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出てきた料理が「メニュー写真と全然違う!」 キャンセルは可能?
メニュー写真で料理を決めてみたものの・・・

出てきた料理が「メニュー写真と全然違う!」 キャンセルは可能?

ほとばしる肉汁、色鮮やかな野菜、粒の揃ったフルーツにつやつやのごはん。そんなメニュー写真に刺激されて注文したが、出てきた料理を見てがっかり。野菜や果物はしなびていて、肉は貧相、ご飯はボソボソだった――。そんな経験はないだろうか。

ネットのレストラン口コミサイトには、そういう報告が後をたたない。また、ネット調査会社アイシェアのアンケートでは、「飲食店でメニューに写真が載っている料理を注文し、出てきた料理が写真と『悪い意味で』大きく違う見た目だったことはありますか?」という質問に「ある」と答えた人は76.9%もいたという。調査は2010年の実施で、サンプル数は約500程度だが、かなり一般的な体験といえそうだ。

では、レストランで、出てきた料理がメニュー写真と「あまりにも違う」場合、客は注文をキャンセルしたり、返金を求めてもいいのだろうか。メニューの片隅に「写真はイメージです」などと書かれている場合も多いが、この断り書きは「言い訳」として成立するのだろうか。佐々木未緒弁護士に聞いた。

●「写真はイメージです」は「これと同じものは出てきませんよ!」という意味

「メニューの写真と実際に出てきた料理の差が、単に写真とは色つやが違うだけで、お肉であることは一緒、使われている野菜やフルーツは一緒、という程度では、残念ながら注文をキャンセルしたり、返金を求めることはできません。そこは消費者の自己責任、というところでしょう」

――キャンセルや返金が認められるケースはある?

「まず、写真はお肉なのにお魚が出てきたり、写真は焼き物なのに揚げ物が出てきたり、といった場合には当然、注文をキャンセルしたり、返金してもらうことができるでしょう。ただ、こういうケースは少ないでしょうね。

もう少しありそうなケースだと、写真は10切れなのに実際は5切れとか、写真は伊勢エビなのに出てきたのは小エビ――といった、数量や素材の種類が明らかに違う場合にも、注文した内容とは異なることになるので、注文をキャンセルしたり、返金を求めることができます。

また、◯◯牛や◯◯産などのブランドを書いておきながら、実際にはそれとは違うものが出てきた場合にも、誇大表示や虚偽表示として、キャンセルすることができます。こういった例は最近、ニュースなどでもかなり話題となっていますね」

――「写真はイメージです」という断り書きについては?

「個人的な意見ですが、『写真はイメージです』という断り書きは、お店側が『これと同じものは出てきませんよ!』と明言しているわけですから、むしろ良心的ということができるのではないかと思いますよ。

最近はインターネットでの口コミ評価なども参考にすることができますので、それらを十分に吟味した上でお店を選んでみてください」

確かに、口コミサイトなどにはかなりの辛口コメントも掲載されている。2011年の正月には、商品説明の写真とあまりにも違うスカスカの「おせち」が話題となったが、客側がSNSや口コミサイトで情報を共有しているいま、「やりすぎ」なメニュー写真は、むしろ店側のイメージダウンに直結するといえるかもしれない。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

原口 未緒
原口 未緒(はらぐち みお)弁護士 弁護士法人 未緒法律事務所
東京弁護士会所属。心理カウンセリング・アカシックリーディングも併用しながら、こじらせない円満離婚の実現を目指します。著書『こじらせない離婚―「この結婚もうムリと思ったら読む本」(ダイヤモンド社)

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