「永久恋愛」(えくれあ)、「連夏江」(れげえ)など、フリガナなしでは読めない奇抜な名前を子供につける親が増えている。難解な読み方の名前は昔からあったのだが、最近は、普通ならば人につけないような「横文字の名称」に強引に漢字をあてはめる例が目立っているようだ。
俗に「キラキラネーム」と呼ばれるこれらの名前。きっと親は「個性豊かな人間に育ってほしい」との願いを込めてつけているのだろうが、子供からすれば「ちょっと恥ずかしい」という思いもあるだろう。ライフネット生命保険が実施した調査では、就活において「キラキラネームよりも古風な名前のほうが有利」という採用担当者のアンケート結果も出ており、キラキラネームがハンデとなる場合すらあるようなのだ。
こうなってくると、なかには「大人になったら自分の名前を変えたい!」と思う子供も出てくるのではないか。そんなとき、どうすれば「改名」できるのだろうか。川添圭弁護士に聞いた。
●改名をするためには家庭裁判所への申立てが必要
「改名の条件ですが、『正当の事由』があれば、家庭裁判所に『名の変更許可』の申立てを行い、許可審判を受けて戸籍上の名前を変更することができます(戸籍法107条の2、家事事件手続法別表第一122)。改名を希望する子供が未成年者であっても,未成年である子供自らが申立人になることができます(家事事件手続法227条,118条)」
つまり、子供が「名前を変えたい!」と思う場合は、その子供自身が改名の申立てを行うことができるということだ。では、どういう場合に「正当の事由」があるといえるのだろう。
「改名が認められるような『正当の事由』とは、たとえば、(1)営業上の目的で襲名を行うとき、(2)親族に同姓同名者があるとき、(3)珍奇・難解・難読で社会生活上著しく支障があるとき、(4)日本に帰化した者が日本風に名前を改める必要があるとき、(5)いわゆる永年使用(長期間にわたり通称名を使用している場合)などです」
●改名が認められる条件は?
キラキラネームの場合は、このうちの「(3)珍奇・難解・難読で社会生活上著しく支障があるとき」にあたるかどうかが問題となるといえるが、川添弁護士は次のように説明する。
「一般論として、名の変更許可における『正当の事由』は、氏(苗字)の変更許可(戸籍法107条1項)における『やむを得ない事由』と比べれば緩やかに判断されています。しかし、単に自分の名前がキラキラネームに該当するとか、自分の名前が嫌だという理由で改名が認められるというわけではありません。その名前の使用を続けることによって、社会生活上の著しい支障が生じるかどうかを個別具体的に判断することになります」
このように説明したうえで、キラキラネームの改名の可能性について、川添弁護士は次のように述べる。
「現状では、キラキラネームと呼ばれるものの多くは、通常の場合よりも『珍奇や難解な名前』であることが多いと思われます。少なくとも、極端な当て字や不適当な字の組み合わせ、字の組み合わせからはおよそ読みを推測出来ないような名前であれば、改名できる可能性があるといえます」
このようにキラキラネームが嫌な子供は、改名をすることもできるということだ。愛情をもってその名前をつけた親からすれば残念なことだろうが、名前を使うのは子供自身なので、仕方がないことだといえるかもしれない。