成長サービスのエンジニア4名が本音で語る、弁護士ドットコムで開発者として働くということ
Other
- #エンジニア
- #技術力
- #働き方

『「プロフェッショナル・テック」で次の常識をつくる。』というミッションを表明し、エンジニア組織の拡大を図る弁護士ドットコム。現在、全社では約100人のエンジニアがプロダクトやサービスの開発業務に携わっています。テックカンパニーを目指すさなか、実際に現場で働くエンジニアはどのように日々の業務にあたっているのでしょうか。4名のエンジニアに本音で語ってもらいました。
- 【Profile】
-
三寳 洋(弁護士ドットコム事業本部 開発部 第2チーム)
大学卒業後、SIerに入社。生命保険システムの保守運用に携わる。その後、受託制作会社に転職し、Webアプリケーションエンジニアとしてのキャリアをスタート。インフラ構築から実装までをこなす。宿泊予約サービスを運営する株式会社Loco Partnersを経て、2019年4月、弁護士ドットコムに入社。法律相談ポータルサイト「弁護士ドットコム」の機能改善や新機能開発を担当する。
沼田和也(クラウドサイン事業本部 Product Engineering部 エンジニアイエローチーム)
大学在学中に弁護士ドットコムでインターンを始め、2014年、新卒で入社。サーバーサイドエンジニアとして「弁護士ドットコム」「税理士ドットコム」の開発、「弁護士ドットコムキャリア」の立ち上げなどに携わる。様々な事業でのエンジニア経験を経て、クラウドサイン事業本部に異動。現在は「MeetingBase」のエンジニアリーダーを兼務する。
中村哲也(クラウドサイン事業本部 Reliability Engineering部 SREチーム)
東京学芸大学教育学部卒業、塾講師を経て、2008年にコガソフトウェア株式会社入社。インフラエンジニアとして金融系のプロジェクトや自社サービスの設計、構築、運用業務に携わる。2016年、弁護士ドットコム株式会社に入社。クラウドサインのSREチームのテックリードとして、プロダクトの信頼性やセキュリティを担う。現在は「MeetingBase」の SRE も兼務する。
比嘉祥勝(クラウドサイン事業本部 Product Engineering部 エンジニアイエローチーム)
専門学校卒業後、沖縄から上京してソーシャルゲームの開発・運営を手がけるスタートアップに入社。その後、大手ソーシャルゲーム会社を経てfreee株式会社に転職しクラウド会計ソフトの開発に携わる。2020年、弁護士ドットコムに入社。クラウドサイン事業本部にて、新機能の開発などに従事。2024年4月よりエンジニアリーダー。
弁護士ドットコムで身につけたスキル

