日高 尚 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
これは、修習生当時、クラスで各人がそのような話をすることになった時にも言ったことなのですが、弁護士を志すようになった最初の頃は、自由な職業であるということが理由でした。
しかし、その後、間接的にではありますが、法の無知に付け込まれて本来しなくてもいい苦労をしている人の話をいくつか聞かされたことから、このようなことが少しでもなくなるように力になりたいという思いを抱くようになったことが、それに勝るとも劣らぬ理由となりました。
仕事の中で嬉しかったこと
やはり、お金になる・ならないということよりも、困っていた人の力になれたという実感を持てた時が嬉しいです。不誠実な男から何とか慰藉料を取れた時とか、一時見られたことですが、破産已むなしとの思いで気落ちして相談に見えた方が、何か月か後に逆に百万以上のお金を返して貰って、信じられない思いで帰られるというような時が典型例でしょう。
弁護士になって大変だと感じること
世の中に法的解決を必要とする問題は沢山あります。しかし、弁護士を依頼することが(依頼者にとっても弁護士にとっても)引き合う事件はそう沢山はありません。
市民法律相談などで、法律問題については何らかの解決が可能であっても、それが社会的事実としての問題の解決に繋がらないような事案の相談を受け、その旨を説明することや、紛争の経済的評価から見て弁護士を依頼することをお勧めできない場合があり、大変辛い思いをします。
また、仕事を引き受けた上で大変なのは、依頼者との意思の疎通です。様々な依頼者がいらっしゃるため、説明したつもりであることが上手く伝わっていないことがあります。分かっていると思っていることが分かっていなかったという事態を避けるよう、細かいことまで説明すること、理解されているか逐一注意することに努めています。
仕事をする上で意識していること
専門職としては当然のことですが、法的処理に間違いをせず、万が一、間違いがあったと気付いたときには、隠さず、可及的速やかに是正することです。また、自分の通じていない分野における相談には決して適当に対応するようなことはせず、相談者に満足していただけるよう、その分野に精通している他の方に相談することをお勧めしています。
さらに、依頼者の話をよく聞き、その要望に耳を傾けるということも意識しています。しかし、必ずしも依頼者の要望を全て聞き入れることができない場合もあります。その時は、できないことはできないとはっきり伝えるようにしています。
関心のある分野
誰でもが当事者となり得る家事事件です。これは特別な知識を必要とする分野ではないと考えられていますが、誰にでも向いているとは思われません。理論的に結論を導き出すことよりも、依頼者との信頼関係を築きつつ、落としどころを見出していく作業が大事である事案が多いでしょう。
依頼者の人生は様々であり、それぞれをより良い方向に向けることに関与できることに、責任の重さと遣り甲斐を感じます。
今後の弁護士業界の動向
専門性の高い分野に特化した弁護士と、専門性の高い分野は扱わず、広く浅く一般的な法的サービスを提供する弁護士の2極に分化するか、単に儲かっている弁護士とそうでない弁護士に分かれるかのような気がします。
弁護士がたくさんいる中、弁護士の善し悪しが分からないという現状があるため、これからは商売の上手い人が儲かり、仕事はきちんとするのに商売が上手くない先生は儲からなくなってしまうのではないかと思います。