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「夫に24時間監視されています」GPSをつけられた妻、目的次第ではOKの場合も
画像はイメージです(プラナ / PIXTA)

「夫に24時間監視されています」GPSをつけられた妻、目的次第ではOKの場合も

夫にGPSをつけられているが、どうしたらいいのか。弁護士ドットコムの法律相談コーナーにこのような質問が寄せられた。相談者の夫は、GPSで常に相談者を監視しており、「精神的にまいっています」という。

夫婦であっても、GPSで相手を監視することは法的な問題がないのか。離婚に向け、不貞行為の証拠集めなど、正当な目的があれば法的にも問題ないのだろうか。五十嵐里絵弁護士に聞いた。

●不貞の証拠集めでは「違法」と判断されない

夫婦間でもGPSを設置することは認められるのだろうか。

「ケースバイケースです。たとえば、不貞の証拠を収集するために、夫や妻にGPSをつけたり、探偵に尾行させたりすることはよくあります。

GPSの設置や尾行などにより人の行動を調査することは、厳密に言えばプライバシー侵害になるとの議論もあります。また、調査の方法や程度によっては、はっきりとプライバシー侵害になることもあると思います。

ただ現実問題として、裁判の証拠収集のためにGPSを設置したとして、慰謝料の支払いを求められることはまずないと言っていいでしょう。私が見てきた事件では、GPSの設置や探偵の尾行などの違法性が問題とされた例はありません」

●慰謝料、離婚原因となることも

今回の相談者のケースではどうだろうか。

「相談者のケースは、不貞の証拠収集などの特定の目的がなく、ただ『妻の行動を把握していたい』という動機で長期間にわたってGPSで妻を監視するものと考えられます。

この目的では、たとえ夫婦であってもプライバシー侵害になりうると思います。ただ、さすがに高額の慰謝料は認められない可能性は高いです。

また、長時間の監視が常態化しているような関係だとすると、もはや夫婦としての信頼関係が失われていて、夫婦関係が破綻しているとも言えます。離婚裁判になった場合には、『その他婚姻を継続し難い重大な事由がある』(民法770条1項5号)として、離婚が認められる可能性も高いでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

五十嵐 里絵
五十嵐 里絵(いがらし りえ)弁護士 辻山・五十嵐法律事務所
新聞社に記者として勤務した後、法科大学院に進学、弁護士に。離婚・男女問題、遺産相続、企業法務を取り扱う。

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