宮本 亜紀 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
働く母が、労働現場での女性差別を無くすべきだと常々語り、住友金属女性昇格差別裁判等を知り、司法を通じて社会を変えていけると思ったためです。その他、朝日訴訟や長沼ナイキ訴訟など数々の憲法訴訟で弁護団が、原告の想いを法律論として堂々主張展開し、憲法を実現させようとする姿に憧れたためです。
新司法試験、司法制度改革について
私にとっては、法科大学院で尊敬する教授や議論し合い信頼できる学友を得られ、勉強に集中できる環境は良かったです。しかし、高学費であり、さらに司法修習生の給費制が廃止され、法曹をめざすことに経済的不平等をきたしています。
法科大学院時に奨学金で平均350万円の借金、修習資金貸与制により300万円の借金、加えて大学で奨学金を借りれば、借金総額1000万円を超えてしまうのです。給付型奨学金の拡充と給費制を復活すべきと思います。特に、給費制廃止によって、経済不安により充実した修習ができないなど、弊害が現実化しています。
また、修習資金貸与制は、修習をしっかり受けさせるために専念義務があり他の収入手段がないから、国が借金を強制するという不合理な制度です。国民のために優秀で多様な法曹を育成することに、国が責任を持つべきです。司法予算が国家予算の0.4%と少な過ぎるのが問題です。
ビギナーズ・ネットの活動について
ビギナーズ・ネットは2010年6月にでき、大学生・法科大学院生・同修了生・修習生・若手法律家2100名余り(2012年8月現在)で構成され、給費制復活をめざして当事者の立場から活動しています。当初から日弁連・各弁護士会と市民の会と協働しています。給費制復活には、裁判所法改正の必要があるので、国会議員や市民・マスコミに理解と賛同をえる活動をしています。
2010年11月には、給費制1年延長を勝ち取りました。2012年は、貸与制の新65期司法修習生からアンケートで集めた声でひどい実態を具体的に伝えています。議員会館の前で半年間週に2日ビラ配りを続け、2012年7月27日に改正裁判所法が成立し、政府で再度議論がされることになりました。そこでの給費制復活の結論を求めて活動中です。
今後の弁護士業界の動向
実際に、法科大学院を受験者が当初の7分の1まで激減していることから、優秀で多様な人材が法曹を目指さなくなっているのではないか、法曹界の先細り、司法権の弱体化が心配されます。原因はいくつか考えられますが、給費制廃止による経済的負担の大きさも一つです。
法曹養成制度全体の問題点について、現在、改正裁判所法に基づく政府の有識者会議(法曹養成制度検討会議)にて、議論されています。このまま弱体化し余裕が無くなれば法曹界の結束が崩れ、公益的活動や司法による救済が乏しくなるなど、国民全体に悪影響があるのではないかと思います。