弁護士歴30年以上の経験を活かして相続分野に注力〜事件の背景にも目を向けて心情に理解を示す
司法試験勉強の苦悩のなかで気づいた法律の魅力
――弁護士を目指したきっかけを教えてください。
大学入学当初は、弁護士になろうという気持ちは全くありませんでした。しかし、大学での勉強や法学部でともに学ぶ仲間との対話を通じて、弁護士という職業の役割や意義に深く共感し、目指してみようと思ったのです。
私の性格や資質にも弁護士という職業が合っていたのだと思います。特に、組織に縛られることなく、自分の力で仕事を成し遂げていく働き方に魅力を感じました。
――司法試験受験で苦労したことなどはありますか。
法律に全く馴染みがなかったため、最初は法律の考え方や、法律を使って何をするのかという基本的な理解に時間がかかり、非常に苦労しました。高校や大学の受験勉強では、記憶したことをそのまま回答することが求められましたが、法律の世界はそれとは全く異なるものでした。
法律の解釈には多面的な要素があり、人々の考え方や利益を考慮し、時には対立を調整しながら解決していく必要があることに気づきました。このことを理解してからは、法律の面白さや奥深さを感じるようになり、ますます勉強に力を入れるようになりました。
予習を行うことで依頼者の理解度を高める
――現在注力している分野とその理由を教えてください。
相続分野と交通事故の相談が比較的多いです。相続分野に関しては、弁護士会の研修企画に携わったことがきっかけで注力するようになりました。
研修を企画する過程で、相続分野に詳しい弁護士や家庭裁判所の裁判官と話をする機会がありました。その際、「相続分野は多くの弁護士が扱う分野でありながら、実は十分に理解されないまま実務処理されているケースが多い」という指摘を受けました。
そうした現状を他の弁護士にも知ってもらおうと、研修内容に取り入れることにしたのです。それと同時に、自分自身も相続分野についてより深く学ぶ必要があると感じました。それ以来、相続分野に特に興味を持ち、注力するようになりました。
――弁護士として活動する上で心がけていることはありますか。
依頼を受ける前にしっかりと予習を行うことを常に心がけています。問い合わせを受けた時点で、まず概要を伺います。そして、その情報をもとに、相談内容を予測し、関連する判例や文献を事前に調査します。
この事前準備により、依頼者が来訪された際に、時間を最大限有効に使うことができます。依頼者の話を聞きながら、すぐに適切なアドバイスや解決策を提示することが可能になるのです。
また、関連する判例を資料として提示することで、依頼者の理解と納得を得やすくなります。口頭だけで説明するよりも、私の説明の信頼性が高まり、依頼者も自分の状況をより客観的に理解できるようになります。
――依頼者とのコミュニケーションにおいて意識していることはありますか。
相続問題のような家族間のトラブルは、単なる法律問題以上の複雑さを持っています。多くの場合、表面化した法的問題の背後には、長年にわたる家族の歴史や複雑な人間関係が存在します。そのため、法律家として法的側面に焦点を当てつつ、同時にその背景にある人間関係や親族関係にも十分な注意を払うよう心がけています。
ただし、ここで重要なのは、依頼者の感情に寄り添いすぎないことです。依頼者の気持ちに理解を示すことは大切ですが、客観的な視点を保つことも私の役割です。依頼者の感情に同調しすぎると、冷静な判断力を失う恐れがあります。客観的な視点を保ちながら依頼者の気持ちを理解し、丁寧に対応することを意識しています。
――これまでの活動で印象に残っている案件やエピソードを教えてください。
裁判で自分が予想した通りの判決が出たときは、やはり嬉しいものです。一方、絶対に勝てると思って臨んだ裁判で敗訴することもあります。しかし、そういったケースで控訴審に進み、逆転勝訴となったときは、最初の見通しや法的判断が間違っていなかったと証明され、非常に嬉しく感じます。
依頼者も救われたという実感がありますし、同時に私自身も救われた気持ちになります。このような経験は、弁護士としてのやりがいを感じる瞬間でもあります。
依頼者の権利を守りつつ社会全体の利益にも貢献したい
――趣味や休日の過ごし方を教えてください。
趣味は読書で、特に歴史や生物学などの本を読むのが好きです。歴史書から人間社会がどのように形成され、変遷してきたのかを知ったり、生物学の本を通じて人体の構造や機能を学ぶことに魅力を感じています。
休日は、スポーツジムで体を動かすことが多いです。運動の後は、サウナでゆっくりとリラックスするのが習慣になっています。
――今後の展望として考えていることはありますか。
自分が本当にやりたい仕事に携わり続けたいです。もちろん、弁護士事務所の経営という観点を考慮する必要はありますが、できる限り自分の信念や興味に基づいた仕事をしていきたいと考えています。
私が目指しているのは、依頼者とともに歩み、裁判所から正当な判断を得られるような案件に携わることです。そして、そのような判断が社会に認められ、新たな判例として残るような案件を手がけたいと考えています。
法律家として、単に個別の案件を解決するだけでなく、その解決が社会に広く影響を与え、正義や公平の基準を示すことができれば、それは大きなやりがいにつながります。
もちろん、全ての案件がそのような大きなインパクトを持つわけではありません。一つひとつの案件に真摯に向き合い、依頼者の権利を守りつつ、社会全体の利益にも貢献できるような仕事を続けていきたいと思っています。
――最後に、法律トラブルを抱える方へメッセージをお願いします。
法律トラブルを抱えている方の中には、「これは相談すべき問題なのか?」「相談することで本当に何か変わるのか?」といった疑問を抱き、最初の一歩を踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
しかし、弁護士に相談して話を聞いてもらうことで、状況が大きく変わることは少なくありません。自分とは異なる視点に触れることで、悩みの本質に気づいたり、気持ちを整理できることもあります。
「ちょっと話を聞いてもらおうかな」という気軽な気持ちで、ぜひ一度相談してみてください。そこから解決への道が開けることもあるはずです。