「肯定力」で、人生を拓く。
冤罪の衝撃
学生の時に偶然見たある報道番組がきっかけで、私は弁護士という仕事に興味を持ちました。 それは“冤罪(えんざい)”についてのドキュメンタリー番組でした。
冤罪とは、無実であるのに、犯罪者として扱われてしまうこと。 つまり、濡れ衣を着せられてしまうことです。
真実が葬り去られてしまいそうになる中、一人の弁護士が、その濡れ衣を晴らそうと一生懸命訴え続け、最終的に冤罪を認めさせたのでした。
「長い闘いだったけど、冤罪だったと認められて、やっと報われました。弁護士先生に感謝したいです」
当時被告人とされていた人が、涙ながらに取材に答える姿を見た時、私の体に、言葉では言い表せない衝撃が走りました。 そして、そんな風に人々の権利を守る弁護士の仕事は、自分が一生の仕事として挑戦する価値のあるものかもしれないと思ったんです。
「弁護士になって、困っている人の役に立つんだ」
強い想いを胸に、法学部・法科大学院へ進学。2013年に弁護士登録を果たしました。
「徹底的なヒアリング」と「信じて待つ心」
弁護士の仕事をする中で、私が大事にしていることは二つあります。
まず一つ目は、しっかり聞き取ること。
法律事務所にお越しになる方は、皆さん不安な気持ちを抱え、心身ともに疲弊されています。 経済的に追い詰められている方も少なくありません。 そのように苦しい状況に置かれている方を、できるだけ短い時間で納得のいく解決に導くために、私は「法律相談時のヒアリング」を重要視しています。
依頼者の情報が不足したまま着手したり、確かではない感情的情報に左右されてしまうと、余計な時間がかかり、場合によっては理想的な解決から遠ざかってしまいます。依頼者と信頼関係を築き、必要な情報を漏れなく聞き出すということは、迅速な解決への一番の近道なのです。
また、依頼者自身の情報だけでなく、相手方の性格や精神状態を詳しく聞き取ることも、しばしばあります。 そうすることによって、相手方へのアプローチ方法を柔軟に変えることができるからです。
そしてもう一つ大事なことは、急かさないこと。
弁護士が扱うのは、モノや商品ではなく、人の人生そのものです。 人生を大きく左右する悩みを持つ人が、一つの答えを出す過程には、当然ながら様々な葛藤があります。 「この選択でいいのだろうか」「本当に幸せになれるのだろうか」と繰り返し悩んで、答えを出すわけです。
そんな時に弁護士が答えを急かすようなことをしてしまうと、依頼者は焦りを感じてしまいます。 焦りを感じながら答えを出すと、同じ答えでも納得感が違ってきてしまう可能性があります。
多少時間がかかっても、依頼者や相手方の決断を待ち、いい結果が出ると信じて見守るということ。これは弁護士という仕事をする上で、必要であり、意外と重要な素養であると考えています。

養育環境の変化と子どもの成長
事務所開設から程なくして、一人の女性が、かなり憔悴した様子で事務所を訪れました。
「夫と2人で話し合い、離婚を見据えて別居しようと合意していました。しかし、別居前日に夫が子どもを連れて家を出てしまったんです。滞在先は遠く離れた夫の実家。他のことは諦められても、子どもだけはどうしても諦められません。なんとかして子どもを取り返したいんです」
夫の滞在先まで分かっているのに、なぜ訪ねていかないのかと不思議に思ったので、さらに事情を聞いていくと、彼女が家庭内で暴力を受けていたことが判明しました。
「怖くて近づけないので、先生に依頼したいんです」
どこまで身勝手な夫なんだ。
しかも、子どもを離婚トラブルの駆け引きに利用するなんて絶対に許せない。
私は仮処分からの子どもの引き渡しの強制執行を提案。
受任後は、すみやかに監護者指定と子の引渡しについて仮処分を出してもらいました。
その後,執行官と打ち合わせを重ね,強制執行当日には、夫が暴力を振るったり、暴れたりした時のリスクを考え、警察にも協力を要請。また、子どもの精神的ダメージにも配慮し、心理カウンセラーも呼んで対応しました。
その結果,強制執行は無事完了し,母子は無事に平穏な暮らしを取り戻すことができました。
弁護士としてお役に立てたことは、もちろん嬉しかったですが、それ以上にこの事件を通して「離婚問題にどう取り組むべきか」を考えさせられました。
どんな形であれ、両親の離婚というものは、子どもに想像以上の精神的ダメージと相当なストレスを与えます。 養育環境の変化は、子どもの成長に大きく影響してくるのです。
親は、離婚の子どもに与える影響についてどのような配慮をしているのか。 社会として、親が離婚した子どもたちのために、気遣い、支援できることはないか。
離婚問題に携わる時には、巻きこまれる子どもの未来が健全なものになるように、工夫していきたいと考えています。
法律知識以外は、"素人"なんだと思って仕事をする
心から尊敬している恩師がいます。
私が司法修習の際にお世話になった先生です。
先生は、その相手が依頼者であっても、修習生であっても、いつも対等に会話して下さる方でした。 年上で経験豊富であっても、決してそれをひけらかさず、私と同じ目線で立って話をしてくださるので、こちらも安心して話を切り出すことができましたし、「いいところは全て盗みたい」と思っていました。きっと依頼者も「この弁護士になら本音を聞いてもらいたい」と感じていたと思います。
たしかに、弁護士は法律の知識には詳しいです。
でも、だからといって立場が上な訳でも、人間的に特別に優れているわけでもありません。 そこを勘違いしてはいけないということを学びましたね。
私は、法律以外の知識に関しては「自分は素人なんだ」と思って仕事をしています。思い込みや慢心で判断してしまうことを防ぐためです。
特に刑事事件に携わる時には、いつも弁護士のあり方や立ち位置などを考えさせられます。
刑事事件の被疑者・被告人は「人」ではなく「捜査対象」としてぞんざいな扱いを受けていることがあまりにも多いです。 そんな被疑者・被告人に弁護士まで上から目線で責め立てるようなことをしたら、間違いなく本音を話すことはできなくなってしまいます。
どんな時でも「わずかな希望を持って弁護士と接見しているかもしれない」ということを忘れてはいけないのです。
ひとりで考え過ぎず、勇気を出して誰かを頼ってみて
これまでさまざまな人に出会い、さまざまなトラブルを解決してまいりました。
トラブルの内容はその時々によって違いますし、トラブルを抱える関係者の悩みや苦しみは時と場合によって異なりますが、「共感してくれる人がいない」という苦しみを抱えている方は非常に多いと感じています。
それまで経験したことがないトラブルに巻き込まれると、人は誰でも「いますぐにでも、誰かに話を聞いてほしい」「この気持ちを誰かに分かってほしい」と思うでしょう。
しかし、トラブルの内容によっては、本来味方になってくれるであろう人からさえ共感が得られず、孤独感と不安を抱え、一人で問題と向き合うことを強いられてしまうことも多いんです。
「誰を信じていいのか分からない」「今まで信じていた人すら信じられなくなった」…
こういう状況は本当に苦しく辛いとお察しいたします。 そしてそういう状況にある人こそ、私が少しでも支えたいと考えています。
困っていることがあれば、ひとりで苦しまずに、いつでもご連絡ください。 あなたがまた心から笑えるように、全力でサポートいたします。
