指輪を外すと、指輪の裏に掘られた「MARRIED.(既婚)」の文字が指に浮かび上がる――海外で発売されているそんな指輪が6月、日本のネットニュースで「浮気できないリング」と紹介され、話題になった。
商品を見た人からは、「シンプルながらすごい仕組み」などと、おもしろがる意見があった一方で、浮気予防目的でつけるのは「なんかヤダ(笑)」といった反応もみられた。
このように、既婚の象徴とされる「結婚指輪」だが、中には結婚していても「付けたくない」「付けていない」という人もいるだろう。もし、自分の結婚相手がそういう人だった場合、「結婚指輪をはめて!」と要求することはできるのだろうか。家族の法律問題にくわしい東山俊弁護士に聞いた。
●結婚指輪の着用を「強要すること」は不可能
「結婚指輪を着用する義務があるとは、民法に書いてありませんし、そういう解釈もありません。
つまり、結婚指輪を着用するかしないかは『個人の自由』だということです。結婚指輪の着用を必要ないと考えている人に対して、着用を強要することは、法律上は不可能です」
結婚指輪を付けている人は多いが、それは「法律上の義務だからやっている」わけではないということだ。
「現在、多くの夫婦にとって、結婚指輪を着用することが当然のことになっていると思われますが、これは戦後になって一般的になった習慣です。そうした習慣は、今後変化していくことも考えられます。こうした理由から、結婚指輪を着用することは、法的な義務とまでは認められていないのです。
ただし、結婚指輪をしなくていいという話と、『浮気』は、全くの別問題です。『自分は独身だ』と嘘をついて異性と交際をした場合、配偶者から離婚や慰謝料を請求されるだけでなく、交際相手からも慰謝料を請求される場合があります」
東山弁護士は、こう注意を呼び掛けていた。結婚指輪をする義務はなくても、羽を伸ばして自由に浮気してよいわけではないということだ。