亡くなった伯父の携帯電話を解約するために、携帯ショップに行ったところ、「本人がいらっしゃらないと解約できません」と告げられたというツイートが、話題となった。
ツイートによると、伯父が生前に使っていた携帯電話を解約する必要があったため、携帯電話について家族の中で一番くわしかった投稿者が、解約手続をすることになったという。携帯ショップには、死亡診断書と戸籍謄本を持っていったそうだ。
ところが、携帯ショップでは「当店では本人様以外の手続は一切承っていません」と告げられ、解約を断られたというのだ。投稿者は「遺骨でももってこいと?」と、理不尽な対応に憤るツイートをしていた。
ただ、その後、別のショップで解約できたということなので、最初の店員の応対に問題があったようだ。そもそも一般論として、死んだ人の契約関係はどうなるのだろうか。死亡時点で自動的に契約が消えたりするのだろうか。相続にくわしい鈴木徳太郎弁護士に聞いた。
●契約は相続の対象になる
「契約関係は、基本的に相続の対象となります。相続する場合、契約によって生じる権利だけではなくて、義務も受け継ぐことになります。
しかし、内容によっては、相続の対象とならない契約もあります」
相続の対象にならないのは、どんな場合だろう。
「法律上、亡くなられた方の『一身専属的』な権利義務については承継されないことになっています。
『一身専属的』とは、簡単に言えば、特定の人だけに所属し、他の人に移転しないという意味です。
『一身専属的』な契約の当事者が死亡した場合、例外もありますが、その契約は原則として効力を失います」
具体的にはどんな契約が、それにあたるのだろうか?
「民法に書いてあるものでいうと、たとえば、使用貸借契約における借主や委任契約の場合です。ただし,解釈や特約で相続性がある場合もあります。ほかにも、法律では明文化されていないけれども、そう解釈されている契約があります」
●心配せずに手続を確認すべし
では、携帯電話の契約はどう考えればよいだろう。
「携帯電話などの継続的な利用契約については、相続の対象になる可能性が高いと思われます。
現実には、解約するにせよ承継するにせよ、利用者死亡の場合の手続が決められているのが普通です。あまり心配はせずに、必要な手続を確認した上で、解約手続をすればよいと思います。
ただ、対応する窓口の方が、きちんとした手続を理解していないケースもあるでしょう。そうした場合、本社の担当部署に連絡をとってもらうなど、臨機応変な対応を求めることは考えてもよいでしょう」
鈴木弁護士はこのようにアドバイスを送っていた。