上嶋 法雄 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
大学に進学した際、高校時代の先輩に誘われて入ったのが、司法試験を目指すサークルでした。周りの友達の多くが司法試験を目指しているという環境で、自分も自然と司法試験に興味を持ったのが、法曹になる最初のきっかけだったように思います。
法曹の中でも弁護士を目指すようになったのは、実務修習の弁護修習の経験からです。修習では、ベテランの先生から独立したばかりの先生まで、いろいろな先生のお仕事を見せていただきましたが、皆さん、趣味に時間を割いたり、適度に休みをとったりと、自分で時間を調整しながら働いておられるのがとても印象的でした。私自身も、そんな先生方の下で学ぶことが、とても楽しかったのを覚えています。
そんな弁護士の自由さに憧れたことと、裁判官・検察官のように転勤がないということに魅力を感じて、弁護士を目指すようになりました。
弁護士になって感じたギャップ
思っていたことと違うことばかりでしたね。まず、一番魅力に感じていた時間的な余裕は、まったくありませんでした。仕事の拘束時間が長い、というよりは、あまりに多忙過ぎて休みをとる暇がないという状態でしたね。
また、弁護士には無縁だと思っていた転勤も、全国展開しているアディーレ法律事務所に入所したことで、実際にはありました。この数年で沖縄、横浜、大阪と、さまざまな地域で支店長を務めました。
弁護士に対して当初抱いていたイメージとのギャップは数えきれないほど多くありますが、「石の上にも3年」と思いながらこの仕事を続けて、もう随分経ちます。それでも続けられているのは、予想外の仕事をすることによって、予想もしなかった弁護士の魅力ややりがいに気付けたからでしょう。今では、さまざまな地域の豊かな文化に触れることや、早い段階から「集客」に注目してどんどん新たな試みに挑戦する事務所の方針にやりがいを感じています。
これまでの経験と業務内容
入所してからは、倒産事件・債務整理を中心に、さまざまな分野の事件を取り組んできました。倒産事件・債務整理といった分野は土地によって顕著に違いがあらわれるのが興味深いです。
また、労働事件の部署には、事務所全体で力を入れています。これは、2006年にできた労働審判制度によって短時間で労働事件が解決できるようになったことや、リーマンショック以降の解雇者の急増をうけて、新たに作った部署です。これから先、どんどん件数が増えてくる分野なので、今こそ、きちんと労働事件の基礎を固め、事務所全体で積極的に対応していくべきだと感じています。
地域の特徴・担当した事件
那覇支店では、刑事事件も多く、債務・倒産の事件も非常に数が多かったのが印象的でした。沖縄は平均所得が低く、それ故に県民ひとり当たりの貸金業者数が当時の日本最大でした。
また、長男が家を継ぐ風潮も強く、長男の家系と次男以下の家系で貧富の差がかなりあるように感じました。私が初めて担当した裁判員裁判も沖縄でしたし、仕事以外でも、その豊かな文化にも触れることができ、那覇支店での日々は思い出深いものばかりですね。
横浜支店は、赴任して1ヵ月ほどで東日本大震災が起き、その後またすぐに異動になってしまいました。なので、業務といっても震災関係のことに追われていたのがほとんどで、横浜ならではの仕事や県民性に触れる機会があまり無かったことが悔やまれます。
現在勤めている大阪支店でも、債務・倒産の事件が多いのですが、沖縄とはまた少し性質が違うように感じます。特に、生活保護に関しては、受給者が多く、その中でも特に若い方の割合が他地域よりも高いような感触があります。
そして何より、大阪の方の元気さには圧倒されました。ご相談者の方も一人ひとりキャラクターが強いといいますか、たくさんお話になられる方も多く、東京育ちの私にとっては本当に驚きでしたね。今では、少しずつご相談者の方の性格に合わせながら対応を変えられるようになり、そのキャラクターの強さも楽しみながら仕事をしています。
弁護士としての信条・ポリシー
普段意識していることは、「プロであるべき」という信念です。何をもって「プロ」なのかは弁護士ごとに違う見解があるとは思いますが、私自身は、事件の見通し・展開を読むことができるのが、弁護士としてプロの証であると思っています。
弁護士という職業は、求められた仕事だけをこなせばいいというものではありません。これまでの経験や知識を活かして常に先を読み、あらゆる場面に対応できるよう準備を怠らない姿勢が大切です。また、不測の事態に対しても、臨機応変かつ冷静に対応できる力も求められます。
野球において、一流のバッターは、次にピッチャーが何を投げるのかを予測してバッターボックスに立つといいます。ただ飛んで来た球を打ち返せばいいのではなく、ピッチャーの球を常に予測して備え、たとえその予測が外れたときでも、柔軟に対応してヒットを打つ。そんなバッターの役割にも似ている気がします。
誰かの受け売りではありますが…(笑)。
関心のある分野
もちろん、現在担当している倒産事件・債務整理の分野や、事務所全体で積極的に取り組んでいる労働事件には関心があります。しかし、一方で、具体的にひとつの分野に限りすぎないようにしたいとも思っています。ご相談があればどんな分野にもお答えできるよう、広い視野を持っていたいと思っていますし、なにより、あまり新しい分野に集中する時間がないというのが現状です。
また、分野というよりも、今後の弁護士業界の展開には関心があります。世の中が大きく動き、弁護士業界も過渡期にある今、どんな分野や事件が生まれてくるのか、それらにどう対応したらいいのか、そして、弁護士はどのようにしたら生き残ることができるのか、ということには、弁護士のひとりとして強い関心があります。