井口 直子 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
子どものころから、自立した女性になりたい、そのためには一生役に立つ資格を取りたいと漠然と考えていました。高校生になって、ちょっとした医療ミスを経験したことがきっかけで、「泣き寝入りを強いられている人達の代弁者になりたい」と考えるようになりました。
印象に残っている案件(事件)
弁護士になってから初めて扱った事件はいずれも鮮明に覚えています。初めての民事事件、刑事事件、企業倒産事件、離婚事件、少年事件…、ほぼ手探りの状態で必死でした。
現在、薬害C型肝炎の弁護団のお手伝いをさせてもらっており、こちらはまだまだ訴訟も再発防止・恒久対策運動も活動中です。訴訟だけでなく、原告団と一緒に全国規模で運動を広げていくというのは、通常の弁護士業務とはずいぶん違っていて刺激を受けました。
震災時とその後の仕事について
3月11日は事務所で普通に仕事をしていまして、丁度会合に出る支度をしていたときに地震が起きました。事務所は物が落ちたくらいでしたが、外は騒然としていて、当然会合も中止になり、とても大変だった記憶があります。ライフライン等が落ち着いた頃からは6月くらいまで各避難所での法律相談や震災ADR委員会での仕事をしていました。
仕事の中で嬉しかったこと、大変だと感じること
依頼者の方が、別の相談者の方を紹介してくださると嬉しいですね。当事務所の仕事にご満足いただけたからだと思いますので、とても励みになります。
大変なことに関しては、基本的に弁護士の仕事は全て大変だと思います。依頼者のお話の中からニーズを拾い上げることも、そのニーズに沿う結論を実現することも大変です。法律的にはこちらが完全に有利な事案であっても、相手方に資力がなければ依頼者の要望は実現が困難です。
逆に、「泣き寝入りをしている人の代弁者になりたい」と言いましたが、法的に無理な主張であればはっきりそう伝えなければなりませんし、十分な証拠がないためにこちらの主張が認められないこともあります。
また、一般民事事件や離婚事件は相手方がこちらの主張を認めたから、あるいは勝訴を取ったから、といって終わるのではなく、どうやってお金をとっていくか等も考えなければなりませんし、お互いに納得できるようなバランスのとれた解決を目指したいと思います。依頼者の心情に寄り添いながら、冷静な判断をしていきたいと思っていますが、実際の対応はエネルギーが必要ですね。
学生時代
中央大学に入学し、1年生のときから中桜会研究室という司法試験の受験団体に所属していました。研究室には専用の勉強机や受験テキストがあり、身近に受験仲間や合格したOBが大勢いましたので、とても恵まれた環境で勉強できたと思います。と言っても、本気で勉強し始めたのは、大学を卒業してからでした。両親には本当に感謝しています。
休日の過ごし方
夏は登山、冬はスキーです。仕事が溜まってしまい実際には行けないことも多いですが、計画を立てるだけでも楽しいです。
弁護士としての信条・ポリシー
「聞く」ということを大切にしていて、この人はきちんと聞いてくれそうだと思っていただけるように依頼者・相談者が話しをしやすい雰囲気作りを心がけています。
それから、専門家として冷静な判断をすることは当然として、同時に依頼者の心情に寄り添うことを意識しています。事件を進めて行く中で、依頼者に決断を迫ることは多々ありますが、依頼者にとっては人生や組織の命運に関わる重大な局面です。メリットとデメリット、見通しを十分説明し、気持ちをきちんと聞いて納得を得られるよう心がけています。
いずれも当たり前のことだと思いますが、解決を急ぐ余りおろそかにしてしまいがちなので、気をつけています。
関心のある分野
依頼が多い離婚や相続等の家事事件については、必然的に関心は高くなります。離婚事件では、女性の弁護士なら女性の気持ちがわかるのではということで、代理人を務めることはなかなかありませんが男性の方からご相談を頂くことも多いです。
最近、事務所を移転したことがきっかけで、マンション管理の問題にも関心を持つようになりました。
今後のビジョン
弁護士一人、事務局一人の小さな事務所ですので、あまり大きなこと、派手なことは考えていません。よその事務所や税理士、社労士、ファイナンシャルプランナーとのネットワークがありますので、このつながりを活かして依頼者によりよいサービスを提供できればと思っています。
特に組織化といったことは考えていませんね。仙台でも弁護士の数が急増していますが、波に飲まれることなく、「代弁者」としてコツコツ仕事をしていければいいですね。
弁護士に求められる能力
メンタル面が強いことではないかと思います。落ち込むこと、追い込まれることは多々ありますし、他人の人生を一瞬でも背負うプレッシャーに潰されそうになることもあります。弁護士に限らないような気もしますが。