Interview

企業法務の実務知識からトレンド、未来像までを提示する。法務専門メディア「BUSINESS LAWYERS」

Service

BUSINESS LAWYERS

  • #メディア
  • #企業法務
  • #危機管理

企業法務の実務知識からトレンド、未来像までを提示する。法務専門メディア「BUSINESS LAWYERS」

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BUSINESS LAWYERS

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  • #企業法務
  • #危機管理

日本最大級の企業法務ポータルサイトとして、弁護士による法改正の解説記事をはじめ実務に関する最新情報を提供する「BUSINESS LAWYERS(ビジネスロイヤーズ)」。“企業法務”というニッチな領域を専門にしたメディアながら、サービス開始から約8年で会員数11万人を突破。いまも日々会員数を伸ばし、法務メディアのパイオニアとしてトップを走り続けています。企業法務の世界において「BUSINESS LAWYERS」とはどんな存在なのか、現編集長の下村麻理恵と、前編集長の松本慎一郎に聞きました。

【Profile】
下村 麻理恵(BUSINESS LAWYERS 編集長)
2002年株式会社ぎょうせい入社、2005年レクシスネクシス・ジャパン株式会社入社。企業法務向け専門誌「Business Law Journal」や法律書籍の編集に従事する。2021年弁護士ドットコム入社。ビジネスメディア&マーケティング事業部 メディア編集チームで「BUSINESS LAWYERS」の編集長を務める。

松本 慎一郎(リーガルブレイン開発室 プロダクト企画チーム)
2003年、大手法律書籍出版社へ入社。法律関連書籍の編集や、書籍のデジタル化を推進する事業企画に携わる。2015年、弁護士ドットコムに入社。「BUSINESS LAWYERS」の立ち上げに参加し、編集長に就任。2023年株式会社LayerXのマーケティング部門のマネージャーを経て弁護士ドットコムに復職。現在はリーガルブレイン開発室で新規事業の実装化を担う。

企業法務向けオンラインメディアのパイオニア

下村 麻理恵(BUSINESS LAWYERS 編集長)

──「BUSINESS LAWYERS」とはどんなメディアなのか教えてください。

下村:企業の法務担当者や企業法務を取り扱う弁護士に向けて、実務的な情報を提供するメディアです。具体的には、企業法務に関係のある法改正や裁判例の解説を弁護士に書いていただく記事が中心で、法務の組織運営やキャリアを考えるうえで役立つインタビュー記事も掲載しています。

最近では、2024年4月に施行された改正個人情報保護法施行規則の解説記事が多くの方々に読んでいただけましたね。影響を受ける事業者が多い改正のわりに、詳細を知らなかった方が多かったようです。

そうした法改正などの動向を日常的に注視し、解説記事を月に5〜10本出しているほか、昔の記事を最新情報に合わせて改訂することもあります。


──メディアのリリースは2016年とのことですが、そもそもなぜ弁護士ドットコムが法務専門のメディアを始めることになったのでしょうか?

松本:私が入社した2015年当時、弁護士ドットコムは上場したばかりで、社員数も50人ほどの規模でした。事業としては法律相談ポータルサイト「弁護士ドットコム」が伸び、toCのビジネスでは存在感を発揮することができていたものの、toBのビジネスはほとんど未開拓の状態。会社としては企業向けサービスにも取り組みたいと考えていたようです。

私はそのタイミングで企業向けサービスの立ち上げ要員として採用されたのですが、入社した時点ではなにも決まっておらず、「BUSINESS LAWYERS」の影も形もありませんでした。その後、私を採用した田上(現取締役)と議論を重ねるなかで生まれたのが、「企業法務が抱える課題に特化したポータルサイト」というアイデアです。そこで企業法務について調べてみたところ、当時、企業法務に関して信頼できる情報が網羅されているようなサイトは、インターネット上にほとんどなかったんです。

