所がかかる分野に関与することで、地元の企業・団体の皆様に「地元で解決できる部分は地元で解決する」との選択肢を提供できるようになればと考えております。