Interview

営業から人事に転身。未知の領域で、会社の成長の鍵をにぎる新卒採用に取り組む

Other

  • #人事
  • #新卒採用
  • #未経験

営業から人事に転身。未知の領域で、会社の成長の鍵をにぎる新卒採用に取り組む

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2024年卒の新卒者を対象に、初めての新卒採用をスタートした弁護士ドットコム。ある意味で会社の命運をにぎる大きなプロジェクトですが、新しく発足した新卒採用チーム3名のうち2名は営業からの転身者で、人事の経験はありません。未経験の人事に挑戦することになった2人は、会社からの異例ともいえる辞令をどのように解釈し、日々の業務に取り組んでいるのでしょうか。人事部 新卒採用チームの宮﨑将徳と坂根里枝に聞きました。

【Profile】
宮﨑将徳(人事本部 人事部 新卒採用チーム マネージャー)
大学卒業後、大阪に本社を構えるクリエイティブ会社ケセラセラに入社し、営業兼ディレクターとしてキャリアをスタート。ウェブサイトやグラフィック、動画、パンフレットなど、クライアント企業から依頼される多種多様なクリエイティブの制作に携わる。2016年8月に弁護士ドットコムへ入社。弁護士ドットコム事業のセールスとして関西支社で勤務したのち、福岡支社の立ち上げに参加。その後、営業企画部やカスタマーサクセスのマネージャーを経て、2023年10月より現職。

坂根里枝(人事本部 人事部 新卒採用チーム)
芝浦工業大学大学院修了後、ウェブマーケティング支援や広告代理事業を展開する株式会社フィードフォースに総合職として入社。その後、スタートアップを経て、2020年に弁護士ドットコム入社。クラウドサインの事業部でセールスを担当する。インサイドセールスに異動したのち2023年4月より現職。

まったく予期しなかった人事部への異動

宮﨑将徳(人事本部 人事部 新卒採用チーム マネージャー)

──おふたりは共に営業から未経験の人事に異動したそうですね。入社から現在のポジションに至るまでの経緯、そして異動を知らされたときの感想を教えてください。

宮崎:弁護士ドットコムの営業として入社して、福岡支社の立ち上げに参加したり、セールスマネージャーになったり、営業企画部へ異動したり、カスタマーサクセスのマネージャーになったりと、場所や立場はその時々で変わりましたが、基本的にはずっと営業に関連する業務をやってきました。

ところがある日、事業部の上司からミーティングの打診があって、いつもの1on1のつもりで会議室へ行くと、そこに人事の役員が来まして。「今日は何のミーティングなんですか?」と聞いたら、「下期から人事部で新卒採用を担当してほしい」と言われたんです。それが2023年の4月くらいの出来事でした。当時、僕はカスタマーサクセスのマネージャーをしていて、期の変わり目でチームの目標について部長と話したばかりでした。さすがに異動はまったく予期していなかったので、最初は「え?」という感じでしたね。

坂根:同じく人事への異動は予期していませんでした。私の場合、入社した直後にクラウドサインのインサイドセールスへ異動することになって、以来、ずっとインサイドセールスをやっていたんです。ある日、上司から「人事の人が面談したいと言っている」とミーティングを組まれたものの、まったく心当たりがなかったので、ふつうに怒られると思ったんですよ。私、なんかやらかしたのかな、と(笑)。

おそるおそる面談に行ったら、新卒採用を始めるからチームに加わってほしいと言われて。それでも当時は社内にいろいろな期間限定のプロジェクトが立ち上がっていたので、新卒採用もその一環だと思ったんですよ。それで「期間はどれくらいですか?」と聞いたら、「期間限定じゃない」と。そう言われて初めて異動だと気づきました。

──なぜ人事未経験のおふたりに新卒採用を任せるのか、上司や人事からは説明があったのでしょうか。

坂根:新卒採用をするにあたって、まずはエンジニア職の採用から始めると説明がありました。私はずっとクラウドサインのインサイドセールスをしていたからビジネスサイドのことをある程度わかっているのに加え、理系の大学や大学院に行っていたので、理系人材への理解が深いだろうと。それが決め手だったそうです。

