Interview

開発チームの女性マネージャーが語る、エンジニアとしてのやりがいと職場環境

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  • #女性
  • #働き方

開発チームの女性マネージャーが語る、エンジニアとしてのやりがいと職場環境

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一般社団法人情報サービス産業協会の調査によると、2023年時点でのエンジニアの女性比率は22.6%。弁護士ドットコムの女性エンジニアの比率も全体では大差ないものの、今後の成長事業として注力するリーガルブレイン開発室の開発チームには2名の女性チームマネージャーが在籍しています。彼女たちはどんな環境のなか、どんなキャリアパスを歩んできたのでしょうか。リーガルブレイン開発室の有木詩織と尾崎恭子に聞きました。

【Profile】
有木詩織(リーガルブレイン開発室 第2開発チーム マネージャー)
大学院修了後、新卒で複数ウェブサービスを展開する企業に入社。エンジニアとして婚活や恋愛マッチングサービスの開発に携わる。その後、2020年1月に弁護士ドットコム入社。弁護士ドットコムやBUSINESS LAWYERS(ビジネスロイヤーズ)のサービス向上に貢献し、2022年7月から産休・育休に入る。2023年5月に復帰。2024年4月より現職。

尾崎恭子(リーガルブレイン開発室 第1開発チーム マネージャー)
大学卒業後、システム開発会社に入社。文系出身ながらエンジニアを志望し、研修や業務を通じて技術と知識を身につける。退職後、3社を経て弁護士ドットコムには2021年3月にジョイン。入社直後は弁護士ドットコムのSEOやコンバージョン率改善に取り組む。その後、弁護士ドットコムLIBRARY(弁護士ドットコムライブラリー)へ異動しチームマネージャーに就任、2022年09月から産休・育休に入る。2023年5月に復帰。

女性エンジニアの2人がマネージャーになるまで

有木詩織(リーガルブレイン開発室 第2開発チーム マネージャー)

──まずは弁護士ドットコムへ入社した理由を教えてください。

有木:前職に勤務して2年ほど経った頃、会社の方針と自分の考え方にズレが生じていると感じるようになって。ちょうどそのタイミングで弁護士ドットコムの技術顧問の方に紹介してもらったのがきっかけです。一度話を聞いてみようと思って会社に訪問したところ、エンジニアの方たちの技術力がものすごく高く、みなさんの興味がおもしろい方向に向いていると感じたんですね。そんな環境で自分も働いてみたいと思い入社しました。

尾崎:私はエンジニアの働く姿勢が決め手で入社したんですよね。採用面接時に、弁護士ドットコム事業本部にはTech Focus Dayと呼ばれる制度があり、毎週金曜日を“技術的負債や技術的課題に集中的に取り組む日”と決めていると聞きました。過去に在籍した会社のサービスがレガシーコードだらけで大変なことになっているのを見てきたので、そういうところに力を入れているのはすばらしいな、と。一見地味な問題も置き去りにしない姿勢に魅力を感じました。

──おふたりはエンジニア職では数少ない女性のマネージャーだとうかがっています。入社後、どんな仕事を経験してマネージャーになったのか、経緯を簡単に教えていただけますか?

有木:入社後は弁護士ドットコム事業部に配属され、おもに弁護士検索や弁護士のプロフィールページの改善を手がけていました。いずれも基本的にはすでに完成された機能ではあったものの、ユーザーへの価値提供をより強化するための新機能やUIを開発したり、テストをしたり。

通常、開発チームにはディレクターがついてくれるのですが、当時は社内にディレクターが少なく、施策立案から開発まですべてエンジニアだけでやることが多かったんですね。いま振り返るとそれがのちのキャリアにプラスになったのかなと思います。

次に異動したBUSINESS LAWYERS(ビジネスロイヤーズ)事業部は、法律書籍・雑誌の法人向けサブスクリプションサービス「BUSINESS LAWYERS LIBRARY(ビジネスロイヤーズライブラリー)」などの新サービスが立ち上がり、これからビジネスをスケールさせていくぜ! というフェーズでした。論点検索や動画視聴機能などいろいろな機能を開発しましたが、やはりディレクターが不在だったので、この頃から私がチームのタスク管理や進捗管理を兼任するようになり、マネージャー的な立ち回りをすることが増えていきました。

