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2021年04月07日 14時48分

養育費トラブルの実例 住所や勤務先わからず「泣き寝入り」、支払う側も「生活費を圧迫している」

養育費トラブルの実例 住所や勤務先わからず「泣き寝入り」、支払う側も「生活費を圧迫している」
子どものために何ができる?(shimi / PIXTA)

結婚した夫婦の3組に1組が離婚すると言われている現在、子どもの成長に不可欠な養育費の不払い問題が、大きな課題になっています。

弁護士ドットコムでは、「養育費の不払い問題の実情」について、オンライン法律相談サービス「みんなの法律相談」のユーザーを対象にアンケートを行いました(実施日:2021年2月17日〜22日)。2269名から回答があり、その中から、離婚経験があり子どもがいる430名(男性216名、女性214名)を対象に分析しました。

養育費の受け取りにどのような支障が出ているのか、当事者の体験談も交えながら、分析結果をご紹介します。

●「途中から受け取れなくなった」が最多

離婚経験があり子どもがいる女性のうち、子どもと暮らし、養育費を受け取る立場にある女性は93.9%、受け取る立場にない女性は6.1%でした。

「養育費の不払いがあったかどうか」の質問に対して、受け取る立場にある女性の回答を分析したところ、「満額の支払いではない」や「支払いが定期的でない」など、「養育費の受け取りに何かしらの支障があった」という回答が、53.8%に上りました。その中で、一番多かった回答は「途中から受け取れなくなった」(22.4%)でした。 「その他」に含まれる回答のうち、「受け取りに支障があった」という回答では、「一年に一回支払いが遅れる」「たまに止まっている」「勝手に減額された」などの意見が聞かれました。

また、養育費を受け取る立場にある男性(調査対象の男性216名)は7.9%で、その全員が「養育費の受け取りに何かしらの支障があった」との回答を寄せています。

(n=201) (n=201)

●「すぐに減額調停された」「名誉毀損で訴えると脅された」

養育費にまつわる体験談を聞いたところ、体験談だけでなく、養育費制度への疑問や今後の制度のあり方などについて、254件の回答が寄せられました。実際に寄せられた声の一部をご紹介します。

■養育費の受け取りや支払いについて

・相手方の居場所は分かっているが、資料や証明をかなり集めないと取り立てができないので、結局泣き寝入りしている(受け取る立場)

・相手方の長年の不貞行為で公正証書を作って離婚したが、半年後に減額調停になった。高裁まで争ったが、支払いはされていない。 未払い額は400万円にのぼる(受け取る立場)

・支払いが遅延したので「強制執行を検討する」と伝えたら、名誉毀損で訴えると脅された(受け取る立場)

・離婚していても、子どもを扶養しているものだと思えば養育費の支払いに抵抗はない(支払う立場)

・今はコロナ禍の影響で収入が減少し、満額を払えないが、それでも子どもの成長や生活が気になるので、毎月必ず払っている(支払う立場)

・養育費を支払っているが、面会交流は一度も実行されていない。養育費義務化によってそのような事例が増えるのではないか(支払う立場)

■養育費の額について

・調停中で私学に通う子どもがいるため、事情を説明して養育費の分担を願い出たが、先方が全く応じず、話し合いにもならなかった。調停では改定算定表が使われたが、あまりに金額が低い。住居費や教育費などの事情をより反映した算定表、そして、調停委員や裁判官の判断を切望する(受け取る立場)

・自営業の元夫が偽の給与明細を提示し、養育費が減額になった(受け取る立場)

・未成年の子ども一人につき月額5000円で、4人いたため月2万円の養育費だった。子どものおやつ代程度で到底足りず、生活は苦しかった(受け取る立場)

・取り決めをした金額よりも多く支払っている。日々の生活ではこと足りる金額ではあるが、子どもの将来のことも含め、同居親を信頼して多く支払っている(支払う立場)

・妻は専業主婦で、こちらはローンの支払いがあり手元に残る金額が少ない状況なのに、算定表上は年収で計算されるため、生活が苦しかった。会社が潰れて収入が減り、一時的 に支払いを待ってもらう交渉をしたが、却下された(支払う立場)

■養育費に関する提言

・「病気で退職して働けない」と養育費免除の調停を申し立ててきて、養育費がゼロになった。しかし、実際は、その2か月後に相手方は就職していた。相手方が嘘をつけば養育費を支払わずにいられる現在の制度はとても不公平である(受け取る立場)

・元夫が調停に出てこなかったため、養育費の取り決めが出来ず、1人目の子どもはもう高校生になった。今まで支払って貰えなかった分を、後から分割でも支払ってもらえるような制度を作って欲しい。そうなれば、子どもの将来のためにもなると思う(受け取る立場)

・ 「会社から交通費が出ているかどうかやローンやその他の支払いがあるかどうかなど、人によって状況は違うはずなので、年収だけでなく状況によって金額を決めてほしいと思う」(支払う立場)

・「第三者機関を設立し、双方がその機関を通じて支払う・受け取るなどすることで『安定した受け取り』ができるような仕組みになることを切に願う」(支払う立場)

●離婚時の養育費 8割が「取り決めをした」と回答

離婚時に養育費の取り決めをしたかどうか聞いたところ、「取り決めをした」(71.4%)と「弁護士や家族、知人などから教えてもらい、取り決めをした」(12.3%)合わせて、全体の8割が「取り決めをした」と回答しました。

(n=430) (n=430)

●「双方が安心して生活できる仕組みを」

養育費の受け取りに支障があるケースでは、「相手方の所在地や勤務先が不明で、強制執行ができない」、「差し押さえ手続きが煩雑で泣き寝入り」、「強制執行したいが、弁護士費用がネック」、「取り決めはしたが、支払いが開始されてすぐに減額調停を申し立てられた」などの声が聞かれました。

一方で、養育費を支払う立場からは、「養育費が生活費を圧迫していて支払いが厳しい」「生活が苦しくて減額を申し入れたが、取り合ってもらえなかった」など、養育費の負担感を訴える声が多く聞かれました。

また、一部「養育費を支払っても、面会交流させてもらえない」との声もありました(法律上、「養育費」と「面会交流」は同時履行の関係にはありません)。

養育費を受け取る側と支払う側の双方が安心して生活できるように、新たな仕組みや制度の整備が望まれます。

※同時履行とは、こちら側と相手方にそれぞれ違う債務があり、相手方が債務を実行すれば、自分も債務を実行することを指します。

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