──入社年がもっとも古い沼田さんは2014年入社、もっとも最近入社した比嘉さんでも2020年と、みなさんそれぞれに4年以上の勤続年数をお持ちです。弁護士ドットコムでエンジニアとして働いて身についたスキルがあれば教えてください。
中村:前職のSIerではインフラエンジニアとして、顧客のデータセンターでのサーバーの設計・構築・保守を主に担当していました。“縁の下の力持ち”と表現されることの多いインフラエンジニアの仕事自体は性に合っていましたが、実際の設計、構築での試行錯誤より Excelを使って数十ページにもおよぶ設計書をつくったり、その設計書の体裁を顧客によって異なるプリンターの環境に合わせて整えたりする作業がつらくてですね……。
三寳:わかります(笑)。
中村:一方、自社で展開するWebサービスを少し手伝った際に「おもしろいな」と感じ、Webサービスに関わる仕事がしたくて弁護士ドットコムへ転職したんです。入社後はSREチームに配属され、「クラウドサイン」を担当することになりました。クラウドサインのようなSaaSの環境設計・構築・運用をおこなうスキルや SRE としての考え方はすべて入社してから身につけました。
比嘉:僕はGo言語ですね。弁護士ドットコムに入社するまではRuby on Railsを使ってWebアプリケーションを開発していましたが、数年前にGoが流行り出したというか、モノリシックに作られたRailsからマイクロサービスで作られたGoに置き換わっていく流れがあったんですね。僕もプライベートではGoを触るようにしていたものの、製品開発に使った経験はなくて。
クラウドサインがGoで開発されていることは知っていたので、経験を積めそうだと思い入社した経緯があるんです。それに加え、自分はそれまでバックエンドを触ることが多かったのですが、希望すればフロントエンドを任せてくれるのも良い経験になりました。
当社には手を挙げた人にはサポート付きで「とにかくやらせてみよう」という文化があって、スキルアップに適した環境が整っています。特に印象的だったのは、入社してすぐにフレームワークのバージョンアップをさせてもらったこと。自分としては経験があったから手を挙げたものの、ふつうは入社して3カ月程度の新人が任せてもらえる仕事ではないと思います。
三寳:私はこのメンバーの中では唯一クラウドサインに関わっておらず、弁護士ドットコム事業本部で弁護士ドットコムの開発を担当しています。弁護士ドットコムの開発言語はGoではなくPHPなのですが、開発チームには自作のPHPライブラリを公開しているような、いわゆる“強い”エンジニアが所属していて。そういう人がいる環境で仕事することで、PHPに関する知識を深められている実感があります。
あとは比嘉さんと同じように、フロントエンドの経験が積めたのも大きいです。それまでは基本的にバックエンドエンジニアとしてキャリアを歩んできましたが、私が入社した当時の弁護士ドットコムにはフロントエンドエンジニアがあまりおらず、そちらも兼任するようになりました。いまも兼任しているので、勤続年数が長くなったぶんフロントエンドエンジニアとしてのスキルも磨けているのかなと。
沼田:僕はみなさんと違って学生時代からずっと弁護士ドットコムにいるので、エンジニアとしての知識や技術はすべてここで身につけたと言っていいと思います。
中村:沼田さんはまだ若いけど、社歴はいちばん長いんですよね。僕が入社したときからエンジニアとしてバリバリ活躍していました。
比嘉:自分も沼田さんに採用面接をしてもらいました。
沼田:インターンを始めた頃はプログラミングもできなかったんですけどね。最初はサイトのシステム構築について学び、徐々に機能開発も手がけるようになって……と、先輩方に教えてもらいながら知識と技術を身につけていきました。
大学を卒業して正式に入社してからは、弁護士ドットコムや税理士ドットコム、BUSINESS LAWYERS(ビジネスロイヤーズ)などの開発を経験して、5〜6年前にクラウドサイン事業本部へ異動しました。それから何年かクラウドサインの開発をしているうちにテックリードになって。たぶん、比嘉さんの面接をしたのはその頃じゃないかな。
比嘉:そうだと思います。
沼田:最近は新しくローンチした「MeetingBase」のエンジニアリーダーを担っています。
開発スピードからレガシーコード耐性まで、四者四様の強み

──そんなみなさんのエンジニアとしてのこだわりや強みを教えてください
中村:なんだろう……。インフラエンジニアの役割はシステムを安定的に動かすことなので、極端な話、それが実現できれば何もしなくていいんですよ。もちろん運用作業を続ける必要はありますが、その意味でも自分の仕事は少ないほうがいい。仕事が発生するのは、何か問題が起こったり不具合が見つかったときなので。
エンジニアの中でもフロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニアはユーザーが求めることを実現するという共通点があって、三寳さんや比嘉さんのように兼務する人もいるんですね。一方、インフラエンジニアはちょっと毛色が違って、異なる観点での知識や技術が必要なので兼務する人はあまりいない印象です。
とはいえ自社サービスを運用していくうえでは、バックエンドエンジニアがインフラ周りを触らないといけないこともあります。そんなときにわかりやすく、操作しやすい仕組みを提供することを心がけています。理想はインフラエンジニアとしての自分が仕事をする必要のない環境を整えることですね。
三寳:中村さんをはじめSREチームの方々がいてくれるおかげで、バックエンドエンジニアの担当領域が狭まり、目の前の開発業務に集中できる。それは常日頃から感じていることです。
比嘉:自分の業務でも、たとえばページの読み込みが遅いときに、SREの方が検知して「遅いよ」と教えてくれたり。それをきっかけに改善できることも少なからずあるので、フロントエンドエンジニアにとっても非常にありがたい存在ですね。
中村:褒めてくださってありがとうございます(笑)。インフラも触れる三寳さんや比嘉さんにそう言ってもらえると光栄です。
比嘉:昔いた会社の規模が小さく、フロントエンドからインフラまですべて一人でこなす必要があったんです。だから中村さんほど詳しいわけではないけれど、いちおうはインフラのこともわかる。要するに器用貧乏なんですが、それはそれで極めれば強みにもなると思っていて。どんな不測の事態が起こっても、自分がいれば最終的に何とかなるという、防波堤のような存在でありたいと思っています。
──三寳さんと沼田さんはいかがでしょう? エンジニアとしてのこだわりや強みは。

