「人助けをしたい」という気持ちが原点〜消費者問題に注力し、被害者の救済・啓蒙活動に取り組む
数理工学科から司法試験へ、大きな方向転換
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
私はもともとは数学が好きで、大学では工学部を専攻し、その後は大学院の博士後期課程まで進みました。研究に対してはやりがいを感じていたのですが、徐々に、パソコンの画面とだけ向き合う生活に行き詰まりを感じ始めたのです。
パソコンの画面ではなく、人と向き合いたい。研究職以外で、自分が打ち込める仕事は何だろうかーー。そう考えたときに浮かんだのが弁護士でした。一念発起して大学院を中退し、弁護士を目指して勉強を始めました。
ーー工学研究からの文系転向は大きな方向転換だと思います。なぜ、弁護士に興味を持ったのでしょうか。
1つのきっかけとなったのは、大学院時代に、友人がインターネット上の誹謗中傷被害に遭ったことです。当時はまだインターネットの黎明期で、友人はどう対処すればいいのかわからず悩んでいましたが、弁護士に依頼したことでスムーズに解決することができました。
この出来事があってから、弁護士のように人助けに関わる仕事に対して憧れるようになりました。
また、私の曾祖父が弁護士で、幼い頃から身近な職業だったことも影響していると思います。
ーー理系からまったく知らない分野への挑戦ということで、勉強で苦労したこともあったのでは?
法律には理系科目と近いところがあるんです。法律は理屈を重視する学問です。A=B、B=C、よってA=C、というように、論理的なプロセスで問題を解決します。その点、数理と近い考え方だったので、意外ととっつきやすかったですね。
形を変えて繰り返される消費者被害。予防としての啓蒙活動と早期の対応が重要
ーー注力している分野を教えてください。
消費者問題に力を入れています。弁護士会の消費者委保護委員会にも入っており、消費生活センターで市民向けに話をしたり、学校で講義をしたりすることもあります。
特に高齢者の被害が甚大で、数百万円、数千万円を騙し取られてしまうこともあります。太陽光パネルのレンタルオーナー商法や、投資詐欺などもよくありますね。
消費者事件は、被害者がなかなか救済されないというイメージがあるかもしれません。確かに、取られた金額を全て取り戻すことは難しいことが多いですが、早期に弁護士が入って対応することで、ある程度返済されるケースは少なくないのです。
被害に遭ってしまった方の救済とともに、トラブルを未然に防ぐための啓蒙活動も積極的におこなっています。世の中には人を騙してお金を取る詐欺師が存在し、その手口は日々進化しています。どのような手口の詐欺が横行し、騙されないためには何に気をつければよいのか、といった情報を発信し、被害者を1人でも減らすことに貢献できればと思っています。
ーー依頼者のために心がけていることは何ですか?
トラブルの解決方法を丁寧に説明し、納得してもらった上で対応を進めることです。依頼者自身が自分の案件の状況を常に把握できるよう、進捗もこまめに報告しています。
トラブルの経緯や証拠を聞く限り、依頼者が望む結果が見込めないと判断した場合には、受任する前にはっきり伝えます。
ただ、見込みが薄いのは理解した上で、戦うことを希望する方もいます。思い通りの結果が得られなかったとしても、やるだけやったことで気持ちの整理がつき、前に進める方も実際にいます。
困難な案件だからといって、諦めるようなことはありません。依頼者の負担や損害を最小限に抑え、考えられる限りで最善の結果を出せるようサポートを尽くすことが、弁護士の役割だと考えています。
ーープライベートについても伺います。休日の過ごし方やご趣味を教えてください。
最近は休日も仕事をすることが多いのですが、ずっと仕事のことを考えていると行き詰まってしまうので、ときどき散歩に出てリフレッシュしています。
もちろん、いつも仕事ばかりしているわけではないですよ。お笑いが好きなのでバラエティ番組を見たりして、ゆっくり過ごす時間も持つようにしています。
トラブルに巻き込まれたら、冷静な判断は難しい。解決のためには、専門家のアドバイスが有効
ーー法律トラブルを抱えて悩んでいる方へメッセージをお願いします。
まずは弁護士に相談してください。自分だけで悩んでいると、どうしても客観的な視点を持てなくなります。我々弁護士も、自分が法的なトラブルに巻き込まれたときには、他の弁護士に相談・依頼します。普段は依頼者の悩みを解決する側の弁護士でも、いざ自分がトラブルの当事者になると、冷静に状況を分析し、対応することは難しいのです。
弁護士に依頼したら裁判になると思う方もいるでしょう。しかし、裁判はあくまでも解決方法の1つにすぎません。話合いだけで穏便に解決できる場合もあります。
「悩みを解決するために、法律に詳しい人の意見を聞いてみよう」。そんな気楽な感覚で弁護士にアクセスしていただければと思います。