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日本でも広がりつつある「結婚契約書」に法的効力はあるのか?

日本でも広がりつつある「結婚契約書」に法的効力はあるのか?

最近、結婚生活を送っていくうえでの約束ごとを文書にする「結婚契約書」を作る若い夫婦が増えているという。ハリウッドのセレブが結婚契約書を交わしたというニュースはときどき聞くが、実は日本でも少しずつ広まっているらしいのだ。
 
「婚前契約書」や「婚姻契約書」とも呼ばれる結婚契約書は、夫婦の財産の管理や家事・育児の分担、浮気が判明したときの対処法など、結婚生活で生じるさまざまな問題について、あらかじめ目に見える形で約束を取り交わしておこうというものだ。
 
山あり谷ありの結婚生活を円滑に進めていくために作られるものだが、民法には「夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる」という規定もある。はたして、この「結婚契約書」は法的な効力を持つのだろうか。田中真由美弁護士に聞いた。
 
●「結婚契約書」は、婚姻中いつでも夫婦の一方から取り消しが可能
 
「結婚に関する契約も、契約である以上は法的な効力があります。ただ、民法754条で、夫婦間で交わした契約は、婚姻中いつでも夫婦の一方から取り消すことができる、とされています」
 
このように田中弁護士は、結婚契約書は通常の契約書とは違った面をもつことを指摘する。そのうえで、次のように付け加える。
 
「ただ、夫婦関係が破綻した場合には、取消を認めないとするのが判例の立場です」
 
つまり、夫婦関係が破綻してしまえば、もはや他人と契約するのと同じようものということなのだろう。
 
では、結婚契約書を作るときには、どのような点に注意すればいいのだろうか。田中弁護士は、そのポイントについて次のように説明する。
 
「結婚契約書には、形式や内容について法律上の決まりはありません。内容が公序良俗に反するようなものでない限り、どのような契約を結ぶこともできます。二人で自由に作ってもかまいませんし、弁護士等に作成を依頼したり、公正証書にすることもできます」
 
どんな内容にするかは自由ということだが、たとえば、どんなことを書くのだろう。
 
「内容としては、夫婦間でトラブルになりそうなこととして、まずお金に関することがあります。たとえば、家計の管理方法や負担金額、お金の使い方などです。そのほか、家事の分担に加え、子どもをもうけるかどうか、育児の分担、子育てや教育方針のあり方といった子どもに関すること、そして、親と同居するかどうか、親戚付き合いなどがあります」
 
結婚契約書は、結婚したときの「約束」を文書で残しておくことだといえる。それによって、夫婦間のトラブルを減らすことができるかもしれないが、お互いを思いやる気持ちがを持ち続けることが大切なことは言うまでもないだろう。
 

プロフィール

田中 真由美
田中 真由美(たなか まゆみ)弁護士 あおば法律事務所
あおば法律事務所共同代表弁護士。熊本県弁護士会所属。「親しみやすい町医者のような弁護士でありたい」がモットー。熊本県弁護士会子どもの人権委員会、両性の平等に関する委員会所属。日弁連男女共同参画推進本部委員、家事法制委員会委員。得意分野は離婚、家事全般。

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