宮崎:僕も似たような理由ですね。坂根さんの言うとおり、新卒採用はエンジニアから始まる予定ではあったものの、会社としては続けて非エンジニアのビジネス職も採用していきたい。そうなったとき、僕は弁護士ドットコム事業のセールス歴が長いので、いろいろな経験値を活かせるんじゃないか。そこそこ社歴もあるので社内に顔も利くし、ほかの事業部と連携してプロジェクトを進めるのにも適しているだろうと。

そうしたことを言われ、それなりに納得感がありましたし、今まで弁護士ドットコムで培われてきた知見を全て活かし、新しい領域でベストを尽くしてみようと思いました。悩むまでもなく「未経験領域ではありますががんばります」と即答しました。

学生の伴走者になるべく、年間200回の面談を実施

坂根里枝(人事本部 人事部 新卒採用チーム)

──現在、新卒採用チームはどのような体制で、日々どのような業務をおこなっているのでしょうか?

宮崎:僕と坂根さん、それにもう1人の女性メンバーを含めた3人体制です。ビジネス職とエンジニア職に分けて採用活動をおこなっていて、僕が前者、残りの二人が後者を担当しています。ビジネス職の採用は、どんな人を何名、どのように採用していくのか、といった企画立案を中心に、並行して学生さんとの面談などを実施しています。

坂根:一方、エンジニア職は24年卒から新卒採用が始まっています。いまは今年の秋に入社してくる24年卒の新入社員のフォロー面談や、すでに内定承諾をいただいている25年卒の新入社員たちのフォローもしつつ、メインの業務は26年卒の採用活動です。具体的にはインターンシップの選考と海外インターンシップの受け入れのために学生さんとの面談などをおこなっています。

──弁護士ドットコムでは新卒採用自体が初めてとのことなので、採用活動についてもゼロイチで取り組む必要があったのではないかと思います。その点で苦労されたことはありますか?

坂根:私と宮崎さんの2人で始めたことではなくて、私たちに先んじて現業の人事チームのメンバーが新卒採用活動をスタートしてくれていました。おかげで私はインターンシップや就活セミナーなど年間の計画がある程度固まってから参加することができました。

ただ、正式に異動してからはとにかく時間がなかったので、なぜそのイベントをやるのか、背景をきちんと理解しないままオペレーションを実行して不具合が起こったこともあったりして。最初はそこのキャッチアップに苦労したかもしれません。

宮崎:キャッチアップという意味では、僕は「いまの学生の就職活動」の実情をキャッチアップするのに苦労しましたね。僕の時代は自分も含め、文系の学生とかだと、まあ遊びまくってるわけですよ(笑)。でも、いまの学生はみなさん驚くほど真面目で、大半の子はインターンシップも経験している。ひと昔前はそんなのなかったぞ、と。

そこのギャップが大きくて、最初はカルチャーショックを受けました。あらゆる面において、自分の知っている十数年前の常識は捨てたうえで物事を考える必要があると痛感しましたね。

──近年は学生優位の「売り手市場」が続いていると言われ、とりわけ優秀なエンジニア候補をめぐって企業間で熾烈な争奪戦がおこなわれている印象です。そんななか、御社は学生にどうやってアピールしているのでしょうか。

坂根:採用活用を始めた当初は学生さんに興味を持ってもらうために何をすればいいのかわからなかったので、就職活動中の学生さんに「ほかの会社さんとはどんなことしてるの?」と聞いてみたんです。そしたら「面談してます」と言うので、じゃあ私も面談してみようと。ただ真似するだけでなく、競合よりも接触回数を増やして伴走者的な存在になろうと思い、昨年はトータル200回くらい面談しました。

宮崎:坂根さん、ほとんど毎日面談してたよね。

坂根:そうですね。特に本選考が始まってからは、学生さんに「面接で伝えたいことを言語化できていないから手伝ってください」なんて言われることが増え、そのたびに「いいよ」と気軽に応じていました。

