司法は社会インフラ。問題が起こる前から、必要な時に気軽にアクセスできる弁護士でありたい
ジャンルを定めず、何でも相談できる弁護士として
ーーどのような事案を多く手掛けていますか。
特にこれが突出して多いということはないですね。相続や事業承継、労働問題、債権回収、交通事故や離婚…と様々な分野を手がけています。
お困りごとはとにかく相談してください、というスタンスです。
ーー当番弁護士制度(逮捕された人に対して、弁護士が1回無料で面会する制度)や、国選弁護人(貧困などの理由で私選弁護人を付けられない場合に、国が費用を負担して付けてくれる弁護人)も引き受けていると伺いました。
私は「司法は社会インフラ」だと考えています。誰もが必要な時に必要な司法の助けを借りられることは、水道やガス、交通網と同じで、健全で快適な暮らしを送るために必要なものです。
弁護士として、国選弁護人を引き受けることも、当番弁護士をやることも、非常に大事なことだと考えています。
弁護士の仕事というと、例えば交通事故にあったとか、遺産相続でもめているとか、会社同士の契約だとか、そういうことを思い浮かべる方が多いと思います。それらはすべて「法の下の平等」があってこそなのです。それは基本的人権の尊重でもあります。私が長年かかわっている、一票の格差の是正もその一つです。
困ったらすぐに弁護士に問い合わせることが当たり前になってほしい
ーー生活すべてに司法がかかわっていることは、普段あまり意識していない人が多いと思います。
そうです。だから何か問題が起こっても、すぐに弁護士に相談するという発想がでてこないのでしょう。それでこじれてしまう。
ガスが止まったらガス屋さんを呼ぶ、給湯器の使い方がわからなかったら問い合わせる、それと同じで、司法のことでわからない、困ったとなったら、すぐに弁護士に訊けばいいのです。
放っておいて自然におさまる問題もないとは言い切れませんが、法律トラブルはそうはいきません。ほとんどの場合、長引いてこじれたり、問題が増えたりしてしまいます。
今起きている問題の根が、江戸時代にまでさかのぼることも
ーー長引くことで問題が増えるというのは、具体的にはどういうケースでしょうか。
たとえば相続です。これは広島だけでなくおそらく日本各地の、山村などでよく発生している事案ではないかと思いますが、土地の相続をきちんとしなかったことで、後々問題が起こるケースです。
親類縁者が一つの集落で暮らしているうちはやり過ごせていたけれど、だんだん都会へ出る人が増えてバラバラになり、では土地を分けましょうとなったときに、問題が起きます。
「所有者が昭和の時代から変わっていなかった」というケースならまだしも、大正、明治…私が手掛けた中には、所有者が江戸時代の人のままになっていた案件もあります。
樹形図のように相続する権利のある人が増えていたのに気づいてなかった。その大部分が、おそらく自分がその土地の関係者であることも知らない人たちですし、実際に今その土地を相続しようとしている人たちとは面識もない。
弁護士の仕事は、その膨大な相続人たちがどこにいるのか探すところから始まります。
歴史的に、広島はハワイなどに移住した人も多く、外国の領事館に問い合わせなければならないこともあります。そうこうしているうちに相続人の誰かが亡くなってさらに別の相続が発生したりして、どんどん複雑化してしまうのです。こういう案件は、それこそ時間との戦いです。
トラブルの解決だけではなく、回避のためにも弁護士を役立ててほしい
ーー早く弁護士に相談することで、問題が拡大することを食い止めるのですね。
問題が起こってからもそうですが、問題の発生を防ぐためにも、弁護士を役立てていただきたいです。たとえば契約を結ぶ前に一度弁護士に契約書を見せる、遺言書を書く前に相談するなどのステップを踏むことで、起こらなくていいトラブルを防げます。
費用が心配な方は、法テラスなどの無料相談を利用してもいいでしょう。問題が発生して大事になってから解決しようとすると、費用も時間もかかってしまいます。お困りごとがある方は、なるべく早めにご相談ください。