トラブルの本質を見極め、根本的解決を目指す 「本当の依頼者の利益」を考え、寄り添う姿勢を大切にしたい
困った人を直接助けたい 新聞記者を辞め弁護士へ
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
高校生の頃、「一生の仕事にするなら、人の人生にいい影響を与えられる仕事がしたい」と考えました。医者もいい仕事だなと思ったのですが、残念ながら血を見るのがダメで。理系よりも文系科目の方が得意だったこともあり、弁護士を目指すことにしました。
大学時代は司法試験の勉強に没頭していたのですが、なかなか合格できず、いったん司法試験をあきらめて新聞社を受験、幸い大手2社から内定を頂き、しばらく記者として働いていました。
でも、記者として取材対象と向き合う中で、トラブルや困りごとの渦中にいる人を直接助けられないこと、自分が部外者でしかないことに無力感を感じたんです。初心に戻ってもう一度弁護士を目指してみようと思い、記者を辞め受験を再開して2年で司法試験に合格しました。
本来の「目的」を常に意識して事件処理を進める
ーー注力されている分野を教えてください。
家族・親族に関する法律問題ですね。よくあるのは離婚・男女問題や相続です。これらに限らず親族間トラブルの相談は多いです。
近しい関係であればこそ、トラブルは発生しやすく、それはどの家庭でも同じでしょう。私自身にも妻と子どもがいますが、ときには衝突しますし、子どもへの教育の仕方、接し方に悩むこともあります。
家族親族にかかわる分野は、法律的な問題に限っても様々な考えや学説、裁判例が錯綜していてなかなかに複雑な分野です。価値観が真正面からぶつかる分野でもあります。心理学や社会学の知識も必要になってきます。
家庭や家族関係の安定は、仕事の充実や幸福な生活を送るためにも重要なベースです。できる限り視野を広く、情報収集をして、様々な観点から相談者・依頼者の状況を分析し、適切な解決をご提示できるよう心がけています。
ーー仕事をするうえで心がけていることは何ですか?
1つは、トラブルや依頼者の悩みの本質を見極めることです。ご相談時には依頼者から困っていることの主題や依頼者の願望を的確に聞き取ることを意識し、できる限り多方面から依頼者が置かれている状況を把握するようにして、できる限り1回のご相談の中で、解決までの見通しと最適な解決策を一通りご提案するようにしています。
もう1つは、本来の目的を意識して事件処理を進めることです。これは、冷徹に利害得失を分析して事件処理に当たらなければならない企業法務の場合にも当てはまると思います。
卑近な例でお話しすると、例えば調停は裁判とは違います。調停ではこちらが求める内容を相手方がある程度納得し、受け入れてもらえなければ、こちらのニーズを充足することはできないし解決にはなりません。ですから調停では、こちらの言い分を一方的に伝えるだけではなく、相手が受け入れ、納得してくれるように、という事を意識する必要があります。
特に家事調停は感情が絡むだけに、このことは非常に重要です。
離婚事件であれば、離婚を求めている依頼者の苦しみや悲しみ、憤り、辛い思い…なぜ離婚を求めるのか。依頼者の抱えている事情や感情を相手方に冷静に受け止めてもらい、今後のことを考えてもらうにはどうすればいいのか。これらを伝えるにしても、書面がいいのか、口頭がいいのか、表現の仕方、タイミング、手段や方法、それぞれの案件の当事者特有の関係性や性格など、案件ごと個別にいろいろなことを考えながら進めていく必要があります。
また、家事事件では当事者のその後の人生にも意識を向ける必要があります。トラブルを「解決」したとしても、親子関係・親族関係が終わるわけではありません。紛争ばかりにとらわれて感情的対立を激化させ、当事者のその後の人生に悪影響を及ぼすようなことがあってはなりません。
最近はこうしたことを意識しないまま事件処理を進め、かえって問題の解決を遠のかせてしまったり、子どもを傷つけたり、親子関係を断絶させてしまったりする弁護士が散見されるので、残念ですね。
「『知らない』を恐れる」ことが大事
ーー弁護士として活動してきた中で、特に印象的だったエピソードというのはありますか。
