小林 正 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
私は法学部出身で、卒業後は銀行に就職し、約10年間勤務しましたが、なかなか仕事がしっくり来ませんでした。今後の人生を考えた時に、弁護士という仕事であれば理屈通りに物事が進むのではないかという期待感と、事実に規範を当てはめて解決していくという建前の社会で生きていきたいと思い、弁護士を目指しました。
仕事をする上で意識していること
私は、来客中でも基本的には電話に出るようにしています。それは、私も依頼者もお互いが楽になり安心することができると思っているからです。その場で電話に対応することで、後でかけ忘れることもありません。弁護士に電話がかかるという時は、伝えたいことがあるからです。依頼者との信頼関係を維持すること、満たすことを意識しています。
今までの経験
私は、基本的にはやらない事件はありませんが、民事介入暴力被害者救済や高利金融被害者救済というのがライフワークです。
印象に残っている案件(事件)
10年以上前になりますが、依頼者が暴力団組長の運転する高級車に横から衝突してしまい、こちらに一方的な過失がある事件を受任しました。謝罪を求められ、やむなく暴力団事務所に行きましたが、事実上監禁状態になり、依頼者にも怖い思いをさせてしまいました。相手方にも弁護士がついたものの、肩書を偽る診断書が提出されたことから、公文書偽造罪で告訴ました。
相手方の弁護士が交代した以降も、当時は珍しかったPTSD(外傷後ストレス障害)の大学病院医師作成の診断書が提出され2億円もの損害賠償請求を受けたことから、独自に実況検分をなしその衝撃度を立証するなど、様々な苦労をした結果、数十万円の支払いの判決を得ることができた事件が忘れられません。
長野県の弁護士会会長として取り組んだ仕事
広報活動が足りないという意識があったので、テレビとラジオを使ったCMを企画しました。
もう一つ、それだけでは単発的なものになってしまうので、日常的にアクセスできる長野県弁護士会のホームページを若手の弁護士にバージョンアップしてもらいました。中堅弁護士のエッセイと若手弁護士のコラムのコーナーを作り、弁護士は普段こういう仕事をしていますということをPRしました。
最近は、更新の頻度が落ち、趣味などをコラムに掲載する先生が増えてきているので、長野県の弁護士の先生方には、弁護士の仕事についてPRしてもらいたいと思います。
広報活動に取り組んだ理由・今後の弁護士業界の動向
弁護士の公益活動というのは、弁護士法が法律制度の改善を弁護士の責務として命じていることからして職務の一環として当然にやるべきことですし、弁護士会は実績を積み上げています。しかし、社会の中で今一つ評価されてないのではないかと思います。
弁護士会としての活動である人権擁護活動や消費者被害救済活動など、弁護士が一生懸命に役割を果たしている仕事をしているということを、社会や市民の皆さんに知ってもらえば弁護士制度が守られるのではないかという私の考えがあります。
国から相対的に独立した意味を持つ弁護士制度が守れるかという瀬戸際に立たされている現状認識が私の中にあります。今、弁護士の果たすべき役割が依頼者の言うことを聞いていれば良いという風潮になりつつありますが、法曹として社会に対する提案をしっかりしていくことが大切だと思います。
また弁護士の数が急激に増えて、経済的に苦しい状況になってきています。経済的基盤を確保してしなくてはいけません。現在の若手の弁護士の仕事の依頼は、法テラスに頼っていることが非常に多いです。弁護士は弁護士会に登録し、会費を納めなくてはいけませんが、仕事が無いので登録しないという選択をする弁護士が増えてきているのが現状です。