依頼者との二人三脚で解決へ〜対面の打ち合わせを重ねて信頼関係を築き、辛い局面の支えとなる
都市部と地方との距離が、受けられる司法サービスの差にならないように
ーー弁護士としてのキャリアをずっと地方で積まれています。何か理由があるのでしょうか。
都市部と地方の司法格差を何とかしたいという思いからです。
東京や大阪、東北なら仙台、九州なら福岡…と、人が集まるところには多くの弁護士がいます。
一方、人口が少ない地方では、弁護士の数はそれほど多くありません。弁護士が少ない地域に住む方は、法律問題を抱えてしまったら、弁護士にアクセスするために都市部まで出かけて行く必要があります。
そうすると、打ち合わせのたびに安くない交通費がかかりますし、弁護士のほうから来てもらうにしても、依頼者が出張費などを負担することになります。
移動にかかる費用や時間がネックとなり、弁護士とこまめに打ち合わせを重ねることをためらってしまう場合もあるでしょう。打ち合わせの回数が少なくなれば、依頼者と弁護士が信頼関係を構築することが難しく、結果的に弁護士が提供できる司法サービスの質が下がることも起こりえます。
こうした、地方と都市部で受けられる司法サービスの格差をなくしたい。弁護士が少ない地域の方から頼りにしてもらえる弁護士でありたい。そう考えて、地方で弁護活動を続けています。
質の高い司法サービス提供のために、Face to Faceの打ち合わせが必要な理由
ーー依頼者が遠隔地にいる場合、電話やオンラインで打ち合わせをする方法もあると思いますが、対面で打ち合わせをしないといけない場面もあるのでしょうか。
お互いに顔と顔を合わせて、同じ空間で話すからこそ伝わることはあると思います。
たとえば、依頼内容によっては、依頼者が「誰にも知られたくない」「弁護士にも言いたくない」と思っているようなことも、聞いておかなければならないことがあります。
話を聞いたり、提出してもらった資料を見たりするなかで、「実はまだ話してもらっていないことがあるのではないか?」と感じたとき、電話やオンラインで「打ち明けてください」と説得するのは非常に難しいです。
直接会って話すことで、「話さなきゃだめなんだ」という真剣さや、「話しても大丈夫なんだ」という安心感が伝わり、依頼者が胸の内に抱えていることを打ち明けやすくなると思います。
事件への対応・解決をスムーズに進める上で、依頼者と弁護士が気軽に会える距離にいることのメリットは大きいと感じています。
依頼者を二人三脚でゴールまで支えていく
ーー弁護士に依頼したら、そのあと何度も打合せがあると思っていた方がいいですか。
事情を話して資料を渡したらあとは弁護士が全部やってくれる…のであれば依頼者は楽だとは思いますが(笑)、現実的にはそうもいきません。
私は、弁護士と依頼者は二人三脚でゴールを目指すものだと思っています。ゴールまでは必ずしも一本道で行けるわけではなく、途中で、相手方と交渉したり、様々な決断が必要になったり、熟考するために立ち止まったりすることもあります。それぞれの局面で助言をしたり、依頼者を支えたりすることが弁護士の役割です。
お互いの呼吸を合わせてゴールまで進むために、打ち合わせを重ねていきます。その際、依頼者の話をしっかり聞くことは基本中の基本です。まず、依頼者がどういった解決を望んでいるのかを受け止めて、法的にどの程度認められるのかを説明します。裁判例や実務書といった資料を示して、わかりやすく、納得してもらえるように説明することを心がけています。
ーーパートナーとして弁護士が並走してくれることは、依頼者にとって心強いと思います。
ただ、弁護士がついていても、依頼者の要望を100%叶えられるとは限りません。なるべく要望に沿うように全力を尽くすことは当然ですが、依頼者の要望と相手方の要望の両方を俯瞰してみて、依頼者の要望を相手方にすべて呑んでもらうことが最上の解決ではない場合もあります。
また、訴訟に持ち込めばいい解決につながるかというと、必ずしもそうではありません。特に相続や離婚は、判決という形で裁判官に決めてもらえば早く結論が出るかもしれませんが、遺恨が残ることも多く、それが依頼者の人生に影を落とすこともあります。
事件が解決した後の人生も見据えて、依頼者にとって一番いい解決策を考えることが弁護士の仕事です。訴訟よりも、話合いや調停のほうがよりよい結果につながると考えられる場合は、依頼者の意向も聞きながら、訴訟まで持ち込まない形でトラブル解決ができるよう方針を練っていきます。
実際、話合いや調停は双方が納得したうえで条件が決まりますから、事後がいい方向にむかうことが多いです。相手方と話し合うことは依頼者にとってしんどいですし、時間もかかりますが、そういう辛い局面を乗り切るためのパートナーとして、弁護士がいるのです。
今後も、1人1人の依頼者の事件解決のパートナーとして、最上のゴールに向かって二人三脚で進んでいきます。