
高橋 修 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
「人権擁護、社会正義のため」と格好良く言いたいところですが、仕事と勉強の両立はむずかしく、当時勤めていた公務員をきっぱり辞めて、弁護士の何たるかも全く知らないまま司法試験を目指したので、特別な動機はありません。まだ若かったので、浪人生活をおくることに何のためらいもありませんでした。
仕事の中で嬉しかったこと
やはり仕事がうまくいって、お客さんに感謝された時でしょう。依頼者の思いどおりにうまく解決できて、報酬もたくさん頂いた時は嬉しいですね(笑)。
弁護士になって大変だと感じること
離婚事件や不貞、相続、男女のトラブル、借金整理などの事件を扱うことが比較的多いのですが、相談者や依頼者の思いや悩みを真正面から受け止めて適切な助言を行い、あるいは、その思いに沿って依頼を遂行するよう心がけています。でも、簡単に早く解決しそうに思える事件でも、なかなか簡単に思うように進まないことが多いですね。
それと、大概の事件はお金で解決できるものですが、親権や子の引き渡し請求など子供をめぐる争いなどは、お金で解決できないため、精神的にしんどいですね。
仕事をする上で意識していること
依頼者への説明を十分にすることですね。事件の見通しや報酬の説明を怠ったために、後で依頼者とトラブルになることだけは避けたいですね。負けたときにも依頼者に十分やってくれたと納得してもらえるくらい依頼者の信頼が厚い弁護士は良い弁護士だと言われていますが、説明を十分にすることで依頼者との信頼関係を築くように心がけています。
それと、弁護士は敷居が高く見られがちですので、事務所の敷居をできるだけ低くして、お客さんが気軽に利用しやすいよう心がけています。数年前からは、事務所のホームページを見て相談に来られる方がかなりの割合で増えており、ネットが顧客獲得の重要なツールになっています。弁護士の広告が原則的に解禁されたことで顧客と弁護士をつなげる便利なツールとして活用しています。
関心のある分野
分野というよりも、他の人と同じことをしていても駄目だと思い、大抵の弁護士が普段休みにする土曜日に毎週法律相談を行うなど、人が仕事をしない時間に働き、ほとんどの弁護士がやりたがらない、例えばヤミ金の事件などもできるだけ扱うように心がけています。
土曜にしか相談に行けないという人は結構多くて、お陰さまで週によっては行列ができるほど土曜法律相談が盛況となることがあります。
今後の弁護士業界の動向
諸外国に比べて少ないから弁護士をもっと増やして日本の社会の隅々にいき渡らせるという名目で行われた司法改革は失敗だったと思います。裁判の事件数は毎年減少傾向にあり、職域は広がらず、弁護士だけが激増し、最近は弁護士が仕事にあぶれる事態が起こっています。弁護士会の当時のお偉方は弁護士の激増をもたらす司法改革の旗を振りましたが、自分で自分の首をしめることになるのは誰しも分かっていることでした。司法改革とは名ばかりで、多くの弁護士の経済的困窮と社会的地位の低下を招いただけでした。
こんな話をすると弁護士業界はお先真っ暗のようですが、若い弁護士の皆さんは知財事件や医療事件、企業法務など人があまりやらない専門分野の仕事を積極的に開拓してほしいと思います。また離婚や不動産その他の一般事件でも、その分野では有名になるぐらいの弁護士を目指して頑張ってほしいと思います。