三寳:レガシーコードへの耐性が強いことですかね(笑)。弁護士ドットコムは20年近く前にスタートしたサービスで、2011年に一度リプレイスされているものの、それからでもすでに13年が経過しています。
当然ながら過去の開発経緯がわからないさまざまなコードが存在するのに加え、PHPはバージョンを上げると仕様がかなり変わるんですね。私がはじめて触れたPHP5系統から現在のPHP8系統ではもはや別の言語と言っていいほど仕様が異なりますから、古いバージョンで開発されたプロジェクトを新しいバージョンで実行しようとすると、なんらかの不具合が発生する可能性があります。
そこで事前チェックが必要になるわけですが、これが一筋縄ではいかない作業で。昔のコードの仕様を読み取り、システム要件の確認や互換性のテストをおこなったうえで、問題がないことを確認してからバージョンアップに対応させていく。関係者としっかり調整しながら粛々とやるのは得意なほうだと自分では思っています。
沼田:僕がいちばん大切にしているのはスピードです。ユーザーが望む機能があるならば、とにかく迅速に開発して少しでも早く届けたい。もちろん、ある程度のクオリティを担保したうえで、ということになりますが。
あとは自主性ですね。人に言われてやる仕事よりも、自分で考えた仕事のほうがおもしろい。なので、たとえば僕はクラウドサインの機能に不足を感じたら、自分で仕様を決めて改善してしまう。その2点、スピードと自主性にはこだわっているつもりですが、ほかに強みがあるのかは自分ではよくわからないですね……。
中村:僕の知るかぎり、沼田さんはうちの会社のエンジニアの中でも指折りのスキルを持っていると思いますよ。いろんなプロダクトの立ち上げを経験してますし、新プロダクトのMeetingBaseもリリースまで漕ぎ着けたのは沼田さんの尽力があったからじゃないですか?
沼田:褒めてくださってありがとうございます(笑)。
現場のエンジニアが考える「テックカンパニー」とは?

──ここ数年、クラウドサインをはじめとするプロダクトの成長とともにエンジニアの数も急増し、ずいぶんエンジニアフレンドリーな企業になった印象があります。テックカンパニーを標榜する社の方針を、エンジニアのみなさんはどうご覧になっているのか。評価する点や課題など、率直な意見をお聞かせください。
中村:弁護士ドットコムはもともと「専門家をもっと身近に」という理念を掲げ、ビジネスサイドの方たちがパワフルに事業を推し進めて成長してきた会社です。ただ、クラウドサインというプロダクトが生まれて大きくなる過程で、たしかにエンジニアの数は増えたし、待遇も劇的に改善しました。エンジニアフレンドリーな会社になったことは間違いないとは思うのですが……。
三寳:エンジニアが多い会社=テックカンパニーではないんですよね。
中村:おっしゃるとおりです。
沼田:僕が考える「テックカンパニー」は、エンジニア主導の会社です。その点、弁護士ドットコムは世間的にはまだまだ営業会社のイメージが強いと思うんです。じゃあ実情はどうなのかというと、ここ数年は社内でもエンジニア主導のプロジェクトが出てくるようにはなっています。ただ、個人としては十分とは言えない。それが正直なところですね。
三寳:沼田さんの言う体制を実現するには、よりプロダクトにフォーカスして事業を牽引できるディレクターやプロダクトマネージャーがもっと必要なのかもしれません。
沼田:そう、ディレクターであれエンジニアであれ、そういう人が主導できる体制になればいいのかなと。
中村:プロダクトにフォーカスして事業を牽引できる人とは、おそらくチャレンジングなマインドを持った人のことですよね。技術が目まぐるしく移り変わっていく現代において、時代に合わせてどんどん新しいものを取り入れ、より良いプロダクトをつくろうとすることができる人。そういう人たちをサポートしたり、プロダクトを育てていこうとする姿勢が必要なのかもしれません。
比嘉:その意味では、クラウドサインの「Focus Day」は良い取り組みですよね。2週間に一度、エンジニアは終日予定をブロックして、日頃の業務ではできない作業に集中しましょうという制度。会社がテックカンパニーを標榜するようになった頃に始まった取り組みですし、みなさんの言うような体制づくりにも貢献していると個人的には思いますね。
三寳:弁護士ドットコム事業本部の開発チームにも、よく似た「Tech Focus Day」という制度が存在します。会社としてはAIを使った先進的なプロダクトを次々と世に送り出そうとしているタイミングでもありますし、テックカンパニーと呼べる組織をめざして、いよいよ加速していく予感がしています。