高齢者・福祉施設間のトラブル解決と予防に注力 他職種と連携し、依頼者の全面サポートを図る
祖母からの相談をきっかけに、法律の面白さに目覚める
ーー弁護士を目指したきっかけを教えてください。
大学に入学した当初は、法律の勉強が面白いと思えませんでした。意識が変わったのは、祖母から相続やお金の貸し借りについて相談を受けるようになってからです。授業や教科書を離れ、具体的な問題を法律に当てはめて考えることが面白くて、この頃から、将来は弁護士になることを考え始めました。
ーーどんな学生生活でしたか?
勉強以外では、キャンプサークルに所属していました。サークル仲間と一緒にキャンプすることもあれば、地元の小学生や中学生を引率することも。熊本県内の自然を満喫できました。
ロースクールはこれまでの人生で1番楽しかった期間でした。同期は全員仲がよく、お互いに切磋琢磨しながら勉強していました。
ーーロースクール卒業後は一度就職されているのですね。
1回目の司法試験で不合格になり、これからも弁護士を目指すべきか悩みましたし、勉強を続けるとしても社会経験がないまま弁護士になっていいのか不安に思いました。そこで企業に就職し、フルタイムで働きながら勉強しました。大変でしたが、社会の仕組みを知った上で弁護士になれたので、就職してよかったと思っています。
高齢者福祉のエキスパートとして活動
ーー注力している分野についてお聞かせください。
高齢者福祉の業務に注力しています。
司法修習時代に、高齢者分野の仕事に携わる機会が多くあり、様々な職種の人と連携して問題を解決することに面白さを感じました。弁護士になってから、弁護士会の高齢者障害者委員会に入り、この分野に取り組み始めました。
ーー高齢者福祉分野ではどのような案件を手がけていますか?
高齢者と福祉施設の間の契約締結に携わることが多いです。通常の契約の場合、当事者が契約の内容を理解できる前提で契約書が作られます。しかし、高齢者の中には、契約の内容を理解できない人もいます。弁護士が間に入って契約内容のチェックなどをすることで、施設と高齢者の間でトラブルが起きないようサポートしています。
施設で事故などが起きた場合の対応もおこなっています。高齢者が入居中に事故に遭った場合、施設が家族から損害賠償請求されるケースがあります。そのような場合に、施設側の代理人として証拠集めや交渉などをおこないます。
ーー福祉施設での虐待が問題視されています。弁護士としてどのような対策ができるのでしょうか?
最近は虐待問題がニュースで取り上げられることもあり、ひどい虐待は減っていると思います。ただ、福祉業界には長時間労働や低賃金などの問題があり、仕事のストレスから、職員が虐待やそれに近いことをしてしまうケースはまだまだ見られます。
私は高齢者障害者委員会で福祉施設の違法行為を取り締まる仕事をしていたので、その経験を活かし、虐待対策を施設にアドバイスしています。具体的には、より働きやすい職場にするための施策を提案したり、高齢者の人権についての勉強会を開いたりしています。
高齢者福祉のニーズに合わせた行政と法律の変化を
ーー少子高齢化社会が進む中で、望ましい法律や社会の変化はありますか?
高齢者への虐待には様々なタイプがあり、その1つが経済的虐待です。家族が、高齢者の預金や年金を使ってしまうことです。このような虐待類型に対する法律の仕組みは不十分だと感じます。早い段階で異変に気づけるよう、自治体の職員などが日頃から高齢者とコミュニケーションをとるといった対策が必要だと思います。
今以上に、弁護士が他の職種の人と連携することも必要です。福祉の現場では、ある入所者の課題について、支援者が会議を開いて解決策を考えます。法的な面でもサポートするために、このような会議に弁護士が参加できるようになればいいなと思います。
ーー弁護士として活動していく上で心がけていることはありますか?
1つは、相談のしやすさです。顧問先には携帯電話の番号を伝えて、いつでも気軽に連絡できるようにしています。
また、他職種との連携も重視しています。高齢者福祉の業務では、医療機関やケアマネージャーなど、様々な職種の人との連携が必須です。弁護士にはないスキルや知識を共有してもらい、多方面から依頼者をサポートしています。
ーー休日のお過ごし方を教えてください。
ロースクール時代の仲間とネットゲームを楽しんでいます。学生時代は何時間でも遊べましたが、最近は年齢的に長時間のプレイは厳しくなってきましたね…。
今でもキャンプが好きで、サークルの仲間や妻とよく行きます。夕方頃にキャンプ場に着き、焚き火をして肉を食べ、その日のうちに帰るデイ・キャンプが好きです。大自然の中で食べる、直火で焼いた肉は絶品です。
ーー今後の展望についてお聞かせください。
社会福祉法人の顧問先を増やしつつ、既存の顧問先には、今以上にスムーズな業務提供をしていきたいと思います。メールや電話でのやりとりに加えて、チャットワークやZoomなどのツールも活用するつもりです。
新たに注力したいのは、破産事件です。最近、相談が増えているので、力を入れていきたいと思っています。
ーー法律トラブルを抱えて、悩んでいる方へのメッセージをお願いします。
弁護士への相談をためらっている方の中には、「弁護士は怖い」というイメージがある方もいるかもしれません。しかし実際は、弁護士はそんなに怖い存在ではありません。ぜひお気軽にご相談ください。