その後、1年ほど産休・育休を取って復帰すると、会社が温めていたリーガルブレインを推進するにあたり、自分の所属が「リーガルブレイン開発室」になりました。「BUSINESS LAWYERS LIBRARY」の開発はリーガルブレイン開発室が担うことになり、引き続き開発を行なっていたのですが、私個人はプロジェクトマネージャー的な役割に徹することが多かったですね。その後、2024年の4月に正式にマネジャーになって今に至るという感じです。

尾崎:じつは私のキャリアパスは有木さんとかなりリンクしているんです。有木さんの1年後に入社し、その直後は有木さんと同じ弁護士ドットコム事業部に配属され、同じような業務をして。異動したのも同じ時期で、有木さんが「BUSINESS LAWYERS LIBRARY」へ移った一方、私は「弁護士ドットコムLIBRARY」に配属されました。

異動後、半年ほどは新機能の開発を担当しつつ、徐々にマネージャー的な役割の比重が大きくなっていったのも有木さんと同じで、2022年に正式にマネージャーに就任します。その後、弁護士向けの書籍読み放題サービスの「弁護士ドットコムLIBRARY」の開発チームもリーガルブレイン開発室に合流することになり、昨年の4月からはふたたび有木さんと同じ部署になりました(笑)。

産休・育休後のエンジニアの働き方って?

尾崎恭子(リーガルブレイン開発室 第1開発チーム マネージャー)

──リーガルブレイン事業は、いま御社がもっとも注力している事業のひとつです。なぜ有木さんが率いるBUSINESS LAWYERS LIBRARYのチームと、尾崎さんが率いる弁護士ドットコムLIBRARYの開発チームがリーガルブレイン事業に合流することになったのでしょうか。

有木:ひと言で説明すると、ライブラリーサービスはリーガルブレインを実現するために必要な要素のひとつだからですね。私たちがこれまで開発してきた「BUSINESS LAWYERS LIBRARY」に生成AIを用いて、もっと精度の高いリサーチができるものにしていく。そこの開発をみんなで一緒にやろうということになったわけです。

尾崎:「BUSINESS LAWYERS LIBRARY」も「弁護士ドットコムLIBRARY」もよく似た仕組みの読み放題サービスなんですが、それぞれ個別に開発されてきた経緯があるので、微妙に設計が異なるんです。今後は二重開発を避けるためにも一緒にやっていきましょうと。

なので、有木さんとは定期的に1on1をするようにしているんです。今後、リーガルブレイン開発室としてプロダクトをつくっていくときに、これまでは別々の思想で開発していたのを一緒にやるならば、どうすればいいか。生成AIを用いるなら、どういったかたちで基盤をつくっていけばいいか。そんな話をしはじめていて。

有木:あとは、お互いのチームの課題を確認することも多いですよね。

尾崎:そう、共通の困りごとを解消するために「どうしようか」と一緒に考えていく感じ。

有木:お互いいつも「ねー!」って共感してばかりですよね。マネージャーとして共感するのはもちろんなんですが、ふたりとも子育て中の母親で、子どもの年齢も近いので。

尾崎:子育てあるあるもいっぱいありますね(笑)。

──そういえばおふたりとも子育て中のママなのですよね。時短勤務しているのでしょうか?

尾崎:いえ、ふたりともずっとフルタイムです。

有木:私たちは裁量労働制※で、コアタイムも特に決まっていないんです。標準労働時間として定められている8時間前後であれば、いつ仕事してもOKですよというルール。私たちのチームのエンジニアは基本的に在宅勤務だし、子育てしながらでも働きやすい環境だと思います。

※職種によって、フレックスタイム制と裁量労働制のどちらかを採用しています。

──開発部のような男性のほうが多い職場だと、出産や育児中の女性へのサポートが薄いのではないかという先入観がありましたが、御社はそんなことないんですね。

尾崎:というか、弊社では性別に関係なく、産休や育休を取るので。

有木:男性でもほとんどの人が育休をとっていて、半年〜1年単位で休んでいますよね。なんなら私たちより長いんじゃないかって人もいるくらい。

──それはすばらしい!

