- 遺産分割
遺言で長男に全財産を譲る内容でも、交渉で弟が45%を取得し、裁判(調停)を避けて早期にすべて解決
相談前の状況
ご依頼者様は60代男性で、相続人はご本人とお兄様の二人でした。お母様が残された遺言書には「全ての財産を長男に相続させる」と記載されており、形式的にはお兄様が全財産を取得する内容でした。
本来であれば弟様に遺留分(全体の4分の1)が認められますが、それ以上を得ることは難しい状況です。加えて、ご依頼者様は遺言作成当時のお母様の意思能力に疑問を抱いており、カルテや医療記録を取り寄せ、遺言の有効性そのものを争う可能性も視野に入れていました。
一方で、もし調停や訴訟に進んだ場合、数年単位での長期化や兄弟関係の決定的な悪化は避けられず、ご依頼者様は「できれば早く、納得のいく形で解決したい」という強い希望をお持ちでした。
解決への流れ
まず、遺言書の有効性に関して意思能力を裏付ける証拠(カルテ等)を収集し、お母様の判断能力が十分でなかった可能性を相手方に対して丁寧に主張しました。さらに、遺留分侵害請求(裁判)を視野に入れつつも、交渉の場面では「調停や訴訟に進んだ場合の時間的・金銭的リスク」を説明し、双方にとって合理的な落としどころを模索しました。
結果として、遺留分1/4にとどまらず、ほぼ法定相続分に近い「55%・45%」という割合で合意を成立させることができました。
調停や裁判を避けて当事者間の合意により早期解決を実現したことで、依頼者様も安心され、今後の生活設計にも見通しが立つ結果となりました。
亀井 瑞邑 弁護士からのコメント
相続紛争では、調停や訴訟に進めば数年を要することが少なくありません。本件も、遺言の有効性や使途不明金の有無といった複雑な論点を含んでおり、通常であれば裁判に発展してもおかしくない事案でした。
しかし依頼者様の「早期解決」「兄弟関係の決定的な断絶を避けたい」というご希望を最優先に、交渉を重ねる中で双方が納得できる着地点を見出しました。遺言の効力を巡る争点をあえて交渉材料として活用することで、最終的に遺留分を超える割合を確保できた点も大きな成果です。
私としては、相続事件において「勝ち負け」だけではなく、「いかに依頼者の将来にとって有益な解決に導けるか」が最も重要であると考えています。今回の事案はまさにその好例であり、依頼者様にとって納得感のある円満な解決を得られたことを嬉しく思います。
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