
離婚問題の専門家として 依頼者が笑顔を取り戻せるよう、解決までの道のりをともに歩む
「社会の問題を身近なところから解決したい」
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
高校時代に出会った人からの影響が大きかったです。社会改革について熱く語る公民の先生と、弁護士を目指していた友人。彼らの影響で法律に興味を持つようになり、大学は法学部を選びました。
そして「国と国がつながるのは大切だ」という理由から大学院で国際取引法を専攻し、卒業後は民間企業の法務部で働いていました。
国際的に有名な企業だったので、ビジネスの規模が大きく、やりがいを感じていましたが、しだいに「もっと個人の人生に関わって、社会の問題を身近なところから是正したい」と考えるようになったんです。会社の顧問弁護士から、仕事のやりがいについて話を聞いたことも後押しになり、会社を辞めて司法試験を受けようと思い立ちました。
合格後は検察官として法律家のキャリアをスタートさせました。司法修習の際に教官から「検察官に向いている」と言われたこともあり、挑戦しようと思ったんです。事件解決のために、被疑者や被害者、目撃者など様々な人から話を聞いたり、法廷で被害者やその家族の気持ちを代弁したりすることを通して、かけがえのない経験を積むことができました。
結婚とともに弁護士にキャリアチェンジし、今に至ります。
ーー注力分野とその分野に注力している理由を教えてください。
現在注力しているのは離婚分野です。
依頼者は、どちらかというと女性が多いです。一般的に女性の方が経済的に弱い立場に置かれていることが多いですし、DVやモラルハラスメントを受けて怯えながら生活していて、離婚を切り出すことすらできない人もいます。そのような方たちの力になりたいと思って取り組んでいます。
DV被害者が再生していく姿に感銘を受けて
ーー仕事をするときに心がけていることを教えてください。
当たり前ではありますが、依頼者の話をよく聞くことと、気さくな雰囲気で接することです。
また、トラブルの相手方に対しては、法律的な話だけではなく、「過去にこういうことをされて、とても辛かった」といった依頼者の思いを伝えるようにしています。
依頼者の多くは、なぜ不満だったのか相手にわかってほしいのです。自分ではなかなか伝えられない思いを私が代弁することで、トラブル解決後、清々しい気持ちで新たなスタートを切ってもらえるようにサポートできればと思っています。気持ちの面でも依頼者を支えることを心がけています。
ーー弁護士として活動してきた中で印象的だったエピソードを教えてください。
まさに私が離婚分野に注力するきっかけになった、子どもの引き渡しの事件です。まだ弁護士になって2〜3年目の頃でした。
依頼者は、金属製の鈍器で殴られたり、空気銃で撃たれたりと、夫から壮絶なDVを受けている女性で、命の危険を感じたために警察に駆け込んだのです。職場から警察に直接避難したため、当時未就学だった子どもは家に置いたままの状況でした。
初めて依頼者と会ったときは、私が何を言ってもあまり反応せず、虚ろな様子でした。でも、「こういう段取りで、離婚と子どもの引き渡しの申立てを申請しよう」とやりとりしているうちに表情が明るくなり、「子どもとこんなふうに生きていきたい」と将来のビジョンを描けるようになったんです。
最終的に子どもの引き渡しが認められ、離婚も成立させることができました。解決までの道のりを一緒に歩むなかで、依頼者がどんどんいい方向に変わっていく姿を目の当たりにし、「人間はこんなに変わるんだ」と感激したことを覚えています。
裁判のIT化に対応し、地元事務所の強みもアピール
ーープライベートについても伺います。ご趣味は何ですか?
音楽です。高校時代はバンドを組んで、「ガンズアンドローゼズ」や「エアロスミス」とか、当時流行っていたハードロックを演奏していました。担当はドラムです。弁護士になってからも、弁護士会のブラスバンド部に参加して、ジャズフェスティバルで演奏したりしていました。ピアノも子どもの時からずっと続けています。
演劇やミュージカル鑑賞も好きです。実は子どもの頃は、宝塚歌劇団のスターに憧れていたんですよ。
ーー今後の展望について教えてください。
司法の世界もITが導入されて変化してきました。これまでは、裁判に参加するには裁判所まで出向かなければなりませんでしたが、ウェブ会議システムが取り入れられたことで、遠隔地からでもオンラインで裁判に参加できるようになりました。このようなIT化の波を常にキャッチし、依頼者にも情報共有していきたいと思います。
IT化の利点を受け入れる一方で、アナログな部分も大事にしたいですね。地元ならではの事情や裁判官の情報など、細かい事情を把握していることは地域に密着した事務所ならではの強みです。弁護活動をする上でもこの強みを活かせればと思っています。
ーー法律トラブルを抱えて悩んでいる人にメッセージをお願いします。
離婚で悩んでいる方で、特に女性に多いのが「とにかく早く離婚したい」と急ぐあまり、養育費や婚姻費用といった条件を何も決めずに離婚し、後で経済的に困窮してしまうケースです。もし、離婚する前に弁護士のアドバイスを受けて、離婚条件を十分に検討して決めていれば、後々生活に困ることはなかったかもしれません。
弁護士は皆さんにとって身近な存在です。自分一人で抱え込まずに、困ったことがあればすぐに頼っていただければと思います。