
川本 哲 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
大学に入って、将来どのような仕事に就こうかと考え始めた時に、やはり、仕事を通して色々なことを学べて人間として成長できるような仕事に就きたいと思いました。弁護士は、人の人生を左右する場面で重要な役割を果たす仕事ですので、弁護士になれば色々な人と出会えて、色々な人生を垣間見ることができ、人生観や人間観を深めることができると思いました。
弁護士になって感じること
実際、依頼者には色々な人がいて、とんでもなくダメな人や、逆に尊敬に値する素晴らしい人もいます。ダメな人を見た時には、あの人はなぜあんなにダメな人になったのだろう、自分も過去にどこかで何かが間違っていたらあのようになってしまっていたのではないか、と恐くなる時もあり、素晴らしい人を見た時には、自分もいつかあのようになれるかな、と思ったりします。
色々な人の人生を見て、自分の人格の発展に役立てたいという動機で弁護士を目指したわけですが、弁護士になってみて、実際に、思った以上に色々な人生を目撃して、人生勉強をさせてもらっていますので、やはり弁護士になってよかったと思います。
仕事の中で嬉しかったこと
事件の勝敗よりも、依頼者に満足してもらえた時が嬉しいです。たとえ依頼者が当初望んだ結果にならなかったとしても、最善を尽くして事件処理にあたれば、満足してくれる依頼者はいます。最善を尽くしたことに対して感謝してもらう時が嬉しい瞬間です。
弁護士になって大変だと感じること
争っている当事者の間に立つことはかなりのプレッシャーになります。相手方との関係では戦わなくてはいけないし、依頼者との関係でもミスは許されないからです。紛争という、人間の気持ちと気持ちのぶつかり合いの中で依頼者の人生を左右する仕事をしなければいけないことが一番大変だと感じます。
刑事事件では、言った・言っていないなどの揉め事も多く、勝手に勘違いされ後から恨まれることもあります。法律事務所に来る人は非常に気持ちが強く、それゆえ求めるものも大きいのです。
仕事をする上で意識していること
市民の感覚と、法律家の常識とのギャップをわかりやすく説明することです。法律知識や事件の見通しについて、依頼者に対してしっかりと説明し、理解してもらうようにしています。
依頼者に状況を十分に把握してもらって、悔いのない判断をしてもらうために、依頼者に対して、法律知識や事件の見通しなどを説明する際には、時間と手間はかかっても、依頼者が納得いくまでしっかりと説明するようにしています。
また、弁護士の仕事は、勝つことを超えて広い意味で紛争を解決することだと考えています。単に法的解決をするだけではなく、依頼者が紛争解決後、前向きな気持ちになって生きられるような解決を目指して仕事をしています。
関心のある分野
親子の面会交流の問題です。子供のいる夫婦が離婚して、夫婦の一方が子供を引き取ることになった場合に、夫婦は仲違いして別れるわけですから、子供を引き取った親が、引き取らなかった親と子供を会わせないようにすることがあります。
そのような場合に、日本の民法では、子供を引き取らなかった親に対して、我が子と会う権利が認められていません。親同士は離婚をしても、親と子供という関係には変わりはなく、子供が両方の親から愛されていることを確認することは子供の健全な成長にとって重要です。しかし、日本の裁判実務においては、離婚後の親子の交流を軽視する傾向があります。このような状況に風穴を開けることができるよう取り組んでいきたいと思います。
今後の弁護士業界の動向
弁護士の数が増えて、弁護士報酬の相場が下がり、個々の弁護士の収入も減るようになるでしょう。現にそのような傾向を肌で感じることがあります。さらに法律相談の件数が減っているので仕事は以前より減っています。真の実力を備えていなければ淘汰されてしまう時代になると思います。