中村 浩士 弁護士
やんちゃいっぱいな方で、捜査段階で撮影された各写真の態度や容姿にもなかなかのものがありましたが、複雑な人間関係や自身の生い立ちから、孤独と疎外感が見え隠れする方でしたが、綺麗な心を持っていることを、当初から感じていました。その孤独の正体に迫ったときに、「何で弁護士がここまで人の心にずかずか入ってくるんだよ」と怒鳴り散らしてきました。私は、「お前と友達になりたいからだよ」と怒鳴り返し、「そんなわけねえだろ、てめえに何が分かるんだよ」と言っていましたが、この本気のやりとりで、それまでの距離感ある会話から、距離感がぐっと近づきました。これからでした。彼は、どんどん、心を私に開いてくれ、それまでは、自分を良く見せようと本音で語ってくれていなかった部分についても、自分の汚い部分を見せて本心を少しずつ出して呉れるようになっていったのです。そして、徐々に、被害者の想いや立場に思いを致せるようになり、思いやりの言葉が出てくるようにもなりました。そして、自分自身、それまでは確たる夢や覚悟がなかったように見受けられましたが、将来の夢を共に語るようになり、その結果、「出所したら、ケバブ屋をやりたいです」。こうはっきり言うようになり、そのための勉強を中で始めることになりました。家族にも、あれこれそのための書籍や情報の入手を依頼するなどして、将来への計画と実行が、収監されたその中で始まったのです。合わせて、交通被害者の境遇や後遺症の内容を理解するための書籍などもたくさん読み、自分の犯した罪と向き合うようになりました。裁判では、捜査段階とは全く別人ではないかと思うほど、情に満ちた、人間としての態度と謝罪を行うことができ、検事も、「どうしてこんなに変わったのか」と驚いておりました。判決は、実刑判決ではありましたが、当初予想された刑よりも、大分減刑されたように感じました(裏話ではありますが、裁判の態度を見た検事が求刑を下げたようでして、ただ逆に、求刑が低かったので、さすがにあまりそれ以上大きく判決での刑が下がることまではなかったです)。そして、裁判官が、「あなたは、弁護人に会えて、本当に運が良かったです。ここまでやってくれる人は、まずいません。しっかり、更生の道を歩んで下さい。」という趣旨のことを、かなり異例だとは思いますが、言ってくれました。
【危険運転致傷罪での裁判員裁判】の
続きを読む