2013年10月23日 16時30分

夫の携帯やパソコンを勝手にチェック・・・不倫の「証拠集め」はどこまで許される?

夫の携帯やパソコンを勝手にチェック・・・不倫の「証拠集め」はどこまで許される?
不倫の「証拠集め」はどこまで許されるのだろうか?

夫婦といえども、お互いのプライバシーは大切にしたいものだが、浮気の疑いがあるときには、そうも言っていられない。もしそんな状況に身を置いたら、浮気の事実があるかどうか、はっきりさせたいと思う人は多いだろう。単刀直入に聞いても、しらを切られてしまう可能性は高い。

後ろめたく思いながらも、こっそりカバンや机の引き出しをあさったり、携帯電話をチェックしたり、手帳やメールを隠し見たりして、証拠を発見したら、写真やコピーをとることがあるかもしれない。浮気の証拠を押さえておけば、もし離婚することになったときでも、話を有利に進めることができる。

しかし不倫の証拠を集めるためとはいえ、配偶者の私物やメールを勝手にのぞくことは法的に問題ないのだろうか。また、もし離婚のための裁判になったとき、相手のプライバシーを侵して集めたものでも、証拠として認められるのだろうか。家族に関する法律問題にくわしい須山幸一郎弁護士に聞いた。

●メールを無断で見るのは「違法性」が大きいとはいえない

「まず、配偶者のメールをこっそり見ることが法的に問題ないのかという点ですが、形式的にはプライバシー侵害にあたるとされる可能性がありますから、問題がないと一概には言い切れません」

須山弁護士はこのように切り出しつつ、次のように続ける。

「しかし、刑事事件には通常なりませんので、メールを見られた配偶者ができることといえば、民事上の慰謝料請求となります」

では、実際に慰謝料請求が認められるのだろうか。

「結論からいうと、現在のところは認められないか、認められても極めて少額となることが、一般的です」

なぜ、そうなるのだろう。

「このような場合、プライバシーといっても、赤の他人の問題ではなく、夫婦の問題です。対象もメール程度で、その内容も不貞という違法事実に関することです。浮気の事実を明らかにするためという、それなりに相当な目的の下に『こっそり見る』程度であれば、態様も平穏ですから、慰謝料の支払義務を負わせなければならないほどに違法性が高いとまではいえないのです」

●民事裁判では「違法に収集された証拠」も認められる場合がある

では、もし離婚裁判になったとき、配偶者のプライバシーを侵して集めたものは、証拠として認められるのだろうか。

「これについては、刑事裁判と民事裁判を区別して考える必要があります」

と須山弁護士は言う。

「刑事裁判においては手続的な正義が重視されるため、違法な手段で収集された証拠は、証拠能力が認められません。

しかしながら、民事裁判においては、証拠能力は刑事裁判に比べて緩やかな基準で判断されており、違法に収集された証拠であっても、著しく反社会的な方法で収集したものでない限り、証拠として採用される可能性が高いといえます

このように述べたうえで、須山弁護士は離婚裁判の実情について、次のように説明している。

「実際の裁判で不貞の事実を立証するために提出される証拠は、携帯電話やパソコンに保存されていたメールや画像の写真またはデータのプリントアウト、日記や手紙のコピー、ホテルや浮気相手の自宅に出入りする場面の隠し撮り(探偵事務所の調査報告書)等が大半ですが、これらについて、証拠能力が争われるケースは滅多になく、裁判官も証拠として採用したうえで、不貞行為の事実認定の根拠として使用しています」

(弁護士ドットコムニュース)

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須山 幸一郎弁護士
2002年弁護士登録。兵庫県弁護士会。元神戸家裁非常勤裁判官(家事調停官)。三宮の旧居留地に事務所を構え、主に一般市民の方を対象に、法律相談(離婚・男女問題、相続・遺言・遺産分割、借金問題・債務整理等)を行っている。
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