「養育費不払いで悩むシングルマザーをなくしたい」債務整理に注力し、社会問題の解決にも取り組む
「弁護士に依頼をすれば借金の督促が止まる。それだけで生活は改善する」
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
幼いころ、司法試験に合格して喜んでいる人の姿をニュース映像で見たことが最初のきっかけです。日本で一番難しいといわれる試験だと聞いて、いつか自分も挑戦したいと思ったことを記憶しています。
司法試験の勉強を本格的に始めたのは大学卒業間近でした。ちょうど司法試験制度が変わるタイミングだったため 、ロースクールに入って法律をしっかり学び直し、試験に挑みました。苦労の末に合格できましたが、弁護士になってからもしばらくは夢に試験が出てくるくらい苦しかったです。
ーー注力している分野と、注力している理由についてお聞かせください。
債務整理と養育費の回収の二つに絞っています。
債務整理は先輩弁護士から「依頼が多いので手伝ってほしい」と言われ、これまで多くの案件を経験したことから現在でも注力しています。
債務整理は効果がわかりやすい分野だと思います。弁護士に依頼をすれば督促が止まります。それだけで、依頼者の生活は改善されます。借金で悩む人の中には人生に絶望している人もいます。そうした人たちの役に立てることが債務整理のやりがいです。
債務整理を扱ってみると、シングルマザーからの相談が多いことに気づきました。借金の理由の多くは、養育費が払われていないことによる貧困でした。
厚生労働省の調査によると、養育費を継続的に受け取っている母子家庭は約2割です。このことが社会問題となっている中、2020年に民事執行法が改正されました。この改正により養育費の取り立てが行いやすくなったこともあり、養育費回収に注力して社会問題解決に取り組もうと思いました。
ーー養育費回収ではどのような取り組みをされていますか?
完全成功報酬にしています。多くの弁護士は着手金を取ると思うのですが、経済的に苦しんでいる人が着手金を払うのは難しいと思います。ですから私は成功報酬型にして、仮に養育費が払われなかった場合は、費用を受け取らないことにしています。代わりに、養育費が払われることになった場合は、子どもが二十歳になるまでの間、毎月報酬をいただく契約をしています。
完全成功報酬にして着手金をなくすことと、報酬の支払いを長期間に分散することで依頼者の負担を軽減し、相談しやすい環境を整えています。
悩まずに「早めに丸投げ」してほしい
ーー仕事をする上で心がけていることを教えてください。
結果までの過程を「見える化」することを心がけています。依頼者からすると、弁護士が何をしているのかわからないのは、何もやっていないことと同じに見えるのではないかと思います。
弁護士になったばかりの頃は「結果さえ出せば途中報告は必要ない」という考えを持っていました。ですが、プロセスを見てもらい、事件解決までのストーリーを共有することが大事だと気づきました。そうすることで、依頼者のために誠心誠意活動したことがわかってもらえるはずですし、依頼者が納得のいく解決ができると思っています。
ーー弁護士として活動してきた中で印象的だったエピソードを教えてください。
婚活サイトで知り合った男性との間に子どもができた女性からの依頼でした。
依頼者はサイトで知り会った男性と結婚を前提に交際を始めました。しかし、妊娠を告げた途端に男性からの連絡が途絶えてしまいました。困った末に私のところに相談に来たのですが、驚いたことに、依頼者は相手の名前も住所も、電話番号すら知りませんでした。
弁護士業は紛争相手が特定できなければ動けません。男性の情報を得ようと弁護士会を通じて婚活サイトの運営会社に問い合わせをしたものの、事件性がないとのことで情報提供は拒否されてしまいました。
私は無茶を承知で相手が特定できないままに裁判所に訴えを提起しました。裁判所権限で調査すれば、運営会社も協力すると思ったからです。裁判所が動いてくれた結果、相手の男性を特定することができ、慰謝料を請求することができました。
荒削りな方法とはいえ、請求の相手方の特定が難しい事件を解決できたことはいい経験になりました。そして、絶望しかけていた依頼者に喜んでもらえたことがうれしかったです。
ーー趣味や休日の過ごし方について教えてください。
3年ほど前に飼い始めた猫とゆったりした時間を過ごしています。もともと猫が好きだったのですが、これまで飼うことができなくて、やっと念願が叶いました。実際に飼ってみると大変ですね。スコティッシュホールドという長毛種なので掃除が大変です。
ーー今後の展望についてお聞かせください。
養育費の回収率を上げていきたいと思っています。強制執行だと作業的な要素が多いので、事務局の人数を増やしたり、スキルを上げることで回収率を高め、できるだけ養育費報酬を下げることで依頼者に還元したいと考えています。
ーー法律トラブルを抱えていて、悩んでいる方へのメッセージをお願いします。
「早めに丸投げ」がキーワードだと思います。借金問題の場合、自分でなんとかしようした結果、借金が膨らんでしまうということもあります。とにかく早めに相談して、あとは弁護士に丸投げしてもらえればいいと思います。弁護士に任せてもらえれば、悩むこともなく、楽になれると思います。