いま振り返れば、そういった密なコミュニケーションが少なくとも候補者が最終選考まで残ってくれたことに寄与した部分はあるんじゃないかと思っています。ただ、24卒、25卒と採用活動をやってみて、最終選考までは残ってもらうことができても、最終的に内定を承諾してもらうのは人事の力だけではむずかしいことも実感していて。もっと現場のエンジニアにも面接に参加してもらうなど、ほかの事業部も巻き込んだ施策を検討しているところです。

宮崎:たとえば学生さんとのカジュアル面談の際、自社の魅力をいかに伝えるか──いわゆるアトラクトは意識的におこなっているつもりです。僕自身、弊社が展開する事業は社会貢献性が高いと心から信じていて。それは長年働くなかで弁護士の先生方が困っている人を救っているシーンを目の当たりにしてきたからで、「うちの会社がやってることはやっぱり間違ってないな」と感じることが何度もありました。

こうした経験は率直に学生さんに話すようにしていますが、学生さんって社会や仕事に対する解像度がまだ低かったりするので、シンプルに企業理念や事業の概要を伝えるだけでは届かないこともあると感じています。なので、わかりやすいストーリーやエピソードを交えながらうちの良さを伝えていくべきだと思いつつ、仮に会社の良さを伝えきれなかったとしても、僕個人に興味を持ってもらったうえでうちの会社を選んでもらえたら、採用戦略としては成功なのかなと。そんな仮説を立てながら採用活動を進めています。

人のキャリアデザインを担う責任の大きさとやりがい

──企業が新卒採用をすることのメリットは何だとお考えですか?

宮崎:新卒を採用すると、社会に出たばかりのピュアな子たちがやって来て、会社のブランドや文化を、そして未来をつくっていってくれます。個人的にはどの会社も早期から新卒採用した方が良いのではと思いますが、じゃあ実際に新卒を受け入れられるのかというと、それはまた別問題なんですね。

新卒を受け入れて、時間をかけて育てるには企業的な体力が必要になります。弁護士ドットコムの場合、会社の体力がついてきたことに加え、ちょうど次のステージへ向けてアクセルを踏もうとしているタイミングなので、新卒採用を始めるなら今でしょ、と。会社の意図と合致するかはわかりませんが、自分ではそう解釈しています。

坂根:エンジニア職では外国人採用も積極的におこなっていて、その一環で以前、ベトナムへ行ったことがあるんですね。現地でベトナムの学生さんたちと話していると、自分のスキルをアピールするだけではなく「◯◯になりたい」「◯◯をしたい」と夢を語る子がすごく多くて。彼ら・彼女らが会社にやって来て夢を実現しようとする過程で、100%や、もしかしたらそれ以上のパフォーマンスを発揮してくれる可能性もある。そういった熱量の高い新しい風が舞い込んでくるのが新卒採用のメリットだと思っています。

──特に弁護士ドットコムのような成長企業の場合、人事の役割はとりわけ重要になるのではないかと思います。その役割を担うことで感じるやりがいや責任感はありますか?

坂根:採用活動をはじめとする人事の仕事の成果は1年、2年で表れるものではありませんが、長い目で見ると、会社に貢献できる度合いは営業をしていたときよりも大きいのかなと感じます。一方、一人のキャリアスタートを担うことになるので、その責任の大きさも常に意識しています。「会社と人への責任」その両方を感じながら日々の仕事に取り組んでいます。

宮崎:僕もずっと営業をしてきた人間で、これまでは自分のアクションが数字になって返ってくるのを都度実感しながら業務にあたることができました。しかし人事という領域では、自分の行動がすぐ目に見えて会社の利益に結びつくわけではなく、自分が採用した人が会社にどれだけの利益をもたらすかという物差しを持って動く必要があります。

とはいえ自分は人事のキャリアは浅いので、これまで培ってきた営業としてのバリューを発揮できたらいいなと。相手のニーズを引き出し、商品やサービスをマッチングさせるという意味では、営業も採用も大きく変わらないはず。会社としても営業を始めとした様々なパフォーマンスを評価して僕に人事を任せてくれたと思うので、その期待に応えていきたいですね。