「アーティストの力になりたい」その思いを原点に、知的財産と渉外案件に注力
劣勢から勝ち取った「フラダンスの振り付け」に著作権を認めた判決
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
趣味で音楽活動をする中で、プロとして活動する仲間から、「契約がきちんと結ばれずに困っている」という話をよく耳にしていました。そもそも業界として契約の意識が浸透していない印象があり、そういった人の力になりたいと思ったことが最初のきっかけです。当時は法科大学院制度ができた頃で、周りに法科大学院を目指す人が多くいたことも影響していると思います。
ーー弁護士になった後、アメリカへ留学された経緯を教えてください。
専門分野として渉外業務や知的財産関係に強くなりたいと思ったからです。留学先には、当時のアメリカの知的財産分野の研究で最先端を走るカリフォルニア大学バークレー校を選びました。
せっかく留学するのだからと、取得できる単位の上限まで授業を詰め込み、授業が終わってからも毎日深夜まで勉強しました。さまざまな人達との出会いなど、勉強以外にも貴重な経験ができました。音楽関係の法律を研究している人と、プロのギタリストのライブを一緒に観に行った思い出もあります。
ーー現在の注力分野とその分野に注力している理由を教えてください。
一般民事も扱っていますが、特に注力している分野は2つあります。
一つは知的財産法、中でも著作権や不正競争防止法、商標権の問題に注力しています。もともと関心があり、アメリカで学んだ知識も活かして取り組んでいます。
また、英語での契約や交渉なども主力業務になっています。顧問弁護士がいる企業でも、渉外業務に対応できずに弁護士を探しているケースがあります。そうした相談に数多く対応しています。
ーー仕事をする上で心がけていることは何でしょうか。
当然のことではありますが、話しやすい雰囲気を作り、詳しく丁寧に話を聞くようにしています。悩みを抱えて落ち込んでいる方も多いのですが、世間話や趣味の話を通して少しでも気持ちを明るくしてもらい、話にくいことを話してもらえるような雰囲気づくりを心掛けています。
企業の場合だと、事前に社内で検討した上で相談に来るケースが多いのですが、検討結果だけでなく問題の背景や経緯を丁寧に聞きだすことで、依頼者が気づいていない別の観点から検討できることもあります。一見、関係なさそうな話も含めていろいろな話ができるようにしています。
ーー弁護士として活動をされてきた中で、印象に残っているエピソードを教えてください。
フラダンスの著作権の裁判です。依頼者はハワイの振付師。日本のフラダンス教室の運営会社と契約して、フラダンスの振り付けを作り、フラダンス教室の生徒に指導していました。契約が終了した後も、依頼者が作ったフラダンスの振付が教室で使われ続けたため、運営会社とのトラブルに発展しました。
この事件の少し前に、社交ダンスの振り付けの著作権が否定された判決が出ていたので、ダンスの振り付けの著作権を認めさせるのは難しいと考えられていました。
そうした厳しい状況ではありましたが、私が弁護士を志したのは、「アーティストの力になりたい」という思いからです。その原点に立ち返って、人生をかけてでも勝たなければならないと思い、事件を引き受けることにしました。
フラダンスの振り付けには、何気ない動作にも深い意味が込められていて、同じ歌詞やメロディであっても振付師が違えば全く違う振り付けになります。
裁判ではそのことを、振り付けの比較映像を証拠として用意し裁判官に丁寧に説明しました。ハワイのフラダンスのトップダンサーを日本に呼び、実際に裁判所で踊ってもらうこともしました。
当初は劣勢と考えられていましたが、こうした活動が実を結び、最終的には著作権を認めてもらうことができました。日本でもハワイでも大きく報道されたこともありますが、私自身思い入れの深い裁判です。
「弁護士に依頼するほどのことではない」そう決めつけず、まずは相談を
ーープライベートについても伺います。休日はどのようにお過ごしですか。
子どもと過ごすことが多く、よく一緒に水族館に行っています。海釣りも小さい頃からの趣味なので、子どもが大きくなったら連れていきたいですね。
ーー今後の展望をお聞かせください。
引き続き、知的財産権や渉外の分野に注力していきたいと考えています。
一方で、一般民事も含め様々な分野にアンテナを張り、対応していきたいです。特に企業関係については倒産法や独占禁止法の分野にも経験があるので、そちらも引き続き取り組んでいけたらと思います。
ーー法律トラブルを抱えて悩んでいる方へメッセージをお願いします。
私は弁護士ドットコムの「みんなの法律相談」で、著作権関係の質問に多く回答しています。その回答を見たら解決のヒントになることがあるかもしれません。
著作権は身近なようでいて、突き詰めると非常に複雑な法律です。きちんと調べなければわからないこともたくさんあります。「弁護士に依頼するほどのことではない」と思うようなことでも、親身に対応いたしますので、お気軽にご相談ください。