CEO Message

元榮太一郎は、
夢を見る。

創業のきっかけ

大学2年生の時、アルバイトで貯めたお金で中古の自動車を買いました。当時はお金がなく、任意保険への加入を躊躇しているほどでした。そんな中、あろうことか交通事故を起こしてしまいました。車同士の物損事故で、双方人命に関わるような怪我こそありませんでしたが、車には大きな傷が残り、訳もわからないまま私は、過失割合100%での全額賠償を求められることになりました。当然賠償金を払うお金もなく、途方に暮れていたところ、見かねた母の勧めで近くの弁護士に相談できることになりました。するとあっさりと「相手にも過失があるので70%:30%の割合ですね」と教えてくれました。半信半疑でそれを相手に伝えると、いとも簡単に70%:30%の過失割合になりました。

弁護士に相談できたというだけで、私の心は幾分か余裕と冷静さを取り戻すことができましたし、何より賠償額を適切に下げることができました。この時先生がヒーローに見えたことは、今でもはっきりと覚えており、「困った人の力になれる弁護士はなんて素晴らしいんだ」と感銘を受けました。これが私が弁護士を志すきっかけとなった原体験でした。

一方で、弁護士という存在の近寄りがたさを知る体験にもなりました。当時は多くの弁護士事務所が一見さんお断り。「交通事故なんかで弁護士に相談していいのか?そもそもどこに行ったら弁護士に会えるのか?そして何よりもいくらかかるのか?」払えるのかも分からず、相談すること自体が怖く、とても緊張したことを覚えています。

専門家を、もっと身近に。

大学を卒業して、晴れて司法試験にも合格、弁護士事務所で働くようになりました。しかし「弁護士の敷居を、なんとか低くできないか?」というあの時の想いは、決して消えませんでした。こうして誕生したのが、弁護士ドットコムという会社です。創業当時のミッションは、「専門家を、もっと身近に」でした。今でこそ、クラウドサインなどの新規事業も拡大し、全社をくくるミッションという役割では使われなくなりましたが、未だに、私たちの大切なアイデンティティとして、社内では大切に使われています。

プロフェッショナル・テック

さて、こうした経験から私は、プロフェッショナルと呼ばれる人たちが持つ知識やノウハウには、とてつもなく多くの可能性、人の役に立つ力があると信じています。もちろんそれは弁護士だけではありません。税理士や社労士やエンジニア。医師や看護師、薬剤師に至るまで、プロとして活躍しているあらゆる方々に、人の役に立つプロフェッショナルとしての知識や技術、ノウハウがあります。さらにこうしたものの多くは、AIやITといったテクノロジーとの相性もとても良いと考えています。私たちはこれを「プロフェッショナル・テック」と名付けました。プロフェッショナル・テックには、大きな価値があるわけですが、一方で普通の人には難解すぎて扱いにくいという問題点もあります。当然です。普通の人には扱えないようなものだからこそのプロなわけです。そしてここに私たちにできることがあると思っています。私たちはテックカンパニーですから、このテクノロジーを駆使することで、難解で扱いにくいプロフェッショナル領域を、"もっと身近"にすることができます。弁護士ドットコムが創業したのは2005年。20年かけ、弁護士や税理士が持つプロフェッショナルを、少しだけ"身近に"できたのではないかと自負もしています。この経験とノウハウを活かし、今度は、弁護士以外の、様々なプロフェッショナルもテクノロジーを活用して"もっと身近"なものへとしていきたいのです。

夢から現実を手繰り寄せる。

最後に、私はいつも夢を見るようにしています。夢を見ることこそ、現実への一歩目だと信じているからです。はじめて弁護士を志した時も、また就職先の弁護士事務所を辞めて起業した時も、さらに会社を経営しながら政治家を目指した時も、周りからは「夢追い人」だと思われていたように思います。当然その都度、私の夢を信じ、理解し、応援してくれた周りの仲間や家族の支えがあり、それがなければどの夢も、夢で終わったでしょう。それでも2001年には弁護士になることができ、また2016年には参議院議員に初当選、2020年には財務大臣政務官まで務めさせて頂くことができました。また弁護士ドットコム株式会社も、2014年には東証マザーズに上場することができました。
改めて、はじめは夢でいいと思っています。淡い夢から現実を手繰り寄せていくのです。そして当然私の夢はまだまだ尽きません。もっと会社を成長させます。そして、もっともっと世の中に貢献していきます。

まだないやり方で、世界を前へ。

弁護士ドットコム株式会社、どうぞよろしくお願いいたします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

弁護士ドットコム創業社長CEO

弁護士

元榮 太一郎