幸田 直樹 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
立場の弱い人を助けたいと思ったことがきっかけです。
私自身が母子家庭で育っており、経済的にも社会的にもどちらかといえば弱い地位にありました。その生活で思ったのは、世の中は弱者に優しくないことが多いということです。例えば、自分を助けてくれる制度が存在したとしても、それを知らなければ制度など存在しないのと同じですが、その情報は本当に大変な状況にある人ほど生活することだけで精一杯であって知る機会が少ないように思います。
他方、私や私の親なども、役所の対応でいい思いをしなかったことが少なくありませんでした。弱い立場の人に対して厳しく対応される(しなければならない)人がいるのも、良し悪しは状況次第ですが、事実だと思います。国の制度は、使うための制度であるのに、いざ、使おうとすると、法律とは関係のない、不合理な理由で弾かれてしまうことがあります。
また、日本の国民性とも関係があると思うのですが、制度があっても利用したがらない人が多いのも問題です。この様な状況下では、ひとたび弱い立場に立たざるを得なくなれば、とある知識を知っていれば再起することができるのに、それを活用できない・・・ということが容易に想像できます。
そこで、私自身が、立場の弱い人に手をさしのべ、助けることができる立場になりたいと考えて、思いついたのが弁護士という仕事でした。事務所によって色は様々だと思いますが、私が所属している事務所は地方にあるということもあり、企業というよりは、個人の依頼者が多く、私の行いたかった弱い立場の人を助けるお仕事はできています。
例えば、先ほどの国民性のお話とも関係があるのですが、残業代未払いのなどの労働事件があったとしても、労働者は会社に雇ってもらっているのだからという理由で、行使すべき権利を行使できないことが多々あるかと思います。中には納得していないが言い出せない人もいます。そのような人に対して、弁護士として、手を差し伸べて、解決に導いた時は、大変なやりがいを感じます。
一方で、弁護士をしていて、大変と感じることや、悔しい思いをすることもあります。弁護士といえども、困っている人全てを助けられるわけではありません、例えば、お金がなくて困っている人に、生活保護受給で、その問題の解決を提案しても、生活保護は申請してすぐにお金がもらえるとは限りませんので、明日生活するだけのお金のない人には、その方法では解決にはなりません。もう少し早い段階で弁護士への相談に来ることを踏み切れる世の中になれば、と悔しい思いをします。
今までの経験と現在の仕事内容
奈良県で弁護士をしていることから、破産・交通事故・離婚・相続・労働事件(労働者側)・行政事件(住民側)・刑事・少年(少年の刑事事件)など様々な事件を扱わせて頂いています。特に、労働事件(労働者側)や行政事件(住民側)は、私が弁護士になろうと思った理由である立場の弱い人を助けるというものでやりがいを感じています。
労働事件・行政事件両方について言えることですが、どちらも上下関係があるため、泣き寝入りしてしまいがちな分野であり、それがまかり通るとますます弱者に厳しい世の中になってしまいます。あるべき姿というものが蔑ろにされる世の中にはなって欲しくないと常々思っています。
特に印象的な事件は今も係属中なのですが、地域の住民はゴミ処理場が寿命で廃炉にされるとの話を聞いていたところ、もっと大きなゴミ処理場に立て替えるということで、行政訴訟を起こしたものです。行政訴訟は、行政が大きな裁量をもっている点や、住民と行政とでは情報量に差がある点などから、非常に難しい訴訟です。しかし、その分、やりがいも感じます。
弁護士としての信条・ポリシー
依頼者からと打合せなどの話の場では言葉遣いに気をつけています。というのも、弁護士は、ともすれば専門用語を乱発してしまい、依頼者の理解が追いつかない、という恐れがありえますので、できるだけ日常で使うような言葉で相談や打合せを行い、説明を厚く行うことを意識しています。
それに加えて、相談者・依頼者から話を聞く際には、その人にとって最もよい解決が何であるかをしっかり考えるようにしています。人によって、求めているものは様々であり、何を重視しているのかも違うと思います。いくつかの方法が考えられる時には、それぞれのメリットデメリットを本人によく伝えた上で、どの方法がその人にとってはベストであるかを本人と一緒にしっかり考えるようにしています。
また、弁護士に求められる資質は、相手の反応から、相手の理解度をはかる力と、わかりやすく噛み砕いて話す力だと思います。
関心のある分野
「今までの経験と現在の仕事内容」にも書いていますが、労働事件と行政事件は弁護士になる前から関心がありました。
それ以外も多種多様な分野に関わりを持たせて頂いているのですが、特に消費者被害や少年事件などにも関心をもっています少年事件については、非行を犯してしまった少年の特徴の一つとして、家庭環境が悪かったり、年上の人に悪影響を受けたり、さみしさから横道にそれたりなど、環境が原因のことが多いです。
弁護士として、彼らに関わることで、更正の手助けができたら素晴らしいことだと思います。これらは、そのまま何もせずに放置されてしまうと本人にとって良い方向には全く進まないものですが、弁護士による支援が入ることで、あるべき姿へ戻していくことができるという点があると思います。