岸田 好美 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
弁護士は知的職業というイメージがあり、漠然としたイメージですがあこがれを持っていました。独立して自由に仕事ができるということ、自分の意思で行動できるということで魅力を感じておりました。
また困った人を助ける仕事ということで弁護士を目指しました。
受験時代に苦労したこと、勉強をする中で工夫したこと
私は長男で跡継ぎということもあり、東京から田舎の実家に帰ることになりました。実家は商売をしていましたので、仕事をしながら勉強していました。
私の両親は、仕事をすることを条件に司法試験を目指すことを許してくれました。当初は一人孤独に勉強していましたので受験情報も乏しかったですし、受験仲間もいませんでした。そのような環境だったので、途中何度も挫折しそうになりました。しかし弁護士になれないのならば、このまま実家の後継ぎをするしかなく独立できないので、弁護士になるしかない!と思い頑張りました。
勉強の工夫ということでもないですが、近くにある大学の聴講生になりました。大学の図書館を利用させてもらい勉強しました。おかげで受験仲間もでき、いろいろ情報交換もできました。めげずに勉強を続けられたのは仲間のおかげです。
印象に残っている事件(案件)
本当に色んな事件が印象に残っていますが、とくに刑事事件の思い出として、さる刑事事件で勾留されていた被告人に代わって別件の被害者宅に被告人の奥さんととともに謝罪に行ったことがあります。事前に謝罪に行くことに被害者は同意しておきながら、さんざん悪態をついて被告人の奥さんを泣かせていました。私も暴言を吐かれましたが、立場が立場だったので辛抱しました。
その一方、前夜飲酒して、朝方居眠り運転で前方走行の車両に追突して逆さまに倒し、そのまま逃走したという事件も担当しました。拒絶されること覚悟で保釈された被告人に同行し謝罪と嘆願書の依頼に行きました。
ところが、被害者は「怪我はもう治ったから大丈夫や。今後二度とこのようなことをしないように。若いのだから、まだまだこれからの人生やから」と被告人を励まし、こちらがお願いする内容以上の嘆願書を書いてもらいました。対照的な被害者の態度に接し、印象に残っていますね。
仕事の中で嬉しかったこと
嬉しかったことは、今でもそうですが依頼者に喜ばれることです。依頼者は切羽詰まった状況で相談にきます。事件を解決することによって依頼者に喜んでもらうこと、そして依頼者が人生を再出発されることが嬉しいです。
例えば、ある破産申立をした依頼者から「いままでは仕事をしても、どうせ借金取りに取られるだけだからやる気が出なかったけど、おかげで働く意欲ができました。貯金もできましたので、夫と旅行しました。これはお土産です」と言ってネクタイを頂いたことがあります。
私のしたことは、ささやかな助力にすぎないのにこれほど喜んでもらえるとは、弁護士冥利につきますね。いまでも年賀状のやりとりをしています。
弁護士になって大変だと感じること
弁護士は紛争解決が仕事ですので、精神的に大変な面があります。もっとも、勤務弁護士時代は精神的な大変さは感じなかったです。ほとんどは事務所の事件でしたので、最終責任はボスが負ってくれました。「ホウレンソウ」をきちんとすれば、ある意味免責される立場でした。
しかし、独立すればそうはいきません。全てが自己事件ですので最終責任は自分にあります。事件解決については、今でもずいぶん悩みながら仕事をしています。
また、独立すれば経営者としての責任もあります。事務所を維持していくのは本当に大変です。
依頼者と接する際に気をつけていること
緊張している人には、なごやかに接するようにしております。元々なごやかな性格なこともあり、意識せずに自然とできていると思います。
依頼者は得てして甘い考えをもって相談にやってくることがあります。そういう場合は、きちんとリスクも説明し、費用対効果も説明することが大切です。事件解決に至るプロセスや費用をきちんと説明するという姿勢を大切にしています。
関心のある分野
私はいわゆるマチ弁ですので、個人の事件が多いです。
特にということでもないですが、交通事故賠償は関心をもってやってきました。また私の依頼者は企業といっても中小企業や個人事業主ばかりですので、相続問題も含めて事業承継に関心があります。
今後の弁護士業界の動向
弁護士増員自体は世の趨勢でしょうが、あまりに急激に大量増員したことでひずみが生じているのも事実だと思います。合格者を抑えて、様子を見ながら徐々に増員していくことも考えるべきかと思います。状況によっては現在より合格者を減少させることも選択肢の一つかもしれません。
またロースクール制度もよいのですが、ロースクール卒業でなくても弁護士になれる制度も維持しておくと、より多様な人材が法曹界に入ってこられるのではないでしょうか。夜間のロースクールがあれば、可能性が広がると思います。良い人材を確保するためにも、制度の見直しは必要になってくると思います。
弁護士業界の動向としては、弁護士法人化した大事務所が各地に事務所を設けることが広がると思います。これまで個人事務所だったのが、共同事務所化することも進むのではないでしょうか。
弁護士個人で言えば、医師のように専門家していくと思います。いずれにしても事務所や弁護士は、より多様化すると思います。
今後のビジョン
いろいろな分野の事件をやりつつも、得意分野をもっと増やし且つ研鑽を積んでいこうと思っております。
ページを見ている方へのメッセージ
同じ事件であっても、弁護士によって考え方や事件解決の方法は異なります。また依頼者との相性もあると思います。ですので、いろいろな弁護士に相談したらいいと思います。また、甘いことばっかりいっている弁護士より苦言を呈する弁護士のほうが依頼者にとっては、結果的には良いのではないかと思います。