関戸 京子 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
まず女性が仕事を持って働き続けることを考えたときに,資格を持つことが一番現実的な方法であるということです。次に,仕事の性格を考えたときに世の中には法律の知識に疎い為不当(違法)な取り扱いを受けて困っている人がいます。弁護士はそのような困っている人,特にお金もなく、大きな組織に帰属しているわけでもなく、権力も何も持たない人の力になれます。しかも、法律という武器だけで、企業や権力に対しても対等に言うべきことをいい、困っている人を救済できることに魅力を感じたからです。もともと法律事務所で事務員として働いていたので、そうした弁護士という仕事を間近で見ており、その中で「自分だったらこうしたい」と思うことも増え、司法試験に挑戦しました。
仕事の中で嬉しかったこと
難しい事件が解決して依頼者の喜んでいる顔を見て「良かった」,と思えたときです。本当にいろんな事件がありますが、例えば破産事件などは、依頼者はどうしようもなく不安で、「皆に迷惑をかけて自分もすべて失って…」という絶望的な気持ちでやってきます。それが弁護士として手助けをすることで、「もう一回やり直せる」と希望を持って貰えると本当に嬉しいですね。また離婚問題なども苦しい側面が大きいですが、無事解決するとそれは新しい出発となります。そうした、悩み苦しんだ状況から未来へ一歩を踏み出す岐路に立ち会えることはとても感慨深いものです。
弁護士になって大変だと感じること
弁護士の場合,仕事の性質上これまで全く面識の無い人から依頼を受けて事件処理にあたることがあります。そのような場合,事件処理がうまくいくかどうかはまず依頼者との間で信頼関係を築けるかどうかが大きなポイントになります(特に家事事件の場合)。しかし依頼者の方が年長であったり社会経験を積んだ方であったりした場合には、弁護士が適確な方針・アドバイスを与えることができるか不安になります。そのような時に自分の力量・人間としての包容力を高める必要性を感じ,まだまだ不十分であると感じます。相談され解決に導く立場ですから、この先生なら全面的に信頼できると思って貰うことが大事であり、それには相談相手を凌駕するスケールで丸ごと受け止められる器を持ちたいと考えます。
仕事をする上で意識していること
依頼者の言い分をまず先入観無しに全てを受け入れて聞くようにしています。例えば離婚事件等では、依頼者は配偶者に大きな不信感を抱いており、時には法律的に通らないような言い分を持ちます。しかしそれを初めから否定せず、まずはそれごと包み込んで、信頼関係が生まれてから少しずつ軌道修正していくという立場を取ります。
もう一つは現場主義の徹底で現場に赴いて事実関係を直接体験する努力を惜しまないことです。なぜなら,弁護士の仕事は事実を正確に把握することがとても大切ですが、事件を一番よく知っており切実に解決したいと願っているのは本人なのでその方の意見,気持ちを知ることが事実関係の正確な把握・適切な解決につながるからです。例えば公害や薬害の事件は化学的なことばかり読んでいてもわからないですし、騒音なども夜行ってみて、「これは受験生がいると勉強するには辛いなぁ」などと体験してみると理解度が違います。また、これは何とかしてあげたい、と仕事へのモチベーションにも繋がります。
関心のある分野
まず、税務争訟関係です。うちの事務所は税金裁判ひいては行政裁判一般を中心的に取り扱っています。税務署は時に我々弁護士でも信じられないような無茶苦茶な税金の取り立て方をするので、納税者の正当な権利を守りたいと思います。
次に、国際家事関係です。今ハーグ条約の批准にあたり国内法の整備が焦眉の課題となっていますが、まだまだ議論の余地はありそうです。きちんと対応できるように、今後手がけてゆきたいと思います。
また、知的財産関係をめぐる争いは、大企業のものというイメージが強いですが、中小企業でも特許を持ちそれを武器に事業を展開している会社も多数あり、避けて通れない分野だと思いますし、新しい法律改正に向けても勉強したいと考えています。
今後の弁護士業界の動向
人数が増えてくるため,望むと望まないとにかかわらずそれぞれの弁護士が専門性を高めたりといった業務の拡大を試みる必要が生じると思います。今後は医者の世界のように大事務所に執務する弁護士と地元に密着したいわゆる街(まち)弁に分化するでしょう。それは弁護士間の格差を生むことにも繋がるかもしれません。