Interview

テクノロジーで“人によるマッチングの効果”を最大化。最適な税理士との出会いを創出する「税理士ドットコム」

Service

税理士ドットコム

  • #税理士
  • #AI
  • #ダイレクトマッチング

テクノロジーで“人によるマッチングの効果”を最大化。最適な税理士との出会いを創出する「税理士ドットコム」

Service

税理士ドットコム

  • #税理士
  • #AI
  • #ダイレクトマッチング

お金や税務に悩みを持つユーザーと税理士をつなぐ税務ポータルサイト「税理士ドットコム」。これまでの税務相談の累計実績は35万件以上、月間PVは440万PV以上、登録税理士数は約6,600人(2024年7月時点)、と、税理士検索サイトでは日本最大級の規模を誇っています。なぜそれほど大きなサービスに成長することができたのか、競合他社と比べたときの優位性はどこにあるのか。税理士ドットコム事業本部の田村誠士に聞きました。

【Profile】
田村誠士(税理士ドットコム事業本部 本部長)
大学卒業後、IBM ビジネスコンサルティング サービス(IBCS)に入社。コンサルタントとして、大手エレクトロニクスやWebサービス業界を中心としたプロジェクトに従事。2010年、IBMとの企業統合を経て、戦略コンサルティンググループに所属し、先進技術を活用したサービス開発や大規模業務改革プロジェクトを得意領域としたテクノロジー戦略チームの一員として活動。2017年9月、弁護士ドットコムに入社。現在は税理士ドットコム事業本部本部長としてマーケティングからセールス、プロダクト開発まで全般的な事業運営を担う。

コーディネーターが税理士との出会いを手厚くサポート

田村誠士(税理士ドットコム事業本部 本部長)

──まずは税理士ドットコムのサービス概要を教えてください。

田村:ひとことで言うと、税理士を必要としている方と、税理士の出会いを創出するマッチングサービスです。おもなユーザーは、経営のパートナーとなる税理士を探している中小企業の方々、会計や記帳業務を担当する税理士を探している個人事業主の方々、あるいは副業や兼業の確定申告をサポートする税理士を探している方々。近年は相続税に関する業務を得意とする税理士の需要も高まってきています。

──税理士ドットコムの運営開始は2006年。社内では、2005年に始まった弁護士ドットコムに次いで古いサービスなのですね。

田村:まさに姉妹サイトのような存在で、「専門家をもっと身近に」を掲げる弁護士ドットコムの税理士版とイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。弁護士ドットコム同様、マッチングプラットフォームとしての機能だけでなく、税に関するハウツーやニュースを掲載しているほか、「みんなの税務相談」というユーザーからの税に関する質問に税理士が無料で回答してくれるサービスや、「クラウド税務相談」という非公開型の有料の税務相談サービスも提供しています。

──サービスの仕組みとしては弁護士ドットコムとまったく同じということでしょうか?

田村:マッチングプラットフォームとしての機能に大きな違いがあります。弁護士ドットコムの場合、弁護士を有料で紹介することが弁護士法で禁じられているため、弁護士からプラットフォームへの掲載料をいただくだけで、仲介料や紹介料はいただいておりません。ユーザーは掲載されている弁護士から良さそうな人を探し、自分で事務所にコンタクトを取る。つまり弁護士ドットコムはあくまでも弁護士とユーザーの出会いを創出する場所なんですね。

一方、税理士ドットコムには法律の縛りがありませんから、ユーザーの方々から最初に問い合わせをいただいた瞬間から、その人に合った税理士とマッチングする最後の瞬間まで、細やかなサポートをおこなうことができます。そのため、よりユーザーに寄り添って税理士とユーザーを身近にすることができると考えています。

──税理士ドットコムの税務相談の累計実績は、2024年7月時点で35万件以上とのことです。限られたコーディネーターで一人ひとりのユーザーに寄り添うのは、相当大変なのではないかと想像します。

田村:私たちが重視しているのはコーディネーターがユーザーの悩みに寄り添うプロセスや税理士を支援することなので、それ以外の部分についてはテクノロジーを活用し、業務の効率化を図っています。たとえばユーザーの問い合わせ部分はチャットボットを活用して自動化したり、調整や入力などの事務作業をテクノロジーの力を使って簡略化したり。

また、ユーザーのご要望によっては、コーディネーターは介入せず、ヒアリングから税理士の提案まですべてのプロセスをテクノロジーに委ねるかたちを取ることもあります。

人によるマッチングにこだわる理由

──最近はテクノロジー任せでも精度の高いマッチングができますよね。なんなら全てのマッチングに人を介さない仕組みを導入すれば、さらに効率よく実績を増やせるのではないかと感じます。それでもコーディネーターによるマッチングにこだわる理由は何なのでしょうか?

