板井 俊介 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
中学生まで熊本県水俣市に居住し、漠然と水俣病問題の不合理さを感じ、その不合理を糾す活動に魅力を感じてきました。具体的に司法試験を意識したのは、平成8年3月19日の南九州税理士会事件最高裁判決を傍聴した時です。
熊本を舞台とするこの事件は、強制加入団体である税理士会が、当時、ほとんどすべて自民党で占められていた税理士政治連盟に対する政治献金目的での特別会費徴収を行っており、自民党に献金したくないと直感的に感じて特別会費支払いを拒絶して村八分扱いにされた牛島税理士(共産党支持者)が、たった一人で闘った事件でした。
この牛島税理士以外にも、当時の運用に不満をもっていた税理士はいましたが、実際に拒否して税理士会と闘うと事実上大変な不利益を受けるため、皆黙っていました。当日、最高裁前では、熊本から自腹を割いて駆けつけた支援者がビラ撒きをしており、「お金にならない」、しかも、「他人の事件」のために熊本から数万円(1回の上京だけで)を費やして活動する姿に衝撃を受けました。
実際、この最高裁判決は、弁護士会、司法書士会等、他の強制加入団体内部における構成員の思想信条の自由の問題に大きく影響を及ぼしましたが、私自身は、政治的な少数者が不正を許さずに闘うことの社会的意義、それを引き受ける弁護士の姿に感銘を受け、それが現在の生き方につながっています。
今までの経験と現在の仕事内容
これまで扱った案件として、阿蘇黒川温泉におけるハンセン病患者の宿泊拒否事件に起因するホテル廃業に伴う解雇事件、原爆症認定集団訴訟、ノーモア・ミナマタ訴訟、熊本市政務調査費訴訟などがあります。その他一般民事、労働者側における労働事件、刑事弁護事件も行なってきました。
そして、最近では、原発なくそう!九州原発訴訟、御船町竹バイオマス住民訴訟を行なっています。
弁護士としての信条・ポリシー
権力者との関係でその不合理を闘うことです。また、事件には様々なものがあり、大きなお金にならない事件もあります。しかし、どの事件も当事者にとっては、人生に一度あるかないかの強い思い入れのある事件です。ですので「小さな事件は大きな事件」であると考えています。
そして弁護士は常に、当事者である依頼者の「代理人」です。あくまでも弁護士は影から依頼者を支える存在であり、依頼者の苦しい時は弁護士が頑張り、結果がでればその利益、賞賛は依頼者が受けるべきであると考えてます。
関心のある分野
脱原発訴訟(九州玄海訴訟、川内訴訟)です。
原発の被害を受ける可能性のある地域の国民の様々な人権を守るため、原告を募り、原発の差し止めを請求など、訴訟内外で活動を行なっています。