尾崎:弊社の男性社員で最初に育休を取ったのは当時のCTO(Chief Technology Officer)だと聞いています。社員が気兼ねなく育休を取れるように率先してくれたそうで、おかげで執行役員といった役職がついている人でも積極的に育休を取っている印象があります。私たちが育休に入ったときも、近い時期に私たちを含め4人くらい育休を取得した人がいました。

有木:もちろん休むために事前に仕事を調整する必要はありますが、そこがきちんとできていれば「〇月から育休入りまーす!」「いってらっしゃーい!」みたいな感じで育休に入る本人は大々的に宣言し、メンバーは気持ちよく送り出します。復帰したらチームメンバーでお祝いをしたりもしますね。

そんな環境なので子育て中のメンバーへの理解も深く、在宅勤務なのも相まって、私は子どもを抱っこしたままミーティングに参加することもあります。うちの子はみんなに見守ってもらいながら成長しているんです(笑)。

──お話をうかがっていると、チームメンバーの仲が良く、良い雰囲気が醸成されていると感じます。在宅勤務される方も多いとのことですが、メンバー間のコミュニケーションはどのように図っているのでしょうか?

有木:Slackでのチャットが中心ですが、話したいことがあるときはすぐにSlackのハドルミーティング機能を使って通話することもあります。そうした際も「すみません、いまお時間ありますか?」「お忙しいのに恐縮です」とはならずに「ちょっと相談していいですか?」くらいの感じでやりとりできる雰囲気ができていますね。

一方で、たとえば新しい機能の開発がスタートするときは都度キックオフをおこなって、なぜこれを開発するのか、これを開発することでわれわれは何を解決したいのかを私やディレクターからしっかり伝えるようにしています。そこはたぶん出社していても変わらないところで。少なくとも在宅勤務による壁みたいなものはまったく感じないです。

尾崎:私のチームはバーチャルオフィスツールを活用しています。仮想空間に机があって、メンバーのアバターが集って作業しているので、誰かに用事があるときはそのツールを通じて「ちょっと今いいですか?」とリアルと同じ感覚で話しかけます。取り込み中のときは離れることにしているので、デスクにいるってことは話しかけていいんだなという、ゆるい合意が取れていて。

視覚的に「近くにいる」と感じることで一体感が出ますし、会話も生まれやすい気がしますね。ときには「もし、いま0からサービスを作るとしたら、バックエンドの開発はどの言語がいいかな?」みたいな雑談で盛り上がったりしつつ、わりと楽しく働けているんじゃないかなと思います。

リーガルブレイン開発室の開発チームを率いるやりがい

──最後に、リーガルブレイン開発室の開発チームのマネージャーとしてのやりがい、そして課題についてもあれば教えてください。

尾崎:大きなやりがいを感じるのは、やはりメンバーの成長を感じたときです。最近のエピソードをお話しすると、昨年の6月に新しく入ってきたメンバーがいて、日々の面談を通じて細かくコミュニケーションを取ってきました。すると、年度が終わる頃にそのメンバーから「入社した頃の自分と、今の自分は全然違うと感じる。自身の成長を実感してます」といった内容のコメントをもらって、それを聞いたときはうれしかったですね。

有木:それは私もよくわかります。個々のメンバーをどうケアしていくか、どう立ち回ってもらうかを考えるのは簡単なことではありませんが、それでメンバーが成長してくれたり、プロジェクトが成功すると私もうれしい。個々をちゃんと見れてるんだなという自信にもつながります。

一方、リーガルブレイン開発室のチームマネジャーならではの課題を言うと、会社からの期待が大きいぶん、私自身もメンバーもプレッシャーを感じることがある点でしょうか。

尾崎:会社からの期待が大きすぎて、メンバーたちが「やらされてる感」で業務にあたるような事態は避けたいですよね。ポジティブかつ自発的に「みんなでやっていこう」という空気をつくるにはどうすればいいか。そのあたりは有木さんともよく話し合います。

有木:会社の中でも大きな期待を寄せられている事業部である以上、ここが社内で最もおもしろい事業部のひとつであることは間違いない。チームのメンバーにはたびたびそう伝えるようにしています。新しいメンバーも最近採用した人たちには面接で同じことを伝えているので、そこに共感して入ってくれたんだろうなと思っています。

──ちなみに採用面接ではほかにどんなことを伝えるのでしょう?

有木:いま言ったことに加えて、「BUSINESS LAWYERS LIBRARY」は比較的新しいサービスで、技術的負債が少ないこと、機能開発が業務のメインになるのでエンジニアとしてやりがいがあること。そういったことをアピールしていますね。

尾崎:私のチームは弁護士向けのサービスを開発しているので、サービスの質を上げることで弁護士の業務効率改善につながり、弁護士がより多くの困った人を助けることに寄与できるんですよ、とお伝えしたりもしています。