「不倫関係を強制されています。関係を切るには、どうすればいいでしょうか」。既婚女性に迫られて悩んでいるという独身男性が、弁護士ドットコムに相談を寄せている。
相談者は、過去に出来心で好意のあった既婚女性と肉体関係を持った。しかし、時間の経過とともに「社会通念上許されないことをした」「女性の夫に申し訳ない」などの気持ちに苛まれるようになったという。
その後、相談者は女性から再び肉体関係を求められたが、ハッキリと拒絶した。すると、女性は拒否されたことに激怒。6時間ほど相談者に罵詈雑言を浴びせたという。
さらに、女性は「精神的苦痛を受けたから訴える」「最初の行為は本当は嫌だったから性的暴行にあたる」などと言い、「訴えられるのが嫌なら関係を続けて」と相談者に迫った。会うたびに同じことを言われるため、恐怖心から相談者は女性との関係を断ち切れずにいるそうだ。
女性との関係を終わらせることはできるのだろうか。寺林智栄弁護士に聞いた。
●一人で対応し続けるとリスクも…関係を断ち切るには?
ーー女性の行為に法的な問題はないのでしょうか。
女性は「訴える」などと脅して、自由や財産に害を加えることを告知して、義務のない性的関係の続行を強要していると考えられます。そのため、強要罪(刑法223条)にあたる可能性があります。
ーー関係を断ち切るため、相談者がとりうる対処方法はありますか。
相談者本人が一人で対応し続けると、この後も性的関係を強要され続け、関係が夫にばれて不貞に基づく慰謝料請求などをされる可能性が高まります。
弁護士に依頼して、書面で「関係の続行はできない。これ以上関係の続行を強要する場合には法的措置をとる(脅迫行為を理由とする慰謝料請求など)」と通告することが考えられます。
調停を起こして裁判所での話し合いの場を設けるというのも1つの手ですが、調停の相手方には法律上出頭の義務がないため、功を奏しない可能性もあります。また、関係解消にあたり、女性から一定の金銭の支払いを要求される可能性もあるでしょう。
ただ、それもかまわないというのであれば、調停が成立すれば「合意のうえで関係を解消した」という内容の調停調書(公的文書)が作成されますので、それはメリットになるように思います。