田村:税理士ドットコムのユーザーは、基本的に税理士を探す目的でWebサイトを訪問しています。ですが、具体的な相談イメージが定まっていない方が圧倒的に多いんです。自分にはどんなタイプの税理士が合うのか検討もつかず、なかには本当に税理士が必要なのかどうかもわからないという方もいらっしゃいます。

そんな方々に対しては、先ほど申し上げたように入口こそチャットボットを使ってヒアリングしますが、最低限必要な情報を伺ったあとはコーディネーターが入り、深堀りしてどんどん相談のイメージを引き出していく。そして「この税理士が合うんじゃないか」とご提案し、ユーザーが悩むようであればそのプロセスにもしっかり寄り添い、最終的なマッチングにつなげる。そうした伴走感のある体験は、テクノロジーには提供できないと考えています。

一方で、テクノロジーでマッチングのスピードや精度を高められるケースがあることも事実です。ユーザーのご要望に合わせて様々なマッチングプロセスを提供することができるのも、税理士ドットコムの強みですね。

──相談者はどのように税理士を選ぶことが多いのでしょうか。具体的にはどんなものがありますか?

田村:初めて税理士を探す方だと、税理士の先生が事務所を構えるエリアや得意とする業種、あとは年齢が近いかどうかを気にする方もいらっしゃいますね。ただ、たとえば最初は近くの税理士事務所を希望する方でも、ヒアリングの結果次第では遠方の事務所を提案することもあります。本人は気づかない隠れた要望を引き出し、当初の希望とはまったく違う部分でマッチングすることも少なからずあり、それも人の介在価値ではないかと思っています。

他方、すでに顧問税理士を抱えている方だと、会社が移転するタイミングで税理士を変えたいとか、新規事業を始めて顧問税理士の専門分野と微妙にずれが生じたといった理由で新しい税理士を探す方がいらっしゃいます。

──問い合わせがあってからマッチングまでにかかる時間はどのくらいなんでしょうか?

田村:ケースバイケースですが、早いときは問い合わせがあった当日に税理士をご紹介し、その日のうちに決まることもあります。ただまあそれほどスピーディにマッチングするケースは稀で、平均は問い合わせがあってから1~3ヶ月以内。長いと2年近くかかるケースもありますね。

──そんなに!? その年の確定申告や決算に間に合いませんね……。

田村:2年は極端な例ではありますが、税理士を検討している最中にいったん保留にして、しばらくして検討を再開するような場合は年単位を要します。税理士はユーザーにとって経営のパートナーとなる存在なので、どちらかといえば慎重に検討する方が多い印象です。

士業以外も含めた専門家を、もっと身近に

──最後に、今後の事業部のビジョンをお聞かせください。

田村:冒頭でも言ったとおり、われわれのお客様は中小企業の経営者や個人事業主、あるいは兼業や副業をしている方が中心です。これまではその方々の税務に関する悩みに寄り添い、税理士とのマッチングを提供してきましたが、なぜ税理士にニーズがあるかというと、多くのお客様が事業成長や経営の最大化を目的としているからです。

であれば、われわれにお手伝いできることがもっとほかにもあるのではないか。税理士にかぎらず、お客様の事業成長に必要なプロフェッショナル──さまざまな分野の専門家を適切にご紹介することによって、成長を加速させることができるのではないかと考えています。

あくまでも構想段階ではありますが、いずれにしてもお客様にもっとも価値が届きやすいかたちで新しいサービスとして提供できればと考えています。いま、そんな大きなビジョンを持って事業部内でプロジェクトを進めているところです。