家庭のトラブル解決に尽力〜依頼者一人ひとりと真摯に向き合い、ともに考え、最善の解決へ導く
高校時代のボランティア活動をきっかけに弁護士を志す
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
一番大きなきっかけは、高校生のときに経験したボランティア活動です。知人の紹介でホームレス状態の方々の自立支援に携わり、炊き出しに参加したり、夜回りをして路上で生活する方々の話を聞いたりしました。
活動をする中でホームレスを取り巻く様々な現実を知り、ショックを受けました。寒さで凍死したり、理由もなく襲撃を受けたりする方がいること。行政の支援が十分ではなく、一度ホームレス状態に陥ってしまうと、抜け出すことがなかなか難しいこと。
厳しい現実を変えるために、私のような一個人が行政に働きかけて大きな改革をすることは難しいです。でも、目の前で困っている人に対して、その人の事情に合わせて、辛い状況を少しでも改善するお手伝いができたらいいなと考えるようになりました。そのための手段として法律は1つの武器になると思ったんです。
父が弁護士だったため、法律を使う仕事にはもともと馴染みがありましたが、本格的に法曹を志すようになったのはこのボランティア活動での経験がきっかけです。
法曹三者の中でも弁護士は、個人の事情に合わせて法的主張を組み立て、交渉や法廷で戦い、問題解決に向けてサポートができることに魅力を感じました。法学部に進学し、卒業後はロースクールで学び、司法試験に挑みました。
ーー現在の事務所に入所されるまでの経緯を教えてください。
弁護士になった当初は、福岡県内の国際業務に特化した事務所で経験を積みました。その後、東京にある民間企業の法務部で企業内弁護士として仕事をし、結婚・出産などのライフスタイルの変化を機に地元・北九州に戻ってきました。
現在所属している事務所は、父を含む複数の弁護士が共同で設立した事務所です。先輩の先生方も事務員さんも、私が子どもの頃からお世話になっている方ばかり。家族のような方々からたくさんサポートしていただいて、恵まれた環境で仕事ができているなと思います。
父は2年ほど前に亡くなったのですが、昔の書類に父の形跡が残っていたりして、仕事をしながら父を感じています。今私が座っている椅子も、もともとは父が愛用していたものなんです。
依頼者の話に共感し、辛い心情に寄り添う
ーー注力している分野はありますか。
家事事件を主に手がけています。事務所としては労働事件に力を入れているのですが、私が依頼を受けるのは離婚や相続、後見など家族の問題が多いです。家事事件は依頼者の話を聞いていて共感する部分が多く、熱中して取り組める分野だと感じています。
ーー仕事をする際に心がけていることを教えてください。
依頼者の話をしっかり聞くことです。事件を解決する上で重要かどうかという区別をせずに、どんな話も共感しながら聞くように心がけています。
たとえば、離婚の相談に来た方が、「実は両親が認知症で、介護に追われてほとほと疲れています」と、離婚の問題とは直接関係のない話をされたとしても、最後までお聞きします。依頼者が私に聞いてほしいと思っているのなら、しっかりと受け止めて、その方の心の負担を少しでも和らげるお手伝いがしたいと思うからです。
打ち合わせの時間にはどうしても限りはありますが、時間の許す限り、依頼者に寄り添って話を聞くことを大切にしています。
ーー印象に残っているエピソードを教えてください。
詳細は申し上げられないのですが、以前、介護施設に入居されていた方と施設側とでトラブルが起こり、入居者の家族から依頼を受けて受任した事件がありました。依頼者から介護の大変さや施設に対する歯がゆい思いを聞き、突き動かされるように書面を書いたことを覚えています。
最終的には施設と交渉して、解決金をいただく形で終結しました。金額としてはそれほど高額ではありませんが、依頼者から「金額よりも、私たちの気持ちを言葉で表して、相手方に伝えてくれたことが嬉しかった」「事件が終わるまでの間、ずっと寄り添ってくれてとても感謝しています」と言っていただき、胸がいっぱいになりました。
金銭的な解決ができたときや、こちらが希望する条件で合意できたときなど、わかりやすい結果が出たときはもちろん嬉しいです。それにプラスして、解決までの過程で依頼者と通じ合い、信頼関係が築けたと実感できた事件は特に印象に残っています。
ーー弁護士会での委員会活動もされています。
高齢者の後見事件を多く扱っていることもあり、福岡県弁護士会の高齢者・障害者委員会に入っています。また、両性の平等委員会や人権擁護委員会などにも所属し、活動に参加しています。
今年、九州の弁護士連合会が主催する「九弁連大会」というイベントが北九州で開催され、私もシンポジウムの中心メンバーとして参加させていただきました。子どもの権利条約をテーマにパネルディスカッションをおこなったのですが、準備の過程で子どもの権利について勉強し、特に意見表明権という権利にとても興味を惹かれました。
意見表明権というのは、子どもが自分に関係することに対して意見を言える権利です。子どもの権利条約では大切な概念として書かれているのですが、日本の、特に教育現場においてはまだ浸透しているとは言えない状況です。
たとえば、生徒の自由を理不尽に制限するブラック校則。多くの生徒が「おかしい」「納得できない」と思っていても、意見を表明する場がないために、不満を抱えたままルールに従っているーー。このようなケースは散見されます。シンポジウムでは、子どもの意見を採用するかどうかはケースバイケースではあるけれど、子どもの意見表明権を保障し、子どもが自ら意見を言う機会を設けることを学校の中で確立しようと呼びかけました。
仕事で子どもが関わる案件を扱うことも多いので、子どもの権利に関しては今後も勉強を続けて、委員会活動にも積極的に参加していきたいと思っています。
どんな悩みも、まずは気軽に相談を
ーープライベートについても伺います。休日の過ごし方や、気分転換のためにされていることがあれば教えてください。
今、娘が3歳で、休日はもっぱら子どもと一緒にいます。
友人に会ったり、出張先で1人で食事をしたりすることも気分転換になりますが、一番は子どもと過ごすことですね。仕事をいったん忘れて子どもと向き合う時間に集中することで、身も心もリフレッシュできます。
ーー今後の展望をお聞かせください。
一人ひとりの依頼者の方をはじめ、仕事を通じて出会う様々な方とのご縁を大切にしながら、それぞれの事件に正面から向き合い、真摯に対応していきたいです。
委員会で取り組んでいる高齢者や子どもに関する活動についてもライフワークとして日々勉強し、委員会の活動にも積極的に参加したいと思っています。
ーー最後に、トラブルを抱えて悩んでいる方へ、メッセージをお願いします。
ご自身の悩みについて、法律問題なのかわからず、弁護士に相談することをためらっている方はたくさんいらっしゃると思います。
法律問題かどうかわからないことでも、まずは気軽にご相談いただきたいです。今は弁護士ドットコムなど、弁護士に気軽にアクセスできるポータルサイトがあるので、そういった媒体を利用して問い合わせをしてみてください。
相談していただいて、弁護士が対応することが難しい場合は他の窓口をご紹介します。弁護士が対応すべき問題であれば、早めに適切な対処をすることで、事態が進行することを防ぎ、問題が早期に解決できる可能性が高まります。
悩みを1人で抱えこまず、誰かに話してアドバイスを受けることが、解決への第一歩です。どのような悩みでも気軽にご相談ください。