これはニーズがあるに違いないと確信して「BUSINESS LAWYERS」の構想を固め、田上と二人三脚で、企業法務の方々に読んでいただけそうなコンテンツを準備しました。リリース時点で約100本の記事を掲載できたのは、ものすごく大変でしたが本当に良い経験になったと思っています。

「BUSINESS LAWYERS」がメディアとして軌道に乗ってからは、法律書籍・雑誌の法人向けサブスクリプションサービス「BUSINESS LAWYERS LIBRARY(ビジネスロイヤーズライブラリー)」や、コンプライアンス研修支援サービス「BUSINESS LAWYERS COMPLIANCE(ビジネスロイヤーズコンプライアンス)」の企画にも取り組みました。事業規模の拡大に伴い下村さんをはじめ、優秀な編集スタッフが新しく入ってきてくれたこともあり、編集長のバトンを渡したんです。

松本 慎一郎(リーガルブレイン開発室 プロダクト企画チーム)

下村:やはり「BUSINESS LAWYERS」は松本さんが立ち上げ、時間をかけて信頼されるブランドに育ててくださったメディアなので。いまもその方針を引き継いで、取り上げるテーマの選定から著者の人選まで、読者のみなさんからの信頼や期待に応えられるよう、1本1本の記事を大切に編集しています。

松本:下村さんにそう言ってもらえるのは光栄です。というのも、「BUSINESS LAWYERS」を立ち上げたとき参考にしたのが下村さんが前職で編集に携わっていた法務専門誌「Business Law Journal」だったんですよ。「Business Law Journal」には現役の法務の方が実名・匿名で本音を話すようなおもしろい記事が載っていて、画期的でした。そういう意味で編集の方々をリスペクトしていたんですね。

「BUSINESS LAWYERS」も「Business Law Journal」のようなおもしろいコンテンツを扱うメディアにしたくて、試行錯誤した経緯があるんです。そういった意味では、かつて自分がリスペクトしていた法務メディアで編集をしていた下村さんが「BUSINESS LAWYERS」に入ってくれて、いま編集長をしてくれているのはすごいことだと思うし、不思議なめぐりあわせを感じます。

下村:逆に言うとそれしかできないんです。ニッチな法務コミュニティの住人としてずっとやってきて、みなさんに助けていただきながら生かしていただいている感じです(笑)。

変化し続ける法務部門に並走する‎

──ニッチな領域のメディアとはいえ、会員数11万人以上はかなりインパクトのある数字だと思います。2016年のリリース以来、順調に会員数を伸ばしてきたイメージでしょうか?

下村:会員数が大きく伸びるトレンドのようなものが不定期にあって、編集部で集計しているデータによると、最初に大きく伸びたのは2019年から2020年にかけて。おそらく2020年4月に施行された改正民法の影響ではないかと思います。

松本:民法改正によって契約書の文言や考え方を変える必要に迫られ、企業法務の人たちが苦慮していました。そのタイミングで私たちの提供する情報に対するニーズがぐっと高まった。

下村:企業法務に関連する法改正は毎年あり、分野も広いので、すべてをタイムリーに把握するのは大変です。だからこそ「BUSINESS LAWYERS」の会員数はいまも頭打ちにならずに増え続けているのだと思います。加えて言えば、近年、法務部門の果たすべき役割はますます重要になっていて、求められる専門性も高まっています。その意味で、企業法務のトレンドや法務部門のあり方についてキャッチアップしておきたいというニーズも大きいと思います。

たとえば「BUSINESS LAWYERS」でよく読まれる記事のひとつに「企業法務の地平線」という連載があります。毎回ひとつの企業を取り上げ、法務部門の体制や業務範囲、担当者の声などを紹介する企画で、これまでに三井物産や住友商事、パナソニックをはじめとする日本を代表する企業様にも出ていただきました。

松本:いまでこそ連載のバックナンバーには名だたる企業の名前が並んでいますが、それこそ「BUSINESS LAWYERS」を立ち上げた当初は、箸にも棒にもかからない状態で……。試行錯誤しながら少しずつ実績を重ねていきました。

