吉田 実 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
高校生の頃に田中角栄氏がロッキード事件で刑事訴追されたのを見て、内閣総理大臣であった人でも悪いことをすれば、逮捕され刑事被告人として裁かれることに感銘を受けました。他方で、その田中氏が訴追後、数の力でますます大きな力を持ってゆく政治というものに疑問を感じました。
このときに政治は力の場であり、数がものを言うことを痛感しましたが、考えてみれば、政治の世界のみならず、力の強い者が幅を利かせるのは世の中においては通常のことです。それに比べて、司法という世界は理性の場であり、法と論理が伴えば少数派であっても多数の力による横暴を排除できるということに、とても魅力を感じました。
そんなことがきっかけで、高校生の時に法律家になることを夢見ました。弁護士の道に進もうと決めたのは、私は大学は夜学だったのですが、昼間、法律事務所で書生をしており、その時にお世話になった所長(ボス)の奥西正雄弁護士が法律家としてのみならず人間としてとても尊敬できる方だったので、この人と名前を並べて仕事がしたいと思ったことからです。
仕事の中で嬉しかったこと
どなたも同じだと思いますが、困難な事件に取り組んで良い結果が得られた場合に依頼者から感謝の言葉を貰ったときがやはり一番嬉しいですね。また弁護団を組んだ事件などで先進的な判決をとり、それが立法に繋がっていったときもやりがいを感じます。
それから、これは嬉しいと言うより弁護士になって良かったと思ったことですが、お世話になったボスに生涯一弁護士を貫いて貰えたことです。個人事務所は閉めるタイミングが難しいのですが、私は弁護士になって、ボスと一緒に仕事をし、ボスが亡くなってからもその事務所の業務をやりつつゆっくりと畳んでゆき、今の事務所に合流することができました。
弁護士になって大変だと感じること
我々は、依頼者から一歩離れて事案を冷静に見つめることが必要ですが、時として依頼者の問題を自分の問題として背負ってしまうことがあります。
また日々の仕事が、自分以外に代わりがきかないということです。責任を感じますが、やりがいにも繋がっています。
仕事をする上で意識していること
代わりが利かない仕事ですので健康管理には気を配っています。風邪などで休んだことはありません。
また、弁護士業務もサービス業ですから、できるだけお客さんの都合を優先するように心がけています。朝は9時までに出勤して電話応対できるようにし、土曜日の来客も受け付けています。
関心のある分野
私は登録以来、大阪弁護士会の消費者保護委員会に所属しており、ずっと消費者事件を手がけています。弁護団を組むのも消費者事件です。
弁護士として長く消費者問題に関わっていると、各種審議会委員や大学等の講師としてもお声をかけて頂き、また消費者団体などとのお付き合いもできるようになりました。これからも法律問題だけではなく、広く消費者問題を勉強してゆきたいと思っています。
今後の弁護士業界の動向
つい数年前までは、事務所で待っていても仕事が来る時代でした。つまり弁護士が仕事(顧客)を選別していた時代です。しかし弁護士人口の増加と、宣伝広告やインターネットの普及により、今や完全に顧客が弁護士を選別する時代に入りました。
もう事務所で待っているだけで仕事が入ってきた時代は終わろうとしています。今後はますますその傾向が強まるでしょうから、独立開業する弁護士としては、単に仕事さえしていればそれでよいという訳にはいかず、いかにして自分を選んで貰うかを意識し工夫しなければ生き残れなくなってくるのではないかと思っています。