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「100日面会」裁判、親権認められた母親側が見解 判決は「連れ去り肯定じゃない」
母親側の代理人ら(右が斉藤秀樹弁護士)

「100日面会」裁判、親権認められた母親側が見解 判決は「連れ去り肯定じゃない」

長女の親権をめぐり、同居の母親と別居の父親が争い、注目を集めていた裁判で、このほど勝訴判決が確定した母親側の弁護団が8月28日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いた。

親権の判断は、同居している方の親が有利とされ、話し合いによる離婚が難しい夫婦の中には、親権を得るために子どもを不法に「連れ去る」事例もあるとされる。そのため、ネット上では判決に対し、「連れ去りを助長する」などの批判もあった。

母親側の弁護団は、子どもを残して別居すれば「置き去り」になるとして、今回の子連れ別居は、違法な「連れ去り」ではないと強調。また、判決は、別居前の子育ての状況なども踏まえたもので、「『連れ去ったもの勝ち』を意味するものでもない」と警鐘も鳴らした。

●「継続性」だけでなく、別居前の子育て状況も評価対象

元夫婦は2010年5月に別居。関係が悪化し、子どものことを協議できる状況ではないとして、母親が当時2歳の長女を連れて実家へ戻った。これに対し、父親側は裁判で、一貫して母親による子どもの「連れ去り」を主張。相手側に有利な年100日の面会交流ルールなども提案し、一審では勝訴した。

一方、母親側に親権を認め、確定した東京高裁判決は、別居の経緯について、「(母親が)幼い長女を放置せずに連れて行った」として、母親の主張を受け入れた。面会交流についても、回数が多いからといって必ずしも子どもの利益にならないとしている。最高裁もこの判断を支持し、母親側からの意見を求めるまでもなく、父親側の上告を退けた。

母親側の弁護団は、高裁判決について、単純に母親が子どもと同居しているという「継続性」が評価されたものではなく、諸事情を総合的に判断したものだと言う。実際、判決では別居前から母親が主に子育てを担当していたことや、2人の現在の収入、子どもの意思などがそれぞれ検討されている。

たとえば、司法統計年報によると、2015年度の「子の引渡しを命ずる仮処分(子の監護)」は、1119件中174件(15.5%)が認められている。母親側の弁護団によると、子育て実績を裁判所がチェックしている証だという。

母親側弁護団の斉藤秀樹弁護士は、「別居直前に片一方が連れ去ればオッケーということではない。親と子のつながりを裁判所が重視して判断している」として、「別居前(同居中)父親はどうだったのか、母親はどうだったのかが公平に判断の対象となる。単に子を連れて別居すればそれだけで親権者として認められるというような単純な判断をしているわけではない」とコメントした。

(弁護士ドットコムニュース)

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