下村:それが、いまでは私たちがお願いするまでもなく、取材してほしいとお声がけいただくことも増えてきました。もちろん「BUSINESS LAWYERS」が信頼を得たことも影響していると思いますが、それ以上に時代の変化を感じます。

かつては、法務部門は縁の下の力持ち的な存在であるべきで、メディアに出てもメリットはない、みたいな風潮があったんですよ。そんな状況を変えた要因のひとつとして、法務の採用難があげられると思います。「企業法務の地平線」では、業務内容やチーム編成だけでなく、大切にしている価値観までも広く発信できるので、人材採用に良い効果があるそうなんです。

松本:さきほど下村さんが言ったとおり、ビジネスにおける法務の重要性やプレゼンスが上がってきています。SNSの浸透で企業のレピュテーションリスクは年々大きくなっていますし、ビジネス自体がグローバル化しているので、リーガルリスクも増えている。テクノロジーの発展に法規制が追いつかず、現行法を守っているだけではリスクマネジメントやリスクテイクができない状況も顕在化しています。

ビジネス環境を取り巻くさまざまな変化やスピード感の加速にともない、企業法務に必要とされる人材も変わってきているんですね。企業としては、法律に詳しいだけではなく、ビジネス感覚も持っている人を採用したい。

たとえば新規ビジネスに対して「法的リスクがあるからダメですよ」とストップをかけるのではなく、「こんな法解釈もできるから、この方向ならいけますよ」と提案し、ビジネスを成功に導けるような人材です。

法務の重要性を理解し、適切な人材を登用できる会社は、他社に先んじて規制をうまく活用し、新しいビジネスをつくっていくことができるのではないかと思います。

法務の負担を減らし、事業推進を後押ししたい

──そんななか、「BUSINESS LAWYERS」は企業法務にとってどんな存在になっていきたいとお考えですか?

松本:ふたつの側面があって、まずひとつは「BUSINESS LAWYERS」がこれまで法務専門メディアとしてやってきたことを粛々と続けていくこと。いつ、どんな法改正があって、そのために企業は何を準備すべきなのか、必要な情報を適切なタイミングでお届けしていく。それがわれわれのもっとも重要な役割であることは今後も変わらないと思っています。

もうひとつは、さきほどお話ししたような新しい法務のあり方や価値観を提示していくことですね。そうした価値観の提示や提案はメディアならではの機能なので、そこはぜひ編集長に期待したいなと。

下村:がんばります!(笑)

松本:下村さんはどうですか?

下村:目指しているのは、法務部門の方々をサポートするお助けキャラのような存在です。法務部のみなさんって本当に忙しくて、日々事業部から飛んでくるさまざまな法務相談に対応するだけで手一杯になっていると思うんです。そんなみなさんがPCを開けば、“BUSINESS LAWYERSくん”が最新の法改正動向を教えてくれたり、他社の事例を紹介してくれたり、一流の企業法務弁護士の情報を提供してくれたりする。

“BUSINESS LAWYERSくん”が業務をサポートしてくれるおかげで、法務部のみなさんはビジネスを推進するための本質的な法務業務にリソースを割けるようになる。そんな存在になりたいですし、いまもそうなっていればうれしいなと思っています。

松本:“BUSINESS LAWYERSくん”、いいですね! 

自分がいま取り組んでいるリーガルブレイン事業はまさに法務のみなさんの「ブレイン」として情報収集などの業務をサポートする存在を目指しています。BUSINESS LAWYERSとも連携しながら、企業法務に関わる方々をエンパワーメントしていきましょう。

下村:リーガルブレイン事業は私もいちユーザーとしてとても楽しみにしているプロジェクトです。‎‎BUSINESS LAWYERSとリーガルブレインの力で、これまで以上に強力に法務業務を支援していけるよう、一体となって取り組んでいきたいと思います。