依頼者の悩みに寄り添い「いつも通りの生活」に戻れるようサポート
全盲の弁護士に憧れて弁護士の道へ
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
大学では物理学を学んでいたのですが、先天的な眼の病気があったため、将来進むべき道を悩んでいました。
そんなある時、全盲で弁護士になった竹下義樹弁護士の本を読んだんです。竹下弁護士は、法務省に掛け合って前例のなかった点字での司法試験を実現し、全盲として初めて司法試験に合格されて弁護士となった方です。
私は全盲ではありませんが、竹下弁護士の道を切り拓く力に感動して自分も弁護士を目指そうと決意しました。目が悪かったためインプットに時間がかかるなど、勉強には苦労しましたが、何とか司法試験に合格することができました。
自分のこれまでの人生を振り返って思うのは、「普通に生きていくこと」の大切さです。私も目の障害で悩んだ時期がありましたが、気持ちを切り替えて生活していくことも大切です。
法律トラブルも、それを抱えることで気持ちが切り替えられず、「いつも通り」にいかないことが多くあります。弁護士として依頼者の声に寄り添いながら、気持ちを切り替えて前を向けるようサポートしたいと思っています。
目に見える形で依頼者を救えることにやりがい
ーー注力分野を教えてください。
交通事故をはじめとする損害賠償事件と、労働者側の労働問題に注力しています。
交通事故や労災などは、賠償金という目に見える形で被害者を救済できるためやりがいを感じています。
最近では、職場でのハラスメントの相談も増えています。社会の意識が変わってきていることも関係しているでしょう。ただ、解決までの道のりが険しい分野であることは事実です。
例えば、ハラスメントは会社内の出来事のため、同僚からの証言が得られにくいことや、会社を辞めない場合には、加害者が常に目の前にいるため、ストレスが大きいことなどが解決を困難にしています。
一人で立ち向かい続けるのは、とても辛く大変なことであり、精神的なサポートも含め、依頼者の方が戦う手助けができればと思っています。
ーー仕事をする上で心がけていることは何でしょうか。
依頼者と対等に話をして、気持ちに寄り添うことです。納得できる解決を目指すためには、依頼者とフラットに何でも話ができる関係が重要と考えています。
弁護士の仕事は「先生」と呼ばれる職業のひとつですが、「先生の言うことだから仕方ない」「相談しにくい」と思われる状況は避けなければなりません。
法律は理屈の世界ですが、当事者の気持ち・感情を置き去りにした法律論争だけでは、本当の解決はできません。現実的な見通しや法的な論理を伝えるという弁護士の責任を果たしつつ、気持ちに寄り添うことも大切にしています。
ーー弁護士として活動をされてきた中で、印象に残っているエピソードを教えてください。
無戸籍の子どもの日本国籍取得を目指した事件が印象に残っています。
依頼者の女性はフィリピンから来日し、日本人男性との間に子どもをもうけましたが、フィリピンでの離婚が成立していなかったために、法的に婚姻することができませんでした。フィリピン人の結婚相手は居場所もわからず、離婚の手続を進めることが難しい状態だったのです。
法律的に難しいのは、生まれた子どもは、日本人男性と血縁関係があっても、離婚が成立していないフィリピン人男性の子であると法律上推定されるため、日本人男性が子どもを認知することが役所で認められなかったことにあります。子どもは、日本国籍がなく戸籍もないまま、小学生になりました。
他の法律事務所では引き受けてもらえず、私のもとに相談に来ました。難しい事件だとは思いましたが、血縁関係があるにもかかわらず親子として認められない理不尽な状況、日本国籍も戸籍もなく不安定な状況をどうにかしたいと思い、引き受けることにしました。
国籍取得までさまざまな法的ハードルがあったのですが、最終的には日本人男性による認知が認められて、子どもの日本国籍が認められ、戸籍も編製されました。依頼者に喜んでもらえましたし、思い入れの深い事件として記憶に残っています。
ーープライベートについても伺います。休日はどのようにお過ごしですか。
旅行が好きで、夫婦で47都道府県すべてを訪ねることを目標にしています。30を超える都道府県に行きましたが、コロナ禍になり最近はあまり出掛けられていません。特に九州地方がまだまだですので、少しずつ旅を再開できればと思っています。鳥取県でパラグライダーをしたことや山口県の秋吉台の鍾乳洞などが心に残っています。
より研鑽を積み、よりよい解決を追求
ーー今後の展望をお聞かせください。
注力している交通事故をはじめとする損害賠償請求の分野と労働分野に、より一層精通できるよう研鑽を積んでいきたいです。
ハラスメントの事件では、慰謝料という解決に加え、本当に大切なのは職場環境の改善です。最近ではハラスメント委員会などを設置している企業も多くなっていますので、必要に応じてそちらに訴え、指導や配置転換などを促すお手伝いもしたいと思っています。
会社を相手に闘う場合、一人ではかなり難しいと思います。会社としても弁護士が出てきたら、本腰を上げない訳にはいきません。見て見ぬふりや放置をさせないよう、ともに闘っていきましょう。
ーー法律トラブルを抱えて悩んでいる方へメッセージをお願いします。
悩みを抱えている方の中には、「こんなことで弁護士に相談してもよいのだろうか」と思っている方もたくさんいます。「お金がないから相談できない」と思われる方も少なくありません。
しかし、そんなことはありません。まずは気軽に相談してみてください。たとえ法律的な解決が難しい問題だったとしても、誰かに相談すること自体に大きな意味があるはずです。もちろん可能な限り、弁護士が解決の糸口を探ります。
経済的な面では、法テラスを活用できることも多々あります。足を運んでもらえれば、きっとなにかしらよい方向に繋がっていきます。まずはお気軽にご相談ください。