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「誘って欲しかった」妻、セックスレスで離婚を決意…夫は「拒否されたのはオレ」と反論
画像はイメージです(プラナ / PIXTA)

「誘って欲しかった」妻、セックスレスで離婚を決意…夫は「拒否されたのはオレ」と反論

婚姻届の提出から1年3カ月。セックスレスを理由に妻から離婚を要求された男性が、弁護士ドットコムに相談を寄せました。

男性は婚姻届を提出して結婚式を挙げるまでの3カ月、妻とのセックスを我慢していました。ですが、その間、妻と喧嘩。その際に言われた「愛していない」という言葉が許せず、そのままセックスすることはありませんでした。

「ひどい発言についてだけは謝って欲しい。そうじゃないとこちらからは(セックスに)誘えない」。男性はそう訴えましたが、結局謝ってもらえず、妻からも一切求められていない状況から「妻の拒否でのレス」と認識していました。

そうして1年が過ぎ、妻は「結婚した以上セックスする、誘うのは夫の役目で、レスの状態では夫婦ではなく、気持ちが離れた」と主張し、セックスレスを理由に離婚を要求してきました。

今回のケース、すれ違いでセックスレスに至ったようにも読めますが、男性側が一方的に悪いということになるのでしょうか。男女問題に詳しい近藤美香弁護士に聞きました。

●セックスレスは離婚原因にあたりうる

「まず前提として、夫婦は互いに貞操義務を負っており、他の異性と肉体関係を持ってはいけません。そのためセックスレスというのは、当の夫婦にとっては極めて重大な問題になるのです」

近藤弁護士はそう切り出しました。セックスレスは離婚原因になるのでしょうか。

「はい。セックスレスも『婚姻を継続し難い重大な事由』という離婚原因にあたりうる、と考えられています。すなわち一般的には、夫婦の一方がセックスを拒否することによってセックスレスとなっている場合は、どちらかが協議・調停で離婚を拒否したとしても、セックスレスが理由となって裁判離婚が認められる可能性もある、ということです」

●どんな事情だと離婚が認められる?

とはいえ、セックスレスと一言で言っても、その原因や状況は様々ですよね。どんな場合だと認められるのでしょうか。

「公表されている裁判例を見る限りでは、正当な理由なくセックスを一方的に拒否する態度から相手への愛情の喪失が明らかと言えるような場合や、自分が性的に不能であると知っていたのに、相手に告げずに婚姻した、というような事情が必要かと思われます。

逆に、婚姻後の病気や怪我でセックスができなくなったような場合や、お互いなんとなくセックスしなくなってしまった、というだけで離婚原因があるとは判断されないでしょう。

また、夫婦間のセックスは極めてプライベートな問題ですので、仮にどちらかが一方的に拒否していたような場合であっても、そのような事実を証明する確たる証拠がないことも多いと考えられます」

●今回のケース「夫婦喧嘩の延長」

確かに証拠というのは難しいですね。今回のケースの場合はどう考えられるでしょうか。

「セックスレスの期間は1年程度と比較的短く、一時的な夫婦喧嘩の延長にすぎないという捉え方もできるかと思います。また、一方的に夫が拒否したというわけでもなさそうです。

したがって、セックスレスの原因が夫にある、ということにはならず、さらに言えば夫が慰謝料を支払うべき理由もないと考えられます。同じことが妻についても当てはまるでしょう。したがって、夫によるセックスレスを理由に離婚が認められる可能性は低いと考えられます」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

近藤 美香
近藤 美香(こんどう みか)弁護士 エトワール法律事務所
弁護士登録直後から大手弁護士法人にて500件以上の離婚・不倫慰謝料問題の解決に関与。夫婦カウンセラー資格保有。これまでのキャリアを生かし、独立後も引き続きこれらの問題に注力しています。

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