池田 慎 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
小さい頃は口が達者だったらしく、親戚から弁護士が向いているなどと唆されたのがきっかけです。受験生時代に大いなる勘違いだったと気づいたのですが、もはや引き返せなくなっていました。
ちなみに弁護士になった現在は、口下手で悩んでいますが。
受験生時代
大学は法学部でしたが、遊びやバイトに明け暮れてしまい、本格的に法律の勉強を始めたのは卒業直前頃でした。勉強するにつれ、条文に書かれていない解釈の広がりに面白さを感じました。
受験生時代はずっと仲間と一緒に勉強してきましたし、家族にもずいぶん支えてもらいました。
私は、弁護士になるまでにかなり時間がかかったのですが、そのような中でも心の支えとなったのは、やはり仲間の存在でした。勉強仲間のうち、最後の最後まで受験生だった私は、先に合格した先輩や友人から、様々なアドバイスをもらいました。
また、かつて一緒に勉強していた仲間が先に合格して、それぞれの分野で活躍しているのをみて、自分もいつか同じような仕事をしたいという思いが励みとなり、諦めずに受験勉強を続けることができました。
今までの経験と現在の仕事内容
債務整理などの借金問題が多いですが、地域事務所に勤務していますので、交通事故、一般民事、家事、刑事など何でもやります。
現在、特に力を入れているのは弁護団事件です。原発労災訴訟や玄海原発差止め訴訟の弁護団に所属しており、諸先輩方から、弁護士としての心構えや書面の書き方など、様々なことを学ばせてもらっています。
弁護団で取り組んでいる事件について
まず原発労災訴訟ですが、これは、原発内で定期点検に従事していた人が作業中に被ばくし、約20年後に心筋梗塞を発症したため労災給付申請をしたものの、不支給処分がなされた事案で、不支給処分の取消しを求めている訴訟です。原発労働者の過酷な労働実態が、過去から現在まで何ら改善されていないことを痛感しています。
次に玄海原発差止め訴訟ですが、こちらは、九州玄海原発の操業差止めを求めている訴訟です。この弁護団の中で、私は、原発のもたらす被害の実態について検討する「被害班」に所属しています。
この訴訟は、個別の原発の危険性や原発の技術上の問題点には敢えて触れずに、福島第一原発事故によって生じた甚大な被害の内容を中心に据えて、原発の危険性を主張している点に、特徴があります。また、原告を1万人集めるという目標を設定していますので、定期的に原告募集の街頭宣伝をする取組みを行っている点も、特徴的だと思います。
弁護士としての信条・ポリシー
杓子定規な法律論では、真の解決が望めない場合が多々ありますので、依頼者の話をよく聴き、一緒に悩み、一緒に最適の解決方法を探っていくことでしょうか。弁護士としては頼りなく見えるかもしれませんが。
例えば、ペット飼育禁止のアパートで一人暮らししているおばあちゃんがいるとしましょう。そのおばあちゃんが、捨て猫を保護したら情が移ってしまい、そのままずっと飼っていたところ、それを知った大家さんから、「猫を飼うのは契約違反だから、猫を捨てないなら退去せよ」と言われてしまいました。
このような相談があった場合、「おばあちゃん、それは決まりだからしょうがないよ」と回答することが果たして最適の解決方法といえるでしょうか。
実際は、自分が決まりを破っているということは、相談者本人もわかっているけれども、それでも敢えて相談に来られているのです。その理由は、形式的な法律論のその先にある解決方法を求めているからではないでしょうか。そこから先は、法律の基本書などには書かれてはいませんが、弁護士としては、それでも何とかならないかということで、悩みながらも解決方法を捻り出すことが求められていると思います。
関心のある分野
まだまだ経験も乏しいので、様々な分野に取り組みたいと考えています。
司法試験の勉強のコツ
確かに、私たちの仕事では、形式的な法律論のその先が問題となっていることが多々あります。とはいえ、その前提となる基礎知識は必須です。勉強の際は、何が基礎知識か、どこまでが基礎知識かを常に意識してほしいと思います。私自身にはその意識が欠けており、そのため知識偏重に陥り苦労しましたが、私の対極にいる優秀な方々は、概して知識量自体そう多くないものの、基礎知識がしっかりしているため、どの局面でも適切に応用できていました。
ですから、単に知識量を増やすことではなく、必要最低限の基礎知識を正しく理解することが大事で、それができていれば、応用部分については、ある意味自由演技というか、自分なりに考えて論じれば的外れな主張にはならないと思います。基礎知識の勉強がしっかりしている方々は、危なげなく本試験にも合格しているし、実務でも優秀というのが私の印象です。羨ましい限りですね。