これは修習生時代のエピソードなのですが、弁護修習で初めて実務に触れた時、「このままではまずい」と焦りを感じました。弁護士の仕事は、試験勉強で得られた知識だけで処理できるものではありません。持ち込まれる相談や依頼に応じて非常に広範囲の分野の知識を短期間で集中的に学ばなければならない。今までの自分に「喝」を入れられた気がしました。
そのことを修習指導の先生に話したところ「本は惜しまず買いなさい」と教えられました。
「弁護士だからといって、何でも知っているわけではない。事件処理をするために一から知識を入れなければならないこともある。知っているはずの知識でも、間違っているかもしれない、自分が知っている法律や判例が、その後変わっているかもしれない。『知らないかもしれない』『間違っているかもしれない』ことを恐れなさい、必ず条文、判例、基本書、コンメンタール、本にあたって確認しなさい」と。
知識不足や間違った知識で仕事をしたのでは、依頼者に大変な迷惑をかけることになります。私が弁護士になったばかりの頃は、他事務所の先輩弁護士や裁判官も「後輩法曹」に説教をし、勉強不足・確認不足をたしなめてくれることがありましたが、最近はそうした機会も少ないようです。間違った知識を振りかざしたり、確認不足を指摘されたりしている弁護士を見かけますが、これは決して他人事ではありません。
私が修習生時代にそうした教えを受けたことは、非常に幸運だったと思います。「知らないかもしれない」「間違っているかもしれない」という危機感は、これからも忘れないようにしたいです。
父として、子どもをしっかりと見つめ、個性を伸ばせるように支えていきたい
ーー休日の過ごし方やご趣味を教えてください。
最近生け花教室に通い始めました。弁護士として働いていると、どうしても心が殺伐としてしまいますし、正直ストレスもあります。仕事のことをすべて忘れて、無心に、集中して花に向き合う時間は、今の私には貴重な時間です。
私には子どもが4人いるのですが、生け花には、子育てにも通じるものがあると思うんです。
その花が持っている自然の美しさを活かしてあげることが、生け花の真髄と教わりました。手元にある花をよく観察して、「美しく活けるにはどうしたらいいか」「花の個性を最大限に生かすには…」と考えながら生けないと、どうもうまくいきません。
子どもも花と同じように、1人1人違う個性を持っています。子どもの個性を理解し、可能性を広げてあげるためには、まずはしっかりと、その子を見つめることが大事だと思います。
そして、どうすればこの子の個性を伸ばせるのかな、と考えながら、ときに見守り、ときに手を差し伸べること。父親として、子どもたちが一番のびのびと育っていける環境を整えてあげたいと考えながら、日々向き合っています。
「根本的な解決」を信条に、全国からの相談に対応
ーー先生の今後の展望についてお聞かせください。
私のもとには日々、様々な相談が寄せられます。現在は家事事件以外にも、空き家問題などの不動産案件や企業の不祥事対応にも力を入れています。皆さんの知らないところで、報道されている案件にも関わったりしていますよ。
先ほど申し上げましたが、依頼者の抱えている問題やお悩みを、周辺事情も踏まえつつ的確に把握し、本当の意味でお悩みを除去できる、解決できる方法を提示したいと考えています。そのためにも、できる限り情報収集のアンテナを高く張り、基本的なことの確認も怠らないように意識しています。
それから、弁護士の力量を左右するのは、あきらめないこと、粘り強いこと、努力を怠らないことだと思います。これは新人だろうがベテランだろうが、同じだと思います。私もだんだん「ベテラン」の年齢になってきたのですが、努力していくつもりです。
裁判手続きのIT化が始まり、私もその分野に興味をもっています。SNSでの情報発信も時々やっていますが、機会があれば「YouTuberになりたい!」と思っています(笑)。先日家族にそう言ったら「恥ずかしいからやめてくれ!」と言われました(笑)。
ーー法律トラブルを抱えて悩んでいる方へメッセージをお願いします。
とにかく困っていることや悩んでいることがあったら、早めに相談することです。実際、ご相談にいらしてくれたおかげで、長年の懸案が一気に解決した、という事もあります。
私の事務所は大阪ですが、ご相談は全国から承っています。メールやリモートで遠方のお客様からご相談やご依頼を頂いてもおります。弁護士事務所が身近になく困っている方も、ぜひ一度、お